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転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~  作者: ニート鳥
番外編 主人公になれなかった僕のワールド・オーバーライド・オンライン vs 転生魔王のワールド・リバースド ~Lv.99 魔王です~
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12 切り札

「私は地獄の魔王なんかにこの世界の運命を渡さない……! 業田さんは私が倒す……! そして、雅雄君は私が絶対に守ってみせる!」


 メガミの気合に反応して無数の魔方陣が展開される。地面に落ちていたメガミの箒も、魔方陣に吸収された。魔方陣はメガミの背後で一つに重なり、メガミの体に取り込まれる。


「ピヨちゃん、来て!」


「承知しました、メガミ様!」


 フェニックス形態のピヨちゃんも巨大な火球に変化してメガミの胸に取り込まれた。


「神が落とした炎が、私の身を熱く燃やす! 変身完了、タイプ・プロメテウス!」


 メガミのコスチュームには燃えるような赤の意匠が入り、背中からは真っ白な翼が広がる。かわいらしいステッキは長く伸びて、両手で扱うサイズとなる。メガミの最強の形態。最も神に近い魔法少女。ピヨちゃんと一体になることで、魔王に匹敵する魔力を手に入れている。


「だったら……羽流乃! 力を貸してくれ!」


 タイプ・プロメテウスは炎を軸に戦うようだ。ハエを焼き払われてしまうベルゼバブは相性が悪いので論外。水と氷を扱うリヴァイアサンなら相性的には勝っているが、周囲に雑魚がおらずメガミに血を流させるのは厳しそうなので魔力の補充が難しい。ここは同じく炎で戦うルシフェルだ。


「もちろんですわ!」


 後方に下がっていた羽流乃がシンの隣に出てきて、しっかりと手をつなぐ。シンは羽流乃を抱き寄せ、優しく口づけた。




「世界を滅するは火の力! 背負いし罪は力あるが故の傲慢! 蘇れ、最も神に近き堕天使、ルシフェル!」




 羽流乃の燃えるような熱い魂を決して砕けないシンの霊体が受け止める。二人の魂は炎となって混ざり合い、火の魔王ルシフェルは降臨した。


 羽流乃と瓜二つの顔をした魔王ルシフェルは肌着姿でマントをはためかせていたが、聖剣〈カトリーヌ・フィエルボワ〉を召喚する。同時にルシフェルの体は重厚なプレートアーマーに包まれた。ありあまる魔力が魂だけの魔王に、実体をももたらす。幽霊などではなく、質量をもってルシフェルは立っていた。


「己の正義を信じるとき、傲慢は誇りへと変わる……! 相手が誰であろうと薙ぎ倒します! それが魔王というものですわ!」


 五つの十字が刻まれた聖剣を手に、ルシフェルはゆっくりと前進を始める。メガミはステッキから火球やら雷撃やらを雨あられと撃ち込むが、ルシフェルは重戦車のごとく止まらない。鎧の耐久力に任せて突っ切る。


「これが魔王の戦い方ですわ!」


「あなたも滅茶苦茶だね!」


 メガミを射程に捉えたルシフェルは〈カトリーヌ・フィエルボワ〉をぶん回す。メガミは長くなったステッキの先に炎で刃を作って薙刀とし、ルシフェルの重い一撃を受ける。


 しばらく二人は斬り合うが、メガミの不利は隠しきれない。まともにやれば、パワーと耐久力に勝るルシフェルがメガミを圧倒するのは道理だ。だからメガミはスピードを活かした戦いにシフトしていく。


 メガミは翼を羽ばたかせて低空を高速で飛びながら火球と雷撃を乱射し、時折自分が炎の薙刀で突っ込んでくるという戦い方を取り始めた。途端にルシフェルは苦戦する。重い鎧を身に着けたままでは、メガミのスピードに対応できないのだ。


 ただ、それならそれでルシフェルは別の戦法をとれる。


「来なさい、〈和泉守兼定〉!」


 ルシフェルのプレートアーマーは消滅し、新撰組を想起させるだんだら羽織に換装される。手にしていた〈カトリーヌ・フィエルボワ〉は一振りの日本刀に入れ替わった。そしてルシフェルは背中から垂らしているマントを炎の翼に変化させ、メガミとの巴戦に挑む。


「多少速くなったからって!」


 メガミはそこらじゅうに魔方陣を展開し、魔方陣から炎や雷を射出する。ルシフェルはメガミの全方位攻撃をどうにか避けつつ、接近して剣の勝負に持ち込む。


「剣の腕はそれほどでもないようですわね!」


「くっ……!」


 スピードはほぼ互角なので、一度密着されるとメガミはルシフェルを振り切れない。メガミはルシフェルの剣に押される一方となる。


「それでも負けない……! 私は負けるわけにはいかない!」


「それはこちらも同じですわ!」


 気合でメガミは魔力を増していくが、ルシフェルも同様に魔力が上がっていくだけだ。敵の魔力に応じて、自分の魔力も増幅されるのがルシフェルの能力だから。


 メガミはルシフェルの刀を受け続けながら、虎視眈々と魔法を撃ち込む隙を狙っていた。鎧を捨てたルシフェルなら、本気の魔法の一撃で葬れると考えている。それはおそらく正しい。


 一方のルシフェルは、いかに刀による一撃をメガミに決められるかだ。剣技で圧倒しているので、それが自然な流れだろう。メガミもそれにばかり気をやっている。なのでルシフェルは、斬り合いの最中にいきなり前蹴りを入れた。


「何!?」


 女にとっても急所である股間を容赦なく狙ったが、メガミは後ろに飛び退いてあっさり避ける。蹴りが入れば楽だったが、メガミもそこまで間抜けではない。


 だが、ルシフェルの狙いは達成されていた。これだけ距離ができれば、最大魔力の魔法を撃ち込める。


「終わりですわ! 『神の業火』!」


 メガミが撃っていたものより一回りも二回りも大きい火球が、メガミを直撃する。

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