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転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~  作者: ニート鳥
番外編 主人公になれなかった僕のワールド・オーバーライド・オンライン vs 転生魔王のワールド・リバースド ~Lv.99 魔王です~
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11 魔王 vs 魔法少女

 メガミは箒に乗って空へと上がり、地上のシンたちに火球やら雷やらを撃ちおろしてくる。さっさと静香──マモンを追いかけたいところだが、慌てて魔王の力を発動することはない。後に備えて無駄遣いはできないのだ。魔王になるのは勝負を決めるときでいい。それまでは、シン自身の力で戦う。


「火の力に水の力! 蘇れ、不死身の肉体!」


 指輪から展開された魔方陣を重ね合わせ、シンは屈強なドラゴンを呼び出す。シンはドラゴンに乗り込み、箒に乗ったメガミを追う。


「火の力に地の支配! 雷よ、焼き尽くせ!」


 ほどよく接近したところでシンは指輪から雷を放つ。メガミは急旋回して避ける。当たり前だが、小回りが効くのは箒に乗ったメガミの方だ。ドラゴンの巨体では、旋回にも時間が掛かる。


 ただし、ヘビー級ボクサーと軽量級ボクサーが正面から戦えば勝つのはヘビー級の方だ。シンは何の工夫もなく、ドラゴンをまっすぐメガミの方に突っ込ませた。速度ならドラゴンが上である。火球や雷を喰らうが堅い鱗に覆われたドラゴンはものともしない。


「まだまだ!」


 メガミはドラゴンを充分に引きつけてから急旋回する。後ろに回り込み、ドラゴンの背に乗ったシンを直接攻撃しようという魂胆だ。わかっていれば、シンにも応手はある。


「地の力に火の支配! 鉄よ! 俺に剣を!」


 シンは剣を呼び出し、なんとドラゴンの背中からジャンプしてメガミに飛びかかった。メガミは一瞬驚いたような表情を見せるが、冷静にシンを避けようとする。シンは自由落下していくが関係なくドラゴンをメガミに突っ込ませた。さすがに予想外だったのかメガミの動きが乱れる。


「クッ……! なんて滅茶苦茶な……!」


「これが俺の戦い方だ! 風の力に地の肉体! 五感を司る使い魔よ! 力を貸せ!」


 シンは落ちていくのも構わずオオカミを呼び出す。オオカミはシンを足場に跳躍し、メガミに飛びついた。今度はメガミも避けられない。オオカミは箒にかじりついて暴れまくり、メガミは箒から落ちてしまう。


「タコちゃん、力を貸して!」


 地面に落下していくメガミの胸元から青いゴム製の玩具のような小さなタコがよちよちと出てくる。タコはメガミの前にぴょんと飛び出して、光に包まれた。タコは魔法のステッキにくっついて傘に変化し、メガミは青と白の縞々模様の傘を開く。メガミのコスチュームにも傘に合わせて青のラインが入った。


「青き知性の海! 変身完了、タイプ・オクトパス!」


 傘がパラシュートのように空気を受けてメガミは減速し、ふわりと地面に着地する。シンもオオカミを消しつつ地の指輪で重力を軽減し、問題なく着地した。


「火の力に地の支配! 雷よ、焼き尽くせ!」


 シンはドラゴンに上空から炎のブレスで攻撃させて、自分は地上から雷の魔法を放つ。また空に逃げられたら厄介だ。地上に釘付けにしてやる。


 対するメガミは開いた傘を魔法で大きくしてシンとドラゴンに向ける。傘には魔法やブレスを弾く効果があるらしい。シンの攻撃は完全に防がれてしまう。メガミの手番はここで終わらない。


「ピヨちゃん、お願い!」


「任せてください、ですぞ!」


 メガミの肩からヒヨコがピョンと飛び出ると、巨大な傘の影に隠れたままメガミは魔法のステッキを振った。ピヨちゃんはみるみるうちに大きくなり、フェニックスとでもいうべき炎の巨鳥となる。


 フェニックスと化したピヨちゃんはドラゴンに猛然と突進し、ドラゴンを圧倒する。ドラゴンも頑丈なのですぐにはやられないが、空では劣勢となった。


「大地のケモノに水の手綱! 命を司る使い魔よ! 力を貸せ!」


 空で負けても地上で取り返す。シンは剣を手にユニコーンに乗り込み、メガミへと突撃を掛けた。傘の骨がタコの足に変化し、ユニコーンを転ばせようと伸びてくる。シンはユニコーンをジャンプさせてタコの足を避け、傘ごとメガミを吹っ飛ばそうとする。


 物理攻撃への防御力はないのだろう、メガミは傘を閉じて地面を転がり、ユニコーンの攻撃を避ける。メガミは傘を振り回してしばらく戦うが、ユニコーンのスピードと馬上からの一太刀には対抗しきれない。そのうちに回避だけで精一杯になり、全く手を出せなくなる。


「だったら! チーちゃん、来て!」


 胸の谷間から、今度は黄色いネコのような物体が飛び出してくる。チーターということか。チーターはメガミの体に吸い込まれる。傘が消えて、代わりに履いている靴が黄色の模様が入ったスニーカーになった。


「黄色い俊足の稲妻! 変身完了、タイプ・チーター」


 コスチュームにも、稲妻を思わせる黄のジグザグラインが入った。バチバチとメガミの体が帯電する。メガミはスニーカーで大地を蹴ってシンとユニコーンに突進した。


「ぐあっ!」


 メガミのスピードが速すぎて、シンの目では捉えきれない。たまらずシンは落馬し、目にもとまらぬ速さで動くメガミはシンに拳や蹴りを入れ続ける。一発一発は弱いが、帯電しているので受けると体が痺れて一瞬反応が遅れてしまう。これではメガミに削り殺される未来しかない。


「火の力を風で増幅! 熱よ、俺の中で燃えろ!」


 思い切ってシンはドラゴンを含む使い魔を全て消し、剣さえも手放す。そして全力で身体能力をブーストし、メガミを迎え撃つ。


「やるね!」


「くぐった修羅場の数が違うんだよ!」


 高速でヒットアンドアウェイを繰り返すメガミと、シンは徒手空拳で互角の戦いを繰り広げる。ピヨちゃんはフリーになっているが、二人の近接戦闘に割り込めない。やがて埒が明かないと察した二人はどちらともなく距離をとる。


「正直舐めてたわ……! これだけやれるとはな!」


「そっちこそ! 私の魔法についてくるなんて……!」


 お互いがお互いを強敵と認識した。魔力を温存している場合ではない。ならば次に待っているのは全力の激突だ。二人は力を解放する。

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