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転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~  作者: ニート鳥
第3章 私はハーレム潰します/私もハーレム入りたいです!
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40 魔王 vs 天使

 『霧の結界』の効果で双方が攻撃魔法を使えない中、『水の剣』二刀流で舞うようにリヴァイアサンはミカエルとガブリエルのドラゴンを殺し続ける。ドラゴンたちはリヴァイアサンに接近すると動きを止め、簡単に斬られてしまうのだ。業を煮やしたガブリエルは自ら剣を取って斬りかかろうとする。しかし、ミカエルが止めた。


「いけません、ガブリエル!」


「……ッ!」


 すんでのところでガブリエルは止まる。リヴァイアサンのドレスの裾から、無数のヘビが顔を出して近づくものを待ち構えていた。


「あら、ばれてしまいましたか」


 リヴァイアサンはぴろりと舌を出す。接近したドラゴンを無力化していたのは、足下のヘビだった。毒の牙で一咬みして、動きを止めていたのである。ガブリエルが近づけば、弱い麻痺毒ではなく特上一番搾りの殺傷毒を注入できたのに、気付かれて残念だ。


「綺麗な薔薇には棘があるっていうでしょう?」


 リヴァイアサンはお茶目に笑って見せるが、ガブリエルは血の気を引かせて顔をしかめ、ヒステリックに騒ぐ。


「なんとおぞましい……! やはりあなたはこの世から消えるべき存在です!」


「落ち着きなさい、ガブリエル! 魔王を消せるときは近い!」


 ドラゴンを特攻させている間に、ミカエルは数メートルほどのゴーレムを数体、完成させていた。ゴーレムは大砲を脇に抱えていて、リヴァイアサンに照準を合わせてくる。『霧の結界』で自分も魔法攻撃を使えない今、ゴーレムを倒すのは難しい。


 なのでリヴァイアサンは『霧の結界』を解いた。仕込みは終わったところである。ちょうどいい。


「あなたたち、間違ってますよ? 消えるのは私たちじゃありません。あなたたちです」


 リヴァイアサンが宣告した瞬間、ゴーレムたちが一斉に傾いた。ゴーレムたちは攻撃を受けたと判断して大砲を発射するが、姿勢が崩れたままではまともに撃てない。砲弾は明後日の方向に飛び去った。


 リヴァイアサンを囲むドラゴンは沈んでゆく。ドラゴンたちは必死にもがくが、逃れられない。慌ててミカエルとガブリエルは空に飛び上がり、リヴァイアサンの仕込みから逃れる。山北はひっくり返ったゴーレムに乗り、難を逃れた。


「以前は、この力を発動する前に私は敗れた。そうでしょう?」


 足下が沼地へと変化していたのだ。リヴァイアサンだけは全く地形変動の影響を受けず、沈んでしまうことなく水面に平然と立っていた。リヴァイアサンは大地に流れた血の量に応じて周囲を液状化できる。まず、これで使い魔による物量作戦は無効化した。ここから一気にガブリエルを潰す。


 液状化した面積の分だけ、すなわち惨殺した敵の数だけリヴァイアサンの魔力は増幅される。ゴーレムの大砲を潰すため、早々に地形液状化を使ってしまったので、まだ魔力の増幅は中途半端だ。天使を倒しきるほどの火力は今のリヴァイアサンにも出せない。なら、別の方法で戦力外になってもらうまでだ。


「これぐらいで勝ったつもりですか? 私とミカエル様には神の加護がある! この世にミカエル様がいる限り、悪がのさばることはありません!」


 ガブリエルは翼のあるドラゴンを作り出し、一緒になって上空から突撃してくる。先ほどまで使っていた走ることしかできないドラゴンたちより、ずっと数は少ない。コストの問題だろう。


 リヴァイアサンは水中に潜ってやり過ごすこともできたが、あえて正面から相手にする。戦って引きつけなければ、後方の麻衣や葵たちが危ない。もはや隠す必要がないのでスカートの下から派手にヘビの頭を伸ばし、水面から噴水のように巨大な『水の剣』を伸ばして迎え撃つ。


「私、わかっちゃったんですよね~、あなたの正体。はっきり言ってあなたは天使でも何でもないですよ?」


「撹乱のつもりですか? 悪魔の戯れ言になど、聞く耳持ちません! ハハハッ、最初からこちらで攻めていればよかったのですね!」


 風を切って突撃してくるドラゴンに紛れ、ガブリエルは魔力を練る。リヴァイアサンは空襲をかけるドラゴンに苦戦していた。遠距離攻撃手段に乏しいリヴァイアサンは、空からの攻撃に対抗するのが難しい。ガブリエルのいうとおり、最初から飛べる使い魔で攻められていたら危なかったかもしれない。


 リヴァイアサンは自分の体を液状化してドラゴンたちから逃れる。その瞬間を待っていたガブリエルは特大の雷を液状化したリヴァイアサンの頭上から落とす。


「さぁ、裁きの雷を受けなさい!」


 鼓膜が破れそうな轟音とともに、天使の雷は周囲を焼く。リヴァイアサンの周りに群がっていたドラゴンさえその雷撃には耐えられず、一瞬で消滅した。沼地からジュウジュウと真っ白い水蒸気が昇る。


「やはり悪は滅びる……! ミカエル様の言うとおりです……!」


 ガブリエルは満足げに笑みを浮かべる。背後に現れたリヴァイアサンに全く気付いていなかった。


「お人形さんは詰めが甘いですね……! 『氷の封印』!」


「なっ! 馬鹿な! 私の雷を受けて無事にいられるはずが……!」


 ガブリエルの下方から勢いよく水柱が噴き上がり、ガブリエルを覆う。瞬時に水柱は凍り付き、ガブリエルを閉じ込める。


「私はこの沼地と一体化していたんですよ? 雷の一発くらいで死ぬわけがないじゃないですか」


 リヴァイアサンが作り出した沼はそれ自体が魔力の塊だ。天使といえど、破壊することなどできはしない。


 蒸発していくように、沼地は元の平原に戻った。それだけの魔力を投じてガブリエルを冷凍したということである。リヴァイアサンの完全勝利である。

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