プロローグ
第8回GA文庫大賞(前期) 二次落ち
第13回MF文庫Jライトノベル新人賞 第四回予備審査 二次落ち
俺はどこにでもいる平凡な中学二年生、神代シンだ。趣味、特技、ともになし。しいていうなら漫画やゲームはちょっと好きかな。彼女はいない。このように俺は平凡で普通な、ありふれた中学生なのだ!
そんな俺は今、鎧を身に纏い剣を片手に魔王城へと向かっていた。異世界転生というやつである。楽しみにしていた沖縄への修学旅行。その途中で飛行機は墜落し、俺はこの世界に転生して勇者となった。
安心してほしい。もちろん俺は主人公なのでチートで最強だ。俺は「ステータスオープン!」と叫んだ。
神代シン 職業:勇者 種族:人間 Lv.99 HP999 MP999 攻撃力999 防御力999 素早さ999 火炎魔法Lv.99 氷水魔法Lv.99 風雷魔法Lv.99 大地魔法Lv.999 習得スキル:全部 atc
さらに俺には、頼りになる仲間が三人もいた。
「シンさま、私怖いですブヒィ。でもシンさまのためなら一生懸命戦いますわブヒィ」
そう言って鳴いたのは戦士の紅羽流乃だ。市場で購入した奴隷である。机で食事するのを許した結果、とっても懐かれてしまった。
ちなみに俺は大金持ちだ。俺は天才なので酢と卵を混ぜてマヨネーズを作ることができる。俺のマヨネーズは王侯貴族に高値で売れたため、持ち金もカンストしていた。
「シン先輩、羽流乃先輩の言うとおりです! シン先輩のためなら、私は命を失っても構わない!」
神官の黒海冬那も声を上げる。冬那は最初に俺が入学した冒険者学校の後輩だった(俺は最強だったので入学と同時に飛び級したのである)。冬那はその才能をねたまれて酷くいじめられていたのだが、お釈迦様のように優しい俺はいじめっ子どもを皆殺しにして冬那を助けたのだった。感激した冬那は才能を開花させて俺の仲間になり、魔王討伐に同行しているのである。
そして最後に、俺が一番、大事にしている運命の人。魔法使いの呼子麻衣は優しく微笑む。
「シンちゃん、この戦いが終わったら結婚しような」
麻衣は前々々世で世界を滅ぼした魔王だった俺の妹で、前々世では世界を統べる皇帝だった俺の妻で、前世では普通の中学生だった俺の幼なじみだった、まさに運命の人である。もちろん、この世界でも俺の最愛のパートナーだ。
「ああ、約束する」
俺はニッコリ笑って見せる。まるで死亡フラグみたいだが、俺はチートで最強なので関係ない。俺の存在そのものが勝利フラグだ。
「シン先輩! 私もハーレムに入れてくれるって約束ですよね!」
「私も入れてほしいですわブヒィ!」
「ああ、二人とも結婚しよう!」
俺は勢いよく返事をするが、ここで魔王城の門が開いた。
「茶番はここまでにしてもらおうか……! 世界を救う勇者なんて、現実に存在するわけがないだろう……? 君らのくだらないごっこ遊びは、ここで終わりだ……!」
魔王歌澄葵がラスボスの風格を漂わせて登場する。葵は前世で協調性皆無の酷い高二病患者でビッチでレズで突然生卵を投げつけてくるみんなの嫌われ者だったため、魔王に転生してしまったのだ。
「人々を苦しめる魔王は俺が許さない! 行くぞ、みんな」
「「「はい!」」」
俺たちは魔王を倒すべく激しい戦いへと突入していった。だが俺たちが負けるわけがない。俺は三千世界で最強なのだ!