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飯屋ではありません薬屋です。  作者: たちばな樹
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ここは薬屋。飯屋じゃない。

閲覧評価ブクマありがとうございます。凄く嬉しいです。嬉しくて調子に乗って後日談をかきました。


お読みくださった方々に感謝を込めて。

四人組が来た後、翌日突如の来客。




警備隊の隊長と副長の来店に兄妹して驚いた。




「いや、すまんなぁ」

「部下が失礼をいたしました」




隊長と副長がまず謝罪を口にした。




「いえ。隊長さんと副長さんの所為ではありませんから」

「部下の不始末は上司の責任ですから」

「妹ちゃんには無理させたな」




うん。いい上司だ。

流石警備隊を仕切る二人。

突如料理を食べさせることになった私に対し謝罪に来てくれた。


しかもお詫びの品として肉と野菜を差し入れてくれたのだ。

別に詫びの品に釣られてはいない。断じて。



図々しい四人組には食べられた分の食材の買い出しに行かせたが。

コレはコレ、ソレはソレ。

貰える物は貰っとく。





だが、ほくほくと貰い物に頬を緩めた妹を副長が意味ありげに見つめていたのを兄は見逃さなかった。







次の日、四人組が勝手に設定したご相伴の日とやらが来て、良く分かった。



警備隊侮り難し、と。

食べに来たのは四人組、では無く。




ーー隊長と副長だったのだ。




あの肉と野菜は、自分達の分の食材を前渡ししたわけかぁーーー!!





根菜の煮物と野菜ソテーと唐揚げ、ローストビーフに麦芽パンを焼いて出した。


デザートは紅茶のシフォンケーキ。

私が食べたかったから作った。




作る料理もデザートも皆の好みを聞くつもりはない!

私の気分と食べたいものしか作らない!とキッパリ宣言済みだ。

だから気ままに作る。

騎士向けに肉多めになんてしない。してやらない。



ちなみに所在無さげに身を縮めて気配を消すように食事をする兄。

厳ついのと美丈夫を前に萎縮するのも分かるが、家主だろ!しっかりしろ!と言いたい。

確かに隊長さんは盗賊のような風貌だ。

夜、道端で会ったら悲鳴をあげて逃げる。確実に怖いから。


逆に、副長は見惚れて動けなくなる美貌だ。



ああ、アレか。

副長に見惚れて動きを止めたところを隊長が襲うのか。




「襲う、は辞めろ。警備隊だぞ。俺ら」




不満げに主張する隊長さんだが、顔怖いから。

近づけないで、と言えば不貞腐る。




退治するよりも、される側に見えます、と言えば、副長にクスクス笑われた。



うん。

その顔は足留め確定。




頬を緩め微笑む副長の美貌ダダ漏れに蓋をしたいところです。鍋蓋どこだ?

美貌を口にすれば副長に訴える視線を投げられた。




「それから離れて下さい」




困り顔の副長に、くつくつ笑う隊長。



どう投げ返せばいいか悩むが、まずは隊長。



その笑い、悪どい。



妹ちゃんには敵わないなぁ、と二人が笑った。








「それにしても妹ちゃんは副長に動じないな。

大概赤面して話にならんのだが」



デザートを口に運んでいると隊長に質問された。



「ああそれは、父も地元で警備隊してましたから。そこの警備隊にも顔のいい貴族がいましたよ。おかげで見慣れました」




貴族らしく礼を尽くされ赤面していた年頃はもう過ぎました。手に唇を落とすヤツもいたせいで免疫が着いた。


と、説明した。




「慣れたのですか。なんだか逆に残念な気がします」





微笑む副長に妹の呟きが聞こえてしまった。




三十過ぎれば皆おっさん……。





ピシリと笑みが止まった副長を兄は息を止めて見つめた。














食事を勝手に決めた四人組には腹が立つが、人と話す機会をもたらした事には感謝しよう。

引っ越してまだ日は浅い。

この街と人となりを知るにはいい機会だったと、切り替えることにした。


まあ、もう来ないだろうと、高を括り眠りについた。




だが、この機会が思わぬ方向に進んでいくのをこの時の私はまだ知らないーー。















その後、ウチの薬屋に隊長と副長が寄ったことを聞きつけた娘さん達が、副長を目当てに店を覗きにきたり、買いに来たりした。

おかげで騎士達ばかりだった店に華が出た。



ちなみに娘さんが来ることで騎士達が色めき立ち、更に騎士率が上がり、それを目当ての娘さんが増え……。


よくわからない相乗効果に兄が混乱していたが私は知らないフリをしておこう。







私は今日も今日とて料理を作る。





たなびく煙の先は気にしない。






「食いに来たー!」

「釣られた!」

「すみません……」

「お邪魔するっす」










ほいほい来るなぁーー!!





ここは薬屋だぁーーー!!






兄妹の叫びが木霊した。






登場人物

●警備隊●


隊長:ギドニー・オルジュ三十六歳

隊長と言うより盗賊のお頭と言われそうな雰囲気の人。エラの張った四角い顔に厳つい眉と目付きはお頭に相応しい。剣より巨大斧が似合いそうだが騎士なので剣を使っている。




副長:バトス・ラーファノ 三十三歳

金髪碧眼の迫力ある美丈夫。長めの前髪で腰くらいの長さの後髪をゆるく編んでいる。整った顔付き故に凄んだ顔は恐ろしい。貴族の庶子故に顔が良いが、それを理由に近づく者も多く辟易している。沈着冷静で冷めた性格。




れ、恋愛要素が、見当たらない……。

妹ちゃんはまだ、引っ越したばかりで人付き合い警戒中。誰がどんな人でどんな性格か観察しています。

恋愛に……なる相手が居るといいなぁ。



兄さんは……。

暫く妹ちゃんに振り回されて下さい。




では、

お読みくださりありがとうございました。


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