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飯屋ではありません薬屋です。  作者: たちばな樹
1/7

飯屋ではありません。 《妹視点》

気分転換で惰性で書き連ねました。

設定ゆるゆるです。

暇潰しになれば幸いです。


よろしくお願い致します。

御飯時になるとワラワラと集まるマッチョ達。



「おおー!いい匂い!」

「旨そうな匂いだ」

「あー。腹減った」

「飯が楽しみっす!」



狭いテーブルに椅子を並べ食事を待つ筋骨隆々な男達がひしめく室内で、大量の料理を作る私の額に汗が滲む。


料理を並べながら、「代金忘れずにね!」と、すかさず言う私は守銭奴では無い。




だって、ここは飯屋じゃない。



飯屋ではなく、薬屋だ。




あえてもう一度言おう。


飯屋ではないのだ。




薬屋だ!!







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「おーー!妹ちゃん!ご飯なに?」

「んーー。残り物の炒め物と煮魚、かな?」

「楽しみっす!」

「代金忘れずにね!」

「うぃ!」



代金という対価の請求は忘れない。


守銭奴ではない。

当然の請求だ。

なんでこうなったか、未だに不明だが。



騎士服を来たマッチョに見送られ私は買い物に出た。







私が王都で薬師をする兄の元へ来て半年たった。

“ もう” なのか “ まだ ” なのか。

慣れない街での生活に月日が経つのも忘れていた。




ーー私が王都に暮らし始めた理由。



兄が家を出て薬師の仕事が軌道に乗ったころ、我が家は川の氾濫で押し流された。

警備隊に所属していた父は濁流に飲まれ流され亡くなった。母も父を亡くし気落ちしたところを病で呆気なく逝ってしまった。


残された私は兄を頼り王都へ向かった。

道中大変だったが兄を見て、安堵から気が抜けて寝込んだのは思い出したくない思い出だ。





この家は、王都騎士団警備隊第三詰所の隣にある薬屋だ。


薬師である兄の師匠からの伝手で、年老いたため引退する薬師の店舗を兄が引き継いだのだ。


そこに私も居候させてもらっている。

もちろん居候ではなく、この家の家政婦として家事をしている。

掃除洗濯料理と家の中の事を任されているのだ。あとは薬の配達も手伝っている。



一階は店舗とキッチンとダイニングとお風呂。二階が居住区な物件は見た目は良いから人気物件かと思いきや。



師匠さん曰く、“ 警備隊詰所の隣は人気がなくて ”、と言っていたらしい。



そりゃそうか。

警備隊の隣と言うことは荒事と隣接しているのと同じ。


警備隊詰所に薬を届けるだけでも捕らえた無法者の怒号や罵声が響き、心臓に悪い。

罪人が脱走しかけて巻き込まれかけたこともあるらしい。

抵抗した犯罪者が暴れ店先が壊れたこともあるとも聞いた。

荒くれ者を捕らえ怪我した騎士に薬を届けたりするのだが、騎士団の面々も強面が多い。

街を護る騎士達は街の皆にも信頼されているが、厳つく近づきにくい。

そのため店に街の人も薬を求めに来るが筋骨隆々がひしめく店内に客が入りにくいのも当然のこと。

確かにある意味強盗や押し売り等のトラブルの不安が無い立地だ。警備隊の隣で悪いことなどしようものなら、即刻捕縛確定だ。



だから、客層の偏りが兄の目下の悩み、らしい。




家事の他に兄の薬の調薬中に店の接客もこなしたが、ちょっと怖い。

薬を買ってくれるのは嬉しいが、デカイおっさん達で怖い。

おっさん率の高い客層に文句を言えないが、顔が怖いのだ。警備隊詰所が隣りな以上、騎士達の利用率が高いのは致し方ないが。


普通のお客さん来てーー!!!









「妹ちゃん、街に慣れたかい?」

「はい!皆さん優しいから助けてもらってます」

「そうかい。困ったら言いなよ」

「ありがとうございます」



八百屋のおばちゃんはおまけをよくつけてくれる。来た頃慣れない私を気にかけてくれた優しいおばちゃんだ。



香草を買って、肉屋により塊肉を買って帰った。


風魔法が組まれた換気口を作動させて香草を擦り込み肉を焼き、野菜のスープに薄焼きパンを用意する。



今日もいつもと変わらない毎日。

そんな毎日が平穏に続いた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「兄ちゃんお帰りー! あれ?み、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ……」





街に来て少し慣れた頃、兄が配達帰りに厳ついマッチョに囲まれなが帰宅した。

それを眼前に捉え引き腰気味に語尾が上擦るのは当然だと思う。






彼等は非番の騎士達だった。


厳つい強面では騎士だか押し売りだか判別が難しいと思う、とは口にしないが。



兄は彼等に携帯用の薬について聞かれていた。


あまりにも普通で、あまりにも当たり前な相談でなんだか拍子抜けで残念な気分だったのは内緒だ。



兄が説明していると昼近くになった。



お昼ご飯の下拵えをしながら兄達の様子を伺うとまだ騎士達は長居しそうだったので、ちょっと困った。

悩んだが、仕方なく社交辞令を口にした。



「そろそろお昼ですが……皆さんご予定は?……良かったらお昼ご一緒にいかがですか?」


「いやぁ、悪いなぁ!」

「是非ご相伴に預からせて下さい」

「ゴチになります!」

「楽しみっす!」



即答ですよ。

社交辞令なのに。

遠慮なしですか。

礼節をわきまえるのが騎士では?

普通、『長居して申し訳ない。昼なら失礼する』じゃないのか???



胡乱気な私の視線を物ともせず喜ぶ、厳ついマッチョ達。


こんな人数分作るの面倒だ、と悪態を晒さなかった私、偉い。

迂闊だった自分に舌打ちしながら調理したのは内緒だ。



ベーコン作るつもりだったから大量のバラ肉があるから、それを使ってソテーしたり、ポトフを作った。副菜に野菜炒めとポテトサラダ。


騎士四人分追加だ。

相当な量を作って出した。



椅子が無いから木箱に座って貰ったのは申し訳ないが。


皆、嬉しそうに食べてたから良しとしよう。


お残しは許しません!と、言う前に完食されていたのも驚いた。

仕事上、早食いになるらしい。

警備のお仕事お疲れ様です。



騎士四人分の食事は痛かった。

保存用に買ったバラ肉が一食で消えた。



もう来るな。

と、言うか、飯は禁句だ。

奴らの前では言わないでおこう。

我が家の財布事情に響く!!



そう心に誓った。









「飯食べに来た!!!」

「匂いに誘われまして……」

「風に乗ってくる美味しい匂いにいつも我慢してたんだぜ」

「この間のご飯美味しかったっす!」




って。

なにそれ。





食材はタダじゃないのよー!!!


食材持ってこい!

じゃなくば作らん!!!




私の怒号に非番の隊員が市場を駆け巡った。





この薬屋は飯時になるとマッチョが群がる。



匂いに釣られ。

ワラワラと。






マッチョほいほいかーーーー!!?





今日も美味しい匂いをたなびかせ料理をする薬屋に騎士達が押しかける。




薬屋が飯屋になる日は来るのか?





神のみぞ知る。
















知人の家の近所に唐揚げ名物店がある。その知人の家に行くと、当然唐揚げの匂いが風に乗ってくる。

毎日唐揚げの匂いが美味しそうに流れてくる、と言われ、匂いに釣られる騎士達が浮かびました。


もうちょっと釣られた所をじっくり書きたかったけど語彙不足でした。

精進が足りないですね。



ご読了ありがとうございました。

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