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野球少女
「行ってきます」
とある住宅街に響く少女の声。
どこかの野球クラブのユニフォームを着込んだ少女は自転車に跨り、漕ぎ出す。
少女が向かうのは、近くにある私立中学校のグラウンド。
今日は雲もなく晴天で、スポーツ日和。
この少女には野球部に入部する為のとある試験が行われていた。
去年までは小学六年生だった●●は、アスリート育成プログラムの一環として設立された私立中学校を受験し、学力試験でめでたく合格した。
この日はテスト二日目、スポーツ能力テストの日で、反復横跳びやボール投げ、短距離走など約10種類を受けた。
2日後●●の元に合否通知が届いた。見事合格していた。こうしてその後入学手続きを済ませ後は4月から始まる中学生生活を待つばかりとなった。ところが、3月に入ったある日●●宛てに入学する学校の野球部から手紙が届いた。それは春休みの合宿の案内。●●は迷いなく申し込んだ。しかし、●●に待ち受けていたのは3泊4日の地獄とも言える合宿だった。