造花の魔術師と忠実なる処刑人
「これより、造花の魔術師、アガサ=ユカリの処刑を行う!!」
高らかな宣言とともに、罪人が高い処刑台へと引き連れられていく。造花の魔術師と呼ばれた元第3皇子の婚約者である黒髪黒目の彼女は、13階段をのぼりながら、ぽつり、と、真実をつぶやく。
「最初に違えたのは、王子である貴方でしょうに……」
しかし、そんな彼女のつぶやき声は、怒りの表情を浮かべた民衆たちには届かず、ダイヤモンド子爵令嬢を隣に侍らせたグレイス第3皇子はただにやにやと笑んでいた。
処刑台の上には、既に、死刑執行人のアルフレッドが目の下にクマを作って待機していた。……彼女の唯一の学友である彼に、死刑を執行させようとしているのだから、皇子の悪趣味さは際立っている。
今にも死にそうな顔をしているアルフレッドに、アガサは微笑んで言う。
「大丈夫だよ、アーサー。わかっている。君が剣を振るわなければ、他の人たちに累が及ぶのでしょう?」
「…………!」
ぐ、と奥歯を噛みしめ、アルフレッドは無言のまま剣を握る手を強める。……入学した時からの馬鹿力のせいで、剣の柄はぎちぎちと痛めつけられ、アガサは思わず苦笑いをした。
頑丈な造りの処刑台は、簡単には壊れないように組み上げられた木造であり、アガサはちょうど、学校の体育館の正面にある舞台を思い出す。アレよりも少し高く、ついでに死刑執行人であるアガサの体を横たえ、首と体を固定する板が舞台の床よりも少し高い位置にある。箱状の死の床にはかつての人のものなのか、血がしみ込んでいて嫌なにおいがしていた。
「……相変わらず、堅物だなぁ、アーサー。ごめんね、無実を立証できなくて。異世界人の言葉なんて、結局君くらいしか信じてはくれなかったよ」
「……。」
一段、一段、階段を連れ歩かされながら、彼女は言葉を紡ぐ。古代魔法の実験のために異世界から呼び出された彼女は、無から有を生み出す魔法が使えるというためだけに『花の魔術師』と一方的に崇められ、彼女の意志とは無関係に第3皇子の婚約者にさせられた。
しかし、第3皇子はそれを不服として、学生の身分であることをいいことに様々な女性と浮名を流し、そして、一方的な決めつけで今彼の隣にいる女性……ダイヤモンド子爵嬢に対し酷いいじめをしたこと、そして、魔力を一切持たない体質と言うのが嘘であり、『花の魔術師』としての活動は全て既存魔法によるものだという発表を流した。
異世界人である彼女は神殿が保護している。そして、神殿の運営費用は国の税金である。そのため、詐欺で血税をむさぼっていた事実に民衆の怒りは頂点に達したのだ。
民衆の怒りを見た神殿は今までの彼女の活躍を忘れたかのようにあっさりと彼女を見捨てた。
……すべて、全てうそだった。
今、彼女の首を切り落とすための剣を持ったアーサーは知っていた。異世界人であるアガサは魔力を一切持たない体質である。そのため、既存の魔法は一切使えない。だからこそ、学園生活でも血を滲むような努力をしていた。
そして、神殿も、皇子も、ろくに彼女のことを守ろうとはしていなかった。異世界から勝手に呼び出しておきながら、勝手な都合で崇め、勝手な都合で糾弾し、今、彼女はあまりにも勝手な理由で、その首を切り落とされようとしている。
アーサーはちらりと、目の前の民衆の群れとは正反対の、皇子の席を見る。
彼女の処刑を特等席で見るつもりらしい皇子は、それでも会場の都合で高台ではなく少し低い場所に設営された豪華な椅子にふんぞり返って座っている。その場所はちょうど、彼女の首が切られる場面が見えやすいはずだ。
今にも石を投げつけそうな民衆たちは、王族たちに無意味に近づかないよう処刑台から5mばかり離れた柵に区切られ、その奥から聞くに堪えない罵倒を13階段を上っている彼女の横顔に投げつけている。柵に阻まれ顔を真っ赤にした彼らは、アーサーには知性の無いサルか何かにしか見えなかった。
こつり、こつり、と、階段を上る彼女の足音が、聞こえてくる。
よく見ると、彼女を処刑台へと引き連れている彼には見覚えがあった。彼もまた、無念そうに目に涙をたたえ、その目元には寝不足のためかクマができている。
本来恨むべき引っ立て人にも、アガサは困ったように笑いながら謝罪する。
「ごめんなさい、ウッド先生。すごく丁寧に魔術を教えてもらったのに、全部無駄にしてしまって」
「……君は、何も悪くない。悪いのは、この国と、君を守れなかったこの僕だ」
「大丈夫ですよ、気に病まないでください。……魔法薬学のエレン先生と、お幸せに」
「魔法植物成長剤だって、理論は君の功績だったじゃないか。それを、彼は……!」
「駄目ですよ、先生。それ以上言ったら、貴方も罪に問われてしまいます」
アガサはそう言って、12段目の、階段を上った。
その時だった。
「嫌だ、嫌だよアガサ様!! 何でみんな忘れているんだ、花の魔術師様は飢饉から僕らを救ってくれたじゃないか!!」
観衆の中から、子供の叫び声が聞こえてきた。皇子の視線が、民衆の方へと向く。
ボロボロの服装の彼は、目から大粒の涙をこぼしながら叫ぶ。しかし、すぐに近くの大人に口元を隠され、手を引っ張られ、隠された。……王を批判することは許されないのだ。保護者はすぐに彼を隠そうと人垣に隠れようとするが、それよりも先に、処刑台の横に控えていた魔法騎士たちが動いた。
少年の手を引っ張り、押さえつけようとしたその瞬間、アガサは叫んだ。
「おやめなさい。その子は、私に騙されただけです」
はっきりと、きっぱりと言った彼女の言葉。
それに同調するように、王に媚びるように、ダイヤモンド子爵嬢は第3皇子に言う。
「そうですよ、子供は殺しちゃダメです! 詐欺師に騙されちゃった馬鹿な子でも、その子にはその子なりの将来があるんですよ!」
「そうだな、ヒカリがそう言うなら、その子供を殺すのは止めようか。__そこの魔法騎士、子供は解放しろ」
皇子の命令に従い、魔法騎士たちは少年から手を放した。それを見て、アガサは笑顔で13段目の階段を、登った。
目の前には、酷いクマを作ったアーサー。自責の念故か、彼の手は酷くボロボロだった。誇り高き魔法戦士になるため、学園在学中もずっと努力を続けてきた彼は、剣の技術だけは誰よりも強くなった。……ただ、騎士の身分である彼では、彼女を救うことはできなかったのだ。
「……これが、最後だよ。……本当にいいのかい、アーサー」
ウッド先生はアガサの手首につながる魔法封じの手枷を握ったまま、悔しそうにアーサーに問いかける。
アーサーはただ、死んだ目のまま、ウッド先生のその問いかけに首を縦に振った。その瞳の奥には、確かな決意の光が、決心の光が宿っていた。
その目を見て、アガサはほころぶように笑った。
「ありがとう。学園でも、君だけは私の味方でいてくれたよね。……君はいつだって、私の誇り高き魔法騎士だったよ」
……花の聖女はそう言って、死刑台に横たわる。
首がきれるところをよく見えるようにするため、やや斜めの死刑台に、彼女の体を固定するための横板が2つ……首のあたりと足のあたりに一つずつ、固定される。固定するのは、彼女をこの死刑台まで引き連れたウッド先生だ。
手際よく固定を終えた彼は、この死刑を最後まで見守るため、死刑の13階段のすぐそばで立つ。
……今だ、花の聖女は全てを許したかのような、晴れやかな笑顔を浮かべているままだ。
そんな彼女に、皇子はからかうように言う。
「どうだ、造花の魔術師よ! 全ての行いを反省したか?!」
「……私は反省するような行いをしてはいませんよ。神は全てを見てらっしゃいます。きっと、救ってくださるはずですよ。みんなを」
「ふん、最後まで意地をはるか。土下座しすべてを謝罪するなら許してやらんこともなかったが……ああ、そうだったな、お前はもう処刑台に縛り付けられていたか!」
下卑た笑い声をあげる皇子。そんな彼を気にせず、彼女は、剣を握り締めたアーサーに言う。
「アーサー。……あなたも、私についていきますか?」
「……。」
その問いに、彼は答えなかった。
それでも、彼はその場に跪き、彼女の右手をとり、口づけをした。すさまじい批判の声が民主から沸き起こり、ダイヤモンド子爵嬢も不愉快そうに眉をしかめる。
「これより、死刑を執行する!! 執行人、アーサー・ナイト・ガードナー! 剣を掲げよ!!」
高らかに宣言する皇子。
その言葉に従い、アーサーは剣を掲げる。
それと同時に、処刑台を囲むように魔法封じの結界が張られた。
すべての国民は、この結界をよくよく知っている。結界の中では一切の魔法が使えなくなる。つまり、彼女は魔法でこの台を壊して逃げることも、死刑執行人が裏切って彼女を助け出すことも、できないのだ。
「詐欺師であり造花の魔術師、アガサ=ユカリの首を!」
その言葉の直後、アーサーは剛腕をもってして、アガサの首へ、剣を振り下ろす。
__その時だった。
すさまじい勢いで花が噴き出し、処刑台を覆い隠した。
まさかの事態に、皇子も観衆も、騎士も奴隷も平民も貴族も、茫然として処刑台にくぎ付けになった。
だってそうだ。今あの処刑台は魔法封じがされている。しかも、彼女は魔法封じの手枷をさせられていた。だから、絶対に魔法は使えないはずなのだ。
にもかかわらず、複雑な甘い香りを漂わせる花は突然現れ、彼女がいたあたりに小さな山を作るほど、その花はあふれかえっている。
「な……?!」
皇子は困惑し、目を丸くする。あの女は少なくとも、魔法は使えないはずだ。にもかかわらず、どうやって……?!
アガサの首があったあたりに大きな亀裂を作るほど力強く剣を振り下ろしたアーサーは、処刑台から剣を取り除くと、横目で皇子を見た。
そして、右手側の観衆をちらりと見る。
観衆たちは何が起きたのかもわからず、ただ、魔法に拠らない、奇跡のような事態が起きたことをにわかに信じられないように、訳の分からない雑音を上げているばかりだった。
最後にアーサーは、ウッド先生の方を見る。
ウッド先生は、困ったように笑った。
アーサーは右手だけで剣を握ると、左手をだらりと横に下げ、剣を逆手に握る。
それを見て、ダイヤモンド嬢は悲鳴を上げた。
皇子は、見た。彼が腹に剣を突き立てたところを。
処刑台に飛び散る血。彼の口からも赤色の液体が吐き出され、そのまま処刑台に膝をつく。そして、ゆっくりと、倒れた。
その瞬間、アガサの首が切られたときのように花が噴き出し、彼の死体が覆い隠される。そして、瞬きをしたその次の瞬間には、彼の死体は消えていた。
すべてを見ていたウッド先生はただ、口元にやさしい笑顔を浮かべて、その場に跪き、手を組んでいった。
「ああ、神よ。貴方は全てを見ていたのですね。だから、魔法ではない手段で、私の生徒たちに救いをもたらしてくれたんだ!!」
王都から離れ、国境付近の街。魔法薬学の教師だったエレンは号外とばかりにばらまかれた新聞紙を1枚、路地の端から拾い上げる。
そこには『神の奇跡? 花の魔術師とその騎士の死体はどこへ?』という見出しが。その下には、第3皇子の不倫疑惑と、腐りきった学園の内部の告発文書が踊っている。国王批判もいくつかあり、花の魔術師にかけられた疑惑のすべてが虚偽であったこと、税金の使い込みは神殿によるもので、花の魔術師には生活必需品でさえ与えられていなかったことなどがつまびらかにされていた。
ウッド先生の供述によると、花の魔術師……アガサの首は確かにアーサーにはねられ、その首からは血ではなく花が噴き出し、その体も花へと変わっていったそうだ。そして、彼女の忠実なる騎士だった死刑執行人のアーサーもアガサと共に冥府へ下るため、自ら腹に剣を突き立て、彼もアガサ同様花になって崩れ落ちたのだと。
魔法が使えない状態でのその奇跡を前に、民衆たちは「聖女様を殺してしまった」と絶望しているそうだ。
そんな見出しの新聞を見ながら、エレンは顔を上げる。
「……お帰りなさい、3人とも」
「まあ、これから出発ですけどね、エレン先生」
いたずらっぽくそう笑うのは、黒髪黒目の少女。見間違うはずもないだろう。彼女は、アガサだ。その隣には、大きな両手剣を抱え、眠たそうにあくびを噛み殺しているアーサー、そして、その後ろにウッド先生。
そう、アガサは生きていた。生きて、この国境付近の街まで逃げおおせたのだ。
アーサーは眠たそうに目をこすりながら、アガサに文句を言う。
「処刑台の細工何て馬鹿げたこと、処刑の1日前にやる事じゃないだろ」
「ははは、魔法使える君らにしか頼めないからね。私牢獄の中だったし?」
彼女はそう笑ってアーサーとウッド先生の方を見る。ウッド先生は苦笑いをしていった。
「まさか、処刑台の下の地面を掘って脱出口にするだなんて、考えてもいませんでしたよ。皆さん魔法のことばかり気にかけていたので、魔法封じの結界が張られる前から処刑台に細工されていたことなんて、気が付きもしないようでしたね……」
「一晩で作業が済んだの、ほぼ奇跡だったからな??? 処刑台の落下装置作った孤児院の人たちに感謝しろ、アガサ」
「そうだよね、真横の兵士から目をそらすためとはいえ、オグス君にはかなり体を張ってもらったし……」
そう、彼女が12段目に足をかけたとき叫んだ少年は、アガサの協力者だった。
たおやかに微笑んでいるエレン先生も、装置から噴き出す花を魔法薬によって準備しており、共犯だ。当然、ウッド先生も共犯であり、質問してきた記者たちには嘘の供述をしている。
そして、一番の共犯であるアーサーは、深々とため息をついて左脇腹と左手の肘裏をさする。
最後の彼の自害はフェイクだ。観衆たちに右半身を、王たちには左半身を左手で隠した状態で立ち、左脇腹と左手の隙間に剣を突き立てた。同時に、あらかじめ口の中に含んでいた赤色の血のりを吐き出し、割腹自殺をしたように見せかけたのである。血のりをずっと口の中に含んでいたため、アーサーは死刑執行の時は一言も声を出せなかったのだ。
彼女の死刑執行のトリックは簡単。
細工をした処刑台の上に寝転がり、上からだけの拘束を受ける。アーサーが彼女の頭の上に剣を振り下ろすと同時に処刑台の上部の蓋を外し、下に落ちるところと剣が外されていることを隠すためにしたから花を噴き出す。そして、全員の視線が吹きあがった花に移動した時に、アーサーが自殺パフォーマンスを行い、完全に処刑台から目を逸らす。
そして、アーサーが倒れるのを合図に再度派手目に花を吹き散らし、花吹雪に紛れて処刑台の落下装置からアーサーは退場、ついでに蓋を閉じてしまえば、後はそれを正面から見ていた体のウッド先生が高らかに「神の奇跡だ」と宣言することで舞台の上だけに注目させ、見えにくい処刑台の下からあらかじめ掘っておいた脱出口に二人で逃げ込み、王都から逃げおおせる。
そして、ウッド先生はこのトリックを補強するため、取材に対して適当な証言をし、少なくとも二人が確実に死んだように思わせた。
一切魔法を使っていないこの脱出劇の主犯は、クスリと楽しそうに笑って言う。
「そりゃまあ、私は魔法なんて使えないわよ。超能力だって使えないし、神の奇跡なんて見たことも体験したこともないわ。__ただ、私はマジシャンだったってだけ。みんなに手伝ってもらって種もしかけも仕組んだのだもの。成功しなけりゃ罰が当たるわ」
アガサはそう言って、アーサーに右手を差し出す。
アーサーはふと、かつての彼女の言葉を思い出した。
『マジシャンの右手は重要なんだ。片手がないとできるマジックは極端に減る。だから、私は信用できる人にしか右手を触らせない』
そう言っていた彼女の瞳は、自信に溢れていたが確かに警戒と、恐怖が混ざっていた。……異世界で出会った誰もが信じられなくて、たまたま手助けしたアーサーだけにしか、信頼を置けなかった。
「……最初の共犯の時は、左手だったな?」
「そう言えばそうだったね。異世界で出会った人間が軒並み信用できない人ばっかりだったから、君もどうかよくわかっていなかったし」
彼女はそう言って肩をすくめる。
古代魔法の実験のため異世界から呼び出された彼女は、魔力を持たない体質であったがゆえに、魔法は一切使えなかった。それでも周りの人の期待に応えるため、マジックをしたり、知恵を使ったり、話術をつかったり、とにかく多くの方法で多くの人々を助けた。
……多くの人を助け、多くの人に裏切られてきた彼女の右手は、確かにアーサーに差し出された。狡猾で、度胸があって、でも少し臆病な彼女の信頼の証を、アーサーは右手で握り返す。
そして、その場に跪いて言う。
「病める時も健やかなる時も、喜びの時も悲しみの時も、君を守り続けることを誓おう」
「騎士として?」
「いや、一人の男として、だ」
まっすぐと誓いの言葉を……告白の言葉を紡ぐアーサーに、アガサは苦笑いして言う。
「相変わらず、君は堅物だなぁ。__誓うよ。私も、君のことを愛し敬い慰め合い、共に助け合い、この命ある限り真心を尽くすことを、誓う」
熱烈な愛の告白をする二人に、エレン先生は「まあ」と口元に両手を当てながら声を漏らす。いつの間にか証人になっていたウッド先生は、若い二人に苦笑いをした。
そして、幸せそうに微笑む二人に、ウッド先生はぱん、と手を叩いて言う。
「さて、アーサーさん、アガサさん。既に国境封鎖の噂は聞こえてきています。出発は早めにしましょう。そして、国王がアレでは、国はそう長くは続かないでしょう。私たち教職員も、引継ぎを終わらせ次第国から脱出します。__またお二人や皆さんと再会できることを、祈ります」
「忘れ物はないですね? お怪我や病気にはくれぐれも気を付けてくださいね?」
二人のその質問に、アガサとアーサーは大きく頷く。
「俺は剣と身ひとつで十分です」
「私は手品の種と私の騎士以外に必要な物はないですから」
そうして、造花の魔術師と忠実なる処刑人は、旅立った。
ところで、彼等が出て行ってしまった国はどうなったのかって?
……花の魔術師が魔術も奇跡も見抜けないような間抜けな人々が支配する国が、無力ながらもその命を賭して多くの人々を救ってきた彼女の献身を忘れるような民の住まう国が、そう長続きするとは思えないでしょう?
悪は滅びて、手品師の救いたい人々は救われましたとさ。神は全てを見ているものなのです。めでたしめでたし。
アガサ=ユカリ(阿笠 由香里)
元日本人で、古代魔法の実験のために異世界に呼び出された少女。日本では売れないマジシャンをしていた。体質的に魔法は一切使えない。
アーサー・ナイト・ガードナー
現近衛騎士団長の息子。アガサの共犯者で、実は結構苦労人。アガサへの愛と筋肉の力でどうにかこうにか一晩で脱出用の穴を掘っていたため、処刑日当日には寝不足だったし口の中に血のりを含んでいたのでしゃべれなかった。
ウッド・ベーカー(ウッド先生)
アガサの協力のおかげでエレン先生と結婚できた人。魔術の講義の先生で、処刑台の落下装置をアガサが救った孤児院の人たちと一緒に作ったのはこの人。だから普通に寝不足だった。
エレン・ベーカー(エレン先生)
アガサの協力のおかげでウッド先生と結婚できた人。魔法薬学の先生で、処刑装置から噴き出した花を用意した人、
オグス
孤児院の子供でアガサの協力者。正面から見るとバレてしまうアーサーの自決トリックを成功させるため、処刑台の横に待機していた騎士を呼び寄せる。何気にファインプレー。
グレイス第3皇子
アガサの元婚約者。ダイヤモンド子爵嬢と浮気をした上に、様々な罪を着せて処刑しようとした。それはそうと、死刑執行のメンバーをアガサの身内で固めたのは、普通に無能なんだよなぁ
ヒカリ・ダイヤモンド(ダイヤモンド子爵嬢)
第3皇子をNTRした人。実は他の人とも普通に浮気をしていたし、アーサーにも粉をかけていた。騎士道精神を重んじるアーサーにすげなく振られたため、彼を処刑人に推薦した。作中トップの邪悪さを誇る。