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苦いコーヒーに顔をしかめれば、角砂糖を入れろと教えられる。ママの言う通り二つほど溶かせば、ほんのり甘いコーヒーに早変わり。更にママはミルクを足して「カフェオレよ」と教えてくれた。


ママのお店には異世界の食べ物しかないらしい。

ママ曰く、「アタシにとってはここが異世界なのよ。どう考えてもこの世界の食べ物はマズいわね」と容赦ない。


ママの言っている意味がよくわからないけれど、素直に受け取れば「ママは異世界人」だと言ってない?


普通異世界人だなんて聞いたら驚きもする気がするのだけど、ママの風貌からして「あ、うん、そうなんだ」と妙に納得してしまうわたしもいて――。


それに、ママの作り出す料理がどれも魅力的で興味深い。

見たことのない食材ばかり使うのだ。本気でこの世界の食べ物を使う気はなさそうな、そんな感じ。


「昨日包丁の使い方は教えたわよね。アタシはちょっと用事で出かけるから、下ごしらえしておいて頂戴。それがアンタの仕事よ」


「どこ行くの?」


「アタシ、向こうにも店を持ってるわけ。ちょっと顔出してくるわ」


「向こう?」


「ポッと出のアンタに教える義理はないわね」


「ぐっ……!」


確かに!確かにそうだけども!そりゃ昨日行き倒れて無理やり押しかけちゃったわたしに何でもかんでも教えるなんてことはないだろうけどさぁ、もうちょっと言い方ってものがあるじゃないの。


と、ぐぬぬとなっているうちに、ママはわたしに目もくれず「ついてくるんじゃないわよ」と言い残し、さっさと奥の扉へ消えていった。


キッチンには「じゃがいも」と「たまねぎ」と「にんじん」が置いてある。皮をむいて一口大に切っておくことが「下ごしらえ」らしい。どれも私にとっては初めての食材。


「えっと、まずは皮をむけばいいのよね……」


わたしは包丁を手に取る。確かに勇者が扱う剣よりはずいぶん小さくて扱いやすいけれど、これはこれで難しいと思うの。それに「じゃがいも」はゴツゴツして皮が剥きにくいし、「にんじん」ってどこまでが皮なのかよくわからないし、「たまねぎ」はなんだか目がチクチクと痛い。



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