手ブラで魔王を倒しに行こう!
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「やっと、やっとここまで辿り着いたね」
まさしく万感の想いが込められているのであろう《勇者》――ペルーマ・ネビュルクトスの言葉に、俺達パーティーメンバーは深く、確かに、頷いた。
長かった。
本当に、長い道のりだった。
魔王城の最奥、《大魔王》ラー・ガイシテス・イゴーリーが座するであろう、魔王の間へと続く大扉。
ここに辿り着くまでに俺達は多くのものを手に入れ、そして失った。
たくさんの出会いがあった。
たくさんの別れがあった。
戦いがあった。
勝利した。
敗北した。
協力した。
喧嘩した。
涙を流した。
血反吐を吐いた。
肉を断たれた。
骨を砕かれた。
絶望した。
逃げ出そうとした。
けれど――
諦めなかった。
ここに集った五人は誰一人として諦めなかった。
《勇者》ペルーマ・ネビュルクトス。
彼女はそれまで腰あたりまで伸ばしていた長い蒼髪を、魔王城に挑む前夜、決意の表明とばかりにバッサリと切った。
ショートカットも似合うが、長い旅の間ずっとロングに見慣れていた身としてはやはり違和感が拭えない。だからこそ、彼女が《聖剣ギムレットスライサー》を手放し、再び髪を伸ばしてただの村娘へと戻れる日が来るのを俺は願わずにはいられなかった。
《聖騎士》モネ・チュドーグ。
巨大な《聖盾》を掲げ、彼女はグッと耐えるように唇を引き結んでいる。
俺達をここに送り出すために魔王軍の主力部隊を引き付けてくれている同僚の聖騎士団を案じているのだろう。
やがて意を決したように、盾でなく槍を掲げる。漲る魔力を受けてか、翻る銀のポニーテールが頼もしい。
《僧侶》マニラ・クルクス。
どんな時でもおっとりと穏やかで、およそ怒りや戦意とは無縁の彼女であっても、《大魔王》との決戦を前にしては事情が異なるらしい。
彼女は静かに燃えていた。
神に捧げる救済と癒やしの祈りも今日この時ばかりは断罪と必罰のために。
《大魔王》を倒し、世界を救う。
緑髪の癒し手に迷いは無い。
《魔導師》リサ・サレグタント。
若干十四歳の少女の双肩に、いったいどれだけの重圧がのしかかっているのだろう。
王国が誇る魔導学院において幼くして天才と呼ばれた彼女は、その小さな身体で到底支えきれない期待を背負わされ、それでも泣き言を漏らさずここまで来た。
故に、俺は親子ほども歳の離れたこの黒髪の少女を尊敬している。
彼女のような若者がこの世界の未来を紡いでいく。そのためになら、非才なこの身を幾らでも盾として捧げよう。
そう、非才だ。
俺、ジョージ・モガモパには何もない。
武器も持たず、盾も持たず、鎧すら纏わぬただの《手ブラ》だ。
三七年の人生で培った小賢しい知恵と知識も魔王との決戦にいかほどの役に立つだろうか。
しかし俺にも果たすべき役割はある。
勇者パーティーの一員として、最後まで誇りを失わず戦おう。
勝利を掴む、その時まで。
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太陽が眩しかったので気付いたら書いてた。