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DISTANCE  作者: ひろゆき
6/6

 彼の場合 (3)

 離れたくないのに、離れていく。

    埋まることのない距離……。

 もう一度、気持ちを伝えることはいけないのだろうか。

 つい、彼女を見てしまう。

 

 学校の帰り道。

 向かいの歩道を歩く彼女。

 嫌われた。

 別れを告げられた。

 だから、

 見ちゃいけない。


 背を向ける彼女。

 広がった距離を戻すことは叶わない。


 あのときの笑顔。

 好きな物語を語っていたときの無垢な姿。

 もう一度見たい。

 あの光を信じて待つこともできないのかな。


 友達の輪から離れ、ふと足が止まる。

 夕陽に伸びる影が彼女を追いかけたくなる。

 それができない。

 逃げるように遠ざかる背中。

 胸を裂いた傷が広がっていく。


 自分が悪いのかな。

   誰よりも遠く思えてしまう。


 彼女に教えてもらった言葉の詩たち。

 何を伝えればいい?

 

 きっと、いままでの自分なら、崩れていくだけで終わっていた。

 彼女に教えてもらった言葉が紡いでくれる。

 

 まだ手を離したくない。

 まだ抱きしめたい。


 想いが壊れる。

 好きだから。

 好きなのに。

 壊したくない。


 縮めたい。

 この想いの距離を埋めたい。

 それはワガママなのかな。みっともないのかな。

 それでも、距離を縮めたいんだ。

 どうしたら戻れる。

 彼女を見れば心が縛られる。


 追いかけたい。

 ちゃんと話をしたかった。

 いまなら彼女に贈りたい言葉が沸いてくる。

 ちゃんと話をしたい。

 離れたくない。


 あの日、初めて手にした物語は偶然にも恋愛の物語。

 想いを伝える言葉が胸を熱くする。


 それを放てば、気づいてくれるかな。

 その言葉を借りれば……。


 まだ彼女のことが……。



                  了

 短い話ではありますが、“彼”、“彼女”の互いの気持ちを出したいなと思い、今回のような形にしてみました。

 お互いに相手のことを考えながらも、自分に自信がなく、どうしても距離を置いてしまう。

 素直になることが難しい。

 そんな二人のもどかしさがちょっとでも、伝わっていれば嬉しいです。

 読んでいただいて本当にありがとうございました。

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