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DISTANCE  作者: ひろゆき
5/6

 彼女の場合 (3)

 並べない。

   遠い。

   二人の間が切り裂かれていく。

    

 もう並べないんだね。

 一緒に歩いて帰れないんだね。

 夕暮れに伸びた影を眺めながら歩いた。

 帰り道。

 いまは友達と歩いていく。

 変わったね。

 どうたの。

 積み重なる質問に、張り詰めた笑顔を貼りつけた。


 メガネを外したことには慣れた。

 でも、コンタクトはまだ怖い。

 だから?

 でも?

 悩んでしまう。どうしたらいいんだろう。

 これは意地。

 強がり。

 わからない。

 わからない。


 それでも、帰り道、彼と目が合えば……。


 車道を挟んだ反対側の道。

 あなたは友達とふざけている。

 ダメだってわかってる。

 拒絶したのは私。

 でも、つい眼差しをあなたに。

 きっとこの距離はもう、埋められない。


 埋めたい。

 縮めたい。


 揺らいでしまう。

 車のエンジン音が私たちを裂くように、覚悟を剥がしていく。

 引き裂かれたヒビは、戻ってくれない。

 わかっている。無理なんだって。

 でも心が泣きそうに、言葉が浮かんでいく。


 逃げたかった。

 この場から。

 この気持ちから。

 あなたをそばに感じたい。

 たとえ話すことができなくて、昔に戻れなくても。


 気づいているの。

 あなたをつい、見ていることに。

 もう少しで目が合ってしまいそう。

 私は目を背ける。


 気持ちが膨らむ。

 話がしたい。

 あなたのことが……。


 どうして私は無理をしてしまうんだろう……。

 その距離は遠くて近い。

      近くて……。

     泣きたくなっていく。

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