彼女の場合 (2)
本心を伝えるのは怖かった。
けれど、
伝えたかった。
自信なんてなかった。
あなたにつり合うなんて思わなかった。
私、どうしたらいいの?
あなたに似合う彼女になりたかった。
あの日の図書室。
これって面白い?
初めて話しかけてくれた。
照れくさそうに頬を紅くしながら。
夕焼けに染まって真っ赤で可愛かったよ。
うれしかった。
好きだった。
でも、私なんて相手にしてくれない。
手を伸ばしても気づいてくれない。
笑ってくれない。
そう決めつけていた。
だから、うれしかった。
わかっていた。
小説に興味を持っていないのを。
それでも、私の話につき合ってくれたのも。
無理してるんだろうって、申し訳なかった。
それでもいつしかこぼれた声。
ーー好きです。
私をあたたかく抱きしめてくれた。
体が溶けるようだった。
振り向いてくれたんだ。
だから、
だから……。
離れたくない。
離れることはないと信じていた。
ずっと手を繋いで。
ずっと抱きしめて。
でも、
あなたに私はつり合わないんだね。
わかってる。
誰かが話しているのが聞こえた。
どんな人が好みなのかって。
……だよね。
私なんかとぜんぜん違う。
だから変わろうとしたんだよ。
メガネもやめたんだ。
無理してる……。
無理したかった。
無理をしてもあなたに似合うカワイイ女の子になりたかった。
だけど……。
……うなら。
二人にあった距離。
お互い素直になれば、縮まっていたのに。
どうしても、どうしても不安が襲う。