第14章 外交官コルテバ
他国との交換留学生を決める選抜試験が終わりしばらく経った頃、外交官コルテバは王の謁見の間にいた。
王座に頰杖をつきながら、和やかだがどこか含みのある視線を向ける王に丁寧に挨拶を終えた後、手に抱えていた書類を手渡した。
「陛下、選抜された生徒はこの様に。すでにミルティアス猊下の承認も頂いております。」
今回の留学制度はほぼ異国との外交と言っても過言ではないため、生徒の最終選抜にはコルテバが指揮を取ることになっていた。
「ありがとう、コルテバ。ミルティの様子はどうだった?」
と王は面白い返答を期待する様に尋ねる。
「どうもこうもございません。後から王直々にご連絡下さいませ。」と突っ撥ねるコルテバ。
そう言うと王はクスクスと笑い出した。
この人は全てを裏で操っているくせに、自分の手を汚さないことにかけて天才的な才能を持っている。
そして全ては娯楽の様に、それでいて的確に。それは国内の事象であろうが国外であろうがあまり関係はない。
コルテバが長年観察した王の人柄の分析結果だ。
「ミルティアス様は陛下が絡むことは全て私情を挟んでおられる様ですが、私の気のせいでしょうか。」
すると王は視線をコルテバに戻し、静かな笑みを浮かべて言った。
「君の賢さと忠義には感謝しているよ、コルテバ。でも他人の女性関係を尋ねるのは野暮だと思わないかい?」
加えて軽いウィンクをコルテバに飛ばす始末。
(全く、このお方は…)
とコルテバは額の左上に浮かぶ血管を笑顔で取り繕う。
「お戯れを。例のマギアの生徒達ですが、仰せのままに致しました。ハヅキ様にとっては祖国に帰ることとなる様ですね。それにしてもどうしてこんな遠回しな方法を。陛下の義娘ならば正式な大使として派遣すれば良かったのでは。」
「ふふ、色々とこっちも辻褄わせにね。。陽王朝にはもう使徒君がいるしね。」
かと思えばあっさりと手の内を開いてみたりする。どうにも読めない王である。
「たくさんいる女性全てに好かれるのには無理があるが、そのための努力は僕は惜しまない。」
(あれ、えっと何の話だっけ…)とコルテバは軽く混乱するが気を取り直して言い返す。
「承知しました。そう思いましてミルティアス様との会合をご予定に入れておきましたので。」
「げっ。」と王が漏らしたのを最後にコルテバはそそくさと王の謁見の間を後にした。
色々と考える事があったり、仕事も忙しかったりで投稿に時間が空いてしまいました…。やっぱり書くのは楽しいですね。ストレス発散!笑。