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1 異世界ティールームへようこそ

 原 夢子23歳無職独身彼氏なし。

 就職決まらず実家にパラサイト。

 お小遣いもらって家事を手伝う日々……とほほ。



 これはヤバイよね。

 うん、自分でもそう思うんだけど、どうしたら就職できるんだろう。

 面接いっても落ちるし、面倒になってきた。



 自暴自棄になっていたある日、ふと親戚の叔父さんのジュリーを思い出した。

 某歌手に似ているとの事でこのあだ名になったらしい。

 家に行くといつも居て美味しい紅茶を淹れてくれた。

 脱サラして喫茶店やるんだと言ってたっけ。

 でも3年前に突然いなくなった。

 文字通りいなくなった。

 捜索願いもだした。

 事件に巻き込まれたのかもといわれたが、何か事件がおきた形跡がない。

 家出にしては荷物がそのまま家に置いてある。

 今もそのままだ。

 いつか帰ってくるかもと荷物はそのままにしている。

 周りの人は皆事件か何かに巻き込まれて亡くなったと噂してたっけ。



 私としては突然またフラっと帰ってくるのかなって思ってる。

 自由な感じの人だったし、よく旅行に出かけていた。

 どっかの国のお土産だと言って、可愛いブレスレット貰ったっけ。

 金で出来てて、青いストーンがはめられている華奢な感じのデザイン。

 ジュリー、なかなかいいセンスしてるじゃんと思ったもんだ。



 久々にブレスレットを引っ張り出した。

 キラキラ光る青いストーン。

 なんの石かわかんないけどすごく綺麗だ。

「またジュリーの紅茶が飲みたいなあ……」

 ひとりつぶやく。

 ジュリーに会いたくなってちょっと寂しい気持ちになってきた。

「遊びにいこ」

 すっくと立ち上がり、ジュリーの家に向かった。



 ジュリーの家は古い一軒家だ。

 庭もあって草だらけ。

 誰も手入れしてないなこれ。

 今この家に住んでるのは叔母の和子さん。

 叔父とこの家で一緒に暮らしていた。



「元気にしてるかなー」



 お邪魔する前に草だらけの庭が気になって庭をのぞいてみる。

 けっこう広い庭で、木も花も無造作に植えてある。

 その無造作っぷりがオシャレな感じに見えるから不思議よね。

 ジュリーが置いたであろうテーブルと椅子が草の中に見えた。



「なんだか寂しそうだなあ」



 誰にも座ってもらえずそこにぽつんと置かれてあるだけの椅子とテーブル。

 ちょっと可哀想な気持ちになり、なんとなく座ってみた。

 濃い緑色のガーデンテーブルセット。

 軽く目をつぶると懐かしいジュリーの顔が浮かんだ。



「会いたいなあ……」



「よお!夢子も誘われたか!!」



「!!??」




 何がおきた。

 ビビった。

 そして文字通り飛び退いた。

 目の前にほんとにジュリーがいるではないか。

 細身で短髪、目元が印象深い懐かしい顔。

 少しだけ低めの懐かしい声。



「え?え?」



 理解が追いつかない頭を必死にフル回転させる。

 ニコニコしながら私の顔を見るジュリーは3年前と変わらない。

 辺りを見渡せば古い感じの広めな喫茶店。

 カウンター席に座っている自分。

 向かい側にはティーポットから紅茶を注ぐジュリー。



「異世界ティールームへようこそ」



 叔父のジュリーはニヤリとしながらティーカップを私の目の前に置いた。

はじめまして。

読んでくださりありがとうございます。

マメに更新出来ればと……

思っております。

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