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海辺の幻  作者: 山口真生
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男の本音

「…っにしても、いねーもんだな」征彦が、サングラスを掛けながら砂浜でキャッキャッキャッキャッしてる女の子を見ながら言った。

「郁弥ですら、ダメだもんなー。」溜め息をつきつつ、暑く照らしてる空を睨む。


それもその筈、ここにきて二時間になるが、いまだナンパが成功しないのだ。


「俺ら、顔とか普通だと思ってるし。郁弥なんて、学校じゃモテてんのにな…」郁弥の背中を軽く叩きながら言った。


「負けたくねーなー。あいつらには…」

「うん」

「…。」


郁弥が言った、「あいつら」とは、俺らと同じ寮にいるイケメンと噂されている、神宮寺隼人・向井聡・角川了平の3人だ。学年一モテるし、彼氏にしたい男コンテストでも常に上位にいるが、こいつらも童○だ。モテすぎるのもいかんらしい。


夏休みに入る前の中間考査で、聡が言った。


「なぁ、勝負しねーか?」

「勝負?なんの?」

「ゲームか?」征彦が、スマホから顔をあげて言う。

「…っな訳ねーだろ。ゲームじゃ、俺らに勝ち目はない。」銀縁眼鏡を軽く押し上げながら俺を見ながら笑った。

「じゃ、なんだよ?」

「じ・つ・は…」


それが、夢の島海水浴場でのナンパだった。しかも…


「負けたら、向こう1ヶ月風呂場の掃除、だ。」


風呂場の掃除は、かなり体力を消耗する。俺らが通う県立笹平学園は、中高一貫の寮付きの高校であり、故にその寮ですら学校と同じ規模であり、風呂場なんて、各学年にひとつあるからひとつの風呂場の掃除だけでも三時間かかる。


「やる!」郁弥が、口を開いた。

「じゃ、俺ら…も」って事で、こうして夢の島海水浴場にいるって訳。


「チケットとかは、タダだけど」チケットは、神宮寺に貰ったのだ。



「な、な、あいつらは?」と征彦が俺らの近くでレジャーシートに座りながら、こっちをチラチラ見てはクスクス笑ってる女の子3人組を指差した。


「あっ?」


確かに可愛い感じの水着ギャルが、3人笑いながらこっちを見てる。


「おっ、デカッ…」


バシッ…征彦が、サングラスを頭に掛けながらニヤニヤ笑った。


「どうする?」俺の言うこれは、『誰が行く?』だった。


「とりま、3人で行くか?」郁弥の言葉に頷き…


「ね、おねーさん!」

「なーにしてんの?」と征彦と郁弥が声を掛け、俺は後ろに…。


『こいつら、慣れてんなー。童○なのに…』


「んー、海に泳ぎに来たんだけど…」左に座ってる黒いセパレートを着た遥さん、

「人が、ねぇっ」と赤いビキニにデカい胸を強調した綾子さん、

「暑くて…休んでる」とズレた反応をした美紀さんは、青い花柄の水着を着て、少し笑っていった。


「じゃさ、今からそこのホテルのプライベートプールなんてどう?」郁弥が、海水浴場近くの大きなホテルを指差した。


「ホテル?!えっ?」

「でもぉ…」

「ねぇ…」3人顔を見合わして、言葉尻を濁す。


「あ、俺ら、宿泊客じゃないんで!」


『んな、たけーとこ泊まれねーし』


「チケットあんの。タダで入れるからさ」


『神宮寺が、海水浴場とホテルプールのタダ券くれたからな』


「どうする?」とまた3人でヒソヒソ話してて…



「じゃぁ、荷物…」

「持って…」

「くれるかな?」

「「「いいともーーーっ!!」」」


ひとり分(女の子の)+α(自分)の荷物を持ち、話をしながら夢の島万座ホテルにつき、ゾロゾロと屋上のプールにいった。



「なぁ、司…」

「俺、綾子さんがいい」

「おい、俺が目をつけてたんだぜ?」

「俺、誰でもいい」征彦は、ボソッと呟き、郁弥に肘鉄を食らった。


「あらー、どうしたの?」噂の人物・綾子さんが胸をプルンプルン揺らしてこっちに向かってくる。


「いや、なんでもないです」痛みに顔をしかめながらも、笑顔を絶やさない。


で、コッソリじゃん拳をして、俺→美紀さん、隼人→綾子さん、征彦→遥さんのペアになり、浅いプールでのんびり話ながら泳いだりした。


ロングスライダーでは、男女ペアでキャーキャー言いながら子供に負けじと遊んだし、他の子供も交えて、遊んだりもした。


まだ、ギラギラと照りつく太陽は、頭の上…


「アッチで泳ぐか…」浅いプールに、子供が多くなり視線が痛くなりつつあった。


「えっ…」と最初遥さんが戸惑ったけど、綾子さんが笑いながら「大丈夫!大丈夫」と言って引っ張っていった。泳ぐのが苦手なのかもしれない、と思った。


「あ、泳ぎ苦手?」と聞くも、「そうじゃないけど…」と言葉尻を濁す遥さん。

「あー、もしかして化粧?」遥さんは、他の二人よりも少し濃い化粧をしていた。それだけで?とも思ったが…

「ほら、はーるーか!行くよ。」と美紀さんが…遥さんを…


ドボーンッ…と突き飛ばし、


ピピィーーーーッ!!とホイッスルが鳴り、俺ら何もしてないのに、一緒に怒られたし。


「信じらんないっ!!」と美紀さんは、遥さんに怒られ、綾子さん笑い続ける。


「…。」なんだろう?何かおかしい。


ツンツンッと脇腹を郁弥につつかれ、なに?と小声で話すと…


「な、遥さん顔変わった?」

「どうだろ?」

「あんな顔だっけ?」3人でコソコソ話す。


『何かが違う』ような気もするが、男の俺らには、何が違うのかわからない…


「ねね、3対3で競走しない?」綾子さんが、少し離れた場所から俺らに声をかける。


『そういや、綾子さんも顔つきが変わった?美紀さんは、普通だけど…』


で、男と女に別れて50メートルリレーをすることにしたんだけど…


「…。」

「勝った!」

「…。」

「勝っちゃった!」

「…。」

「ごめんね。私達、元水泳部なんだ。」そう美紀さんが、申し訳なさそうに言ってたけど。


「嘘だ…」といいたくのる位、3人の肩幅は狭いし、二の腕も細かった。


「ほんとよ。綾子は、県大会で、優勝したからね」美紀さんが、のんびりと言った。


「あ、うちあそこ行きたい…」美紀さんが、指差したのは、流れるプール。


へこんだ気持ちを消し去り、少しでも近付く為に…


「きゃっ!!」

「速いね。」

「お水、つめたーい!」とやはり間の抜けた発言をする美紀さん。


一同、流れに身を任せ思い思いに進む。


ちょっとだけなんだけど、綾子のおっぱいに手が当たった。少し固かった。バレなくて良かったです。


でも、段々と人が多くなってきて、流れる水も速くなってきて、全員遭難…いや、離ればなれになった。


「ま、いっか。その内、プールあがるし」と思って、のんびりプールを楽しむ事にした俺。


それでも、腹は減るものでプールサイドに上がり、他の奴等を待つ事にした。


暫く待つと、郁弥と征彦が上がってきたものの、綾子さんらが来ない。


「こねーな。」

「荷物は、あるのにな…」


デッキチェアには、それぞれのタオルや携帯、ロッカーの鍵を入れたケースが置かれてるから、まだプールにいる筈なのに、なかなか出て……


「あっ!来た……かな?」


黒いセパレート、赤いビキニ、青い花柄の水着を着た3人の女の子がこっちに向かって歩いてるのがわかった…けど…


「違うな。人違いだろ?」

「だな。だって、綾子さんあのデカさだぜ?」男3人集まるとエロい話に華が咲く。



ギシッ…


「はぁー、楽しかったー。」と黒いセパレートの水着を着た可愛くない貧乳の女が座って、タオルで顔を拭いた。


「あの…そこ俺らの連れの…」

「ん?そうよ。」

「遥ー、目薬貸して…」と青い花柄の水着を着た女が、隣に座った赤いビキニの女に言う。


俺ら3人、無言になって水着の女を見る。


「郁弥?」

「あ、あぁ。」

「どうする?」俺が言った、どうする?は無論…

「帰るか…」

「うん。」


「綾子さん…それ…」と水着の胸元を指差した。

「えっ?あっ!いやぁーーーーっ!!」

「あっ!!」

「やだ!うそっ!!」あの美紀さんまでもが、あわてふためく。


それもその筈、遥さんの顔が別人でした。綾子さんは、胸がなかったし、顔が別人だし、美紀さんは顔はそのままだが、胸が全くなかった…



「いくらさー、誤魔化せるったって…」

「なぁ…」

「あれは、きついわー」


俺ら3人プールサイドを歩く背中に、まだあの3人の悲鳴に近い言葉が聞こえてきた。


風呂場の掃除、決定、かと覚悟していたが、神宮寺らもナンパは不発に終わったらしく…


「女は、詐欺る!」

「怖すぎる…」と、就寝の時間まで俺ら6人同じ部屋で愚痴りあっていた。



その後、秋になる少し前までにそれぞれに彼女が出来、無事に童○を卒業する事が出来た。



あの頃のお姉さんたち、どうしてるのかな…



化粧は、まぁ女の子にとっては、マナーなのかも知れないし、よく見せたい!とか思いがちです。

が、水着に余計な物を足すのは、どうかと作者は思います笑

水着についてるのだけでいいのでは?


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