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「ダリアの幸福」  作者: 麻丸。
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「拙い願い」


登場人物


高橋日向 双子の兄。一人称は俺。

高橋彼方 双子の弟。一人称は僕。

坂野亮太 クラスメイト。バスケ部。

中村将悟 クラスメイト。金髪バンドマン。

矢野千秋 クラスメイト。日向に好意を寄せていた。

渡辺真紀 バスケ部マネージャー。亮太の幼馴染。

竹内京子 二年生。優樹の妹。

新田百合 一年生。日向の恋人。

桜井虎丸 二年生。日向のバイト仲間。サッカー部。

白崎先生 精神科医。

リッキー 犬。ゴールデンレトリバー。

お姉さん リッキーの飼い主。

竹内優樹 彼方の働くボーイズバーの店長。京子の兄。

篠田 誠 優樹の店で働く従業員。元ヤンキー。将悟のバンド仲間。

麗華   彼方の客。

智美   彼方の客。

梨本浩一 カフェ・フレーゴの店長。

川口順平 カフェ・フレーゴのシェフ。


 「拙い願い」





「…おはよ~。」


優樹が起きてきたのは、十九時半を過ぎたころだった。

彼方はとっくに出勤準備を済ませ、客との同伴のために、そろそろ家を出ようとしていたころだ。

昨日、当日欠勤をしてしまったから、出勤前に優樹に謝ろうと思っていたから、

すれ違わなくてよかった、と彼方は思った。


「もう!お兄ちゃん、寝すぎ。今何時だと思ってるの?

 何回も起こしたのに、全然起きないし!」


不機嫌そうに、京子は唇を尖らせる。

親切心で何度も何度も起こしたのに、寝起きの悪い優樹が起きなかったからだ。

そして、この時間は遅刻ギリギリだ。

京子が兄と過ごせる時間は、ほとんどない。


「え?起こした?」


優樹はまだ眠そうな瞳で、不思議そうに首を傾げる。

起こされていることにすら、気付かなかったのだろか。


「何回も何回も起こした!」


「俺が起きるまで起こさないと、起こした意味ないだろー?」


「起きない方が悪いでしょ!」


「そんなに怒るなってー。」


京子は優樹の前でだけは、年相応の子供っぽい仕草を見せる。

不機嫌そうに怒る京子に、優樹は平然とした顔で笑う。

まるで子供をあやしている親みたいだ。


「彼方もおはよ。」


ヘラヘラとしたまま、優樹は彼方に笑いかける。


「おはようございます。」


昨日は急に仕事を休んだりして、怒っていると思ったが、優樹はヘラヘラと笑っていた。

でもちゃんと謝らないと。この場所にいられなくなったら、困る。


「あの…優樹さん、昨日は急にごめんなさい。」


彼方はソファーから立ち上がって、優樹に頭を下げる。

その言葉に、優樹の笑みは消えた。


「あー…彼方、そこに座れ。」


「え…?」


頭を掻きながら、少しぶっきらぼうに優樹は言う。

やはり怒っているのだろうか。

ニコリともしない優樹は、少し怖い。

彼方は戸惑って、立ち尽くしてしまう。


「いいから、座れ。」


優樹の強い声に、彼方は大人しくソファーに座り込む。

ゆっくりと優樹が近づいてきて、右手を持ち上げる。

殴られるんじゃないかと、彼方は身構えてギュッと目を瞑った。


けれど、痛みなんてなかった。

優樹の手は彼方の頭にそっと触れる。

そして少し乱暴に、でも優しく、わしゃわしゃと頭を撫でた。

それはまるで、大型犬でも愛でているような感じだ。


「優樹さん…?あの…怒ってます…?」


突然の優樹の奇行に、彼方はただただ戸惑うしかできない。


「ん?怒ってねえよ?」


優樹の声は、いつもの軽い調子に戻っていた。

怒っていないのなら、これは一体何なんだろう。

優樹は、何を思ってこんなことをするのだろう。


「じゃあ…えっと…あの…何してるんですか…?」


彼方は恐る恐る顔を上げる。

今この瞬間も、優樹の手は彼方の頭を撫で続けていた。

せっかくセットした髪が、ぐちゃぐちゃだ。


「…飼い犬を愛でてる…って感じ?」


優樹は首を傾げて、答える。

自分でもよく分かっていないみたいだ。


「お兄ちゃん、寝ぼけてるの?」


「いや、俺はいつだって大真面目だ!」


呆れたような京子の表情に、優樹はいつものようにおどけて笑ってみせる。

どうやら、本当に怒っているわけではないようだ。

彼方は安心して胸を撫で下ろす。


「ちょっと彼方のことを、ヨシヨシしてやりたい気分だっただけだよ。」


そう言って、優樹は彼方の頭から手を離して、微笑んだ。


優樹の突拍子もない行動はいつものことだ。

いつも優樹は、突然よくわからない行動を起こす。

そうだ、いつものことだ。

そう思って、彼方は優樹の行動を気にはしなかった。


「お兄ちゃん、そんなこと言ってないで、早く準備しないと遅刻するよ。」


「うわ、やべ!彼方は今日同伴?」


壁に掛けられている時計を見て、優樹は完全に目が覚めたようだった。

慌てた様子で、寝巻のジャージのポケットから取り出した携帯電話を見つめる。

きっと客から、メールでも来ていたのだろう。

もしかしたら、優樹も客と同伴の約束をしていたのか。


「あ、はい。智美さんと焼き肉行ってから、出勤します。」


「わかった。同伴遅刻するなよ。じゃあまたあとで店で!」


そう言って、優樹は足早に風呂場へと、シャワーを浴びに行ってしまった。

彼方はぐちゃぐちゃにされた髪の毛に溜息を吐いて、時計を見ながら髪の毛をセットし直す。

優樹がセットを崩したせいで、同伴に遅刻しそうだ。







結局、宿題はあまり進まなかった。

夏休みということもあって、テレビでお笑い特番が3時間も流れ続けたからだ。

亮太も、真紀も、そして自分も、その番組に夢中になり、

宿題なんて、そっちのけになってしまった。

それでも、なんとか日向は、二枚だけプリントを終わらせた。たった二枚だけ。

テーブルの上には、まだ手を付けていない分厚いプリントの束が残っている。

あと何枚くらいあるのだろう。百枚近いくらいか。

どうして自分は、今日まで宿題があることを忘れていたのだろう。

もっと早く気付いていたなら、こんなに慌てる必要もなかったのに。


夏休み終了まで、たった一週間。

その期限の内に、百枚近いプリントを終わらせなければいけないと思うと、憂鬱になる。

明らかに時間が足りないし、自分は数学が苦手だ。数字を見るだけでも頭が痛くなる。

それに、バイトだってあるし、百合に会う時間も減らしたくない。


日向は、盛大に溜息を吐いた。


「はあ…。二学期までに、宿題終わらない気がする。」


時計は二十二時を回り、亮太と真紀は帰り支度をしようと、

テーブルの上の勉強道具を片付けていた。

いや、亮太はテレビを見ているだけで、

真紀が亮太の鞄に亮太の筆箱やプリントを詰め込んでいる。

まるで亮太の保護者みたいだ。


「彼女といちゃいちゃしてばっかいるからよ。」


真紀が言うことは正しい。

確かに、夏休みはほぼ毎日百合と過ごした。

でも、それだけじゃない。最近は、毎日働きに出ている。


「…バイト、始めたんだ。」


「え?マジで?何のバイトしてんの?」


亮太は視線をテレビから日向へと向ける。


「飲食店の調理。」


「あ、そっか。専門学校だったら受験勉強しなくてもいいもんね。…宿題はしなきゃだけど。」


日向が短く答えると、真紀は少し意地悪そうに笑う。


「どこの店で働いてんの?」


「学校の近くのプレーゴっていう、カフェダイニング。」


「かふぇだいにんぐ?」


聞きなれない言葉に、亮太は首を傾げる。


「へー。あのお洒落なお店?なんか意外ー。」


似合わない、と言われれば、そうかもしれない。

カフェ・プレーゴは、こんな田舎には珍しくお洒落な造りで、

主な客は地元の女子高生やカップルが多い。女性に人気なんだ。

メニューもパスタやオムライスなどのお洒落な洋食がメインで、スウィーツなども豊富だ。


「別に、そこが一番近かっただけだよ。」


こんな田舎じゃ、働く場所も少ない。

電車に乗って少し先に行った街には、此処よりも働くところがたくさんあるだろうが、それは遠すぎる。

夏休みだけじゃなく、学校が始まっても通える場所は、プレーゴしかなかった。


「なーなー!今度遊びに行ってもいいか?真紀ちゃんも一緒に!」


「いいけど…俺厨房から出られないぞ。」


百合も同じようなことを言っていたが、人のバイト先に来るのは、そんなに楽しいのだろうか。

バイトをしている姿を見られるのは、なんだか恥ずかしい。


「アンタは宿題を終わらせるのが先!遊んでる場合じゃないでしょ!」


「ちぇー。なんだよー。真紀ちゃんだって友達と遊んでるくせにさー。」


亮太は拗ねたように唇を尖らせる。

でかい図体をして、この男は子供のような仕草をするのだ。


「私は宿題終わってるからいいの!」


真紀はとっくに宿題を終わらせているらしく、随分と余裕があるみたいだ。

先程も日向と亮太が宿題をしてるのを見ながら、面倒見よく亮太に勉強を教えていた。

幼馴染とは、みんなこういうものなのだろうか。

亮太と真紀の関係は、ただの幼馴染には見えない。

それは真紀が亮太に好意を寄せているからだろうか。

けれど、亮太は百合のことが好きなず。


日向は自分のことばかりで、周りのことを全然見ていなかったことに気付く。


そうだ、亮太は百合のことが好きだったんだ。

亮太は自分の彼女の百合のことを、自分が百合と付き合う前から、好きだったんだ。

もしかしたら、今もその想いは変わっていないのかもしれない。

自分の前では屈託なく笑うが、本心はそうじゃないのかもしれない。

本当は、無理して笑っているだけなのかもしれない。


「亮太、あのさ…。」


日向は声を潜めて、亮太に話しかける。

真紀はテレビに視線を向けながら、亮太のプリントの数を数えていた。


「なんか…ごめん。百合のこと。」


謝ったって、どうなるわけでもない。

けれど、言わなければならない気がした。

そうでなければ、自分と百合の関係が、許されないような気がした。

許されたいだなんて、烏滸がましいけれど。


亮太は一瞬驚いたような顔をして、すぐにニッコリと笑った。


「何言ってるんだよ!気にするなよ、そんなこと!」


いつもと変わらない、大胆な笑顔。

明るい亮太の、眩しい笑顔。


「でも…亮太だって、百合のこと…」


伏し目がちになる日向の言葉を遮って、亮太はおかしそうに笑う。


「それは昔の話!よかったじゃん、両思いで!

 それに、百合ちゃんは日向といたら、幸せそうだしな。」


その言葉には、嫌みなんて感じなかった。

それが、裏表のない亮太の、素直な気持ちなのだろうか。

自分が百合といることを、許しくてくれるのだろうか。

日向は少しだけ、心が軽くなった。



「…っていうかさ、どこまでやった?」


亮太は先程とは打って変わって、茶化すようにニヤニヤと笑う。


「は…?」


「百合ちゃんと!」


「何言って…」


「将悟の家では、暑い夜を過ごしたんだろー?」


亮太の言葉の意味を察して、日向は顔が熱くなるのを感じる。

亮太の言いたいことは、おそらく男女付き合いのアレだろう。

年頃の男子高校生が好きそうな話題だ。特に、亮太は。

将悟の家で、誠が茶化すように言ったキスマークのくだりで、完全に勘違いされている。


「なあなあ、どこまでやった?最後までした?」


亮太は純粋に聞くが、内容は不純だ。

そういうことは人に言うことでもないし、真紀だって傍にいる。

女子のいる前で、いや亮太にさえ、恥ずかしくて、

とてもじゃないけど、言えるわけない。

日向は顔を真っ赤にして、動揺してしまう。


「さ…最後って…」


「どーなんだよ、日向!」


亮太は赤面する日向を気にもせず、無邪気な笑みで答えを催促する。


「いや…どうって…。」


日向は照れ隠しのように、赤く染まる頬を隠すように手で覆う。

いかがわしいことは一切していないけれど、恥ずかしくてそんなこと言えない。

何も答えられず、日向は口を噤む。

そして、助けを求めるように、真紀に視線を向けた。

真紀は日向の視線に気付いて、手に持っていたプリントの束で亮太の頭を叩く。


「なんっつーことを聞いてんよアンタは!」


バサバサと音を立てて、亮太を叩いたプリントの束が、床に落ちる。

渡辺真紀は、少し男勝りで乱暴なのだ。


「いてっ!!真紀ちゃんひどいー。」


亮太は大げさに頭を押さえて、唇を尖らせた。


「アンタはデリカシーが無さ過ぎるのよ!」


「だって気になるじゃんー。」


「だってじゃない!」


真紀は小さな溜息をついて、散らばったプリントを拾い集める。

亮太には悪いが、日向は解放されたことに安心して、肩を落とす。

百合の話題を出した自分が馬鹿だった。

今度から亮太の前では百合の話は控えよう。


「ほら、帰るわよ!」


真紀は亮太の荷物を片付け終えて、亮太の鞄を押し付けるように亮太に手渡す。


「ええー、もうー?まだ帰りたくねーよー。」


亮太は唇を尖らせたまま、駄々をこねる子供のようなことを言う。


「もう十時過ぎてるんだから、迷惑になるでしょ!」


自由で本能的な亮太と違って、真紀は常識があるみたいだ。

ヤダヤダする子供のような亮太の首根っこを掴んで、

真紀は少し乱暴に玄関へと亮太を連れ出す。

慣れているのか、真紀は軽々と亮太の無駄に大きな図体を引き摺る。


我儘な子供と世話焼きの母親。夫婦漫才。喧嘩するほど仲がいいカップル。

いや、これじゃあ馬鹿犬と飼い主か。

引き摺られていく亮太と、引き摺って行く真紀を見て、日向は頭の中でそう思った。


「日向ーまたなー!」


亮太は玄関まで引き摺られ、少し名残惜しそうな顔を見せた。

しかしすぐ笑顔に戻って、長い腕をブンブンと振りながら真紀と自宅へ帰った。



帰り際の亮太が、尻尾を振って懐いてくるリッキーみたいだった。

そういえば、リッキーと、あの飼い主のお姉さんには、しばらく会っていない。

自分はリッキーが苦手だから、あの海岸には近寄らないだけだけど。

あのお姉さんとリッキーは、今でも毎日海岸を散歩しているのだろうか。


彼方は、動物が好きだった。

自分と同じくらい、いやそれより大きな体のリッキーと、楽しそうに遊んでいた。

自分はどうしたらいいかわからず、ただ逃げていたのに、

彼方は無邪気な笑顔で、懐いてくるリッキーを可愛がっていた。

手懐けていたというよりも、リッキーに遊ばれていたという感じだったが。

飼育委員の仕事でも、いつも一人で小さな兎を膝に抱えて、

自分の図書委員の仕事が終わるのを待っていた。


彼方は動物が好きだ。

けれど、人間が嫌いな一面があった。

誰とでも仲良さそうにニコニコと楽しそうに話すけれど、彼方は息を吐くように嘘を吐く。

その嘘は、他人を自分の深いところへ入れないための嘘だ。

他人に本心を見せないための、拒絶の嘘。

社交的で人懐っこいなんて言われているが、彼方は上辺だけの付き合いしかしない。


話しかけられたらにこやかに答えるけれど、自分からは話しかけない。

それに、絶対に他人に触れようとはしないし、触れられることすら拒む。

強く拒絶するわけではなく、言葉巧みにやんわりと、他人との線引きをする。

暗に『これ以上は踏み込むな』と壁を作り、相手を引き離す。


そうやって上手く線引きして、彼方はクラスメイトに囲まれながらも、孤独だった。

いや、自ら望んで、余計な人間関係を築かないようにしていた。

そんな彼方が心を開くのは、自分だけだった。

それは二人で作り上げた箱庭のせいか、ずっと昔から自分に恋心を抱いていたからなのか。

今はもう、日向にはわからない。


彼方は教室では楽しそうにクライスメイトと話すのに、

放課後や休みの日は、絶対に誰とも会ったり、遊んだりしない。

学校とプライベートを完全に分けていた。

彼方が髪を切ったあの日までは。


髪を切ってから、彼方は変わった。

百合の言うように、変わろうとして髪を切ったのだろうか。

だとしたら、彼方はどうなりたかったのだろう。


毎日のように、自分を置いて先に学校に行き、放課後は夜遅くまで帰って来なくなった。

何処で誰と何をしているのかは知らないけれど、

その頃から、知らない香りをチラつかせるようになった。

くどいくらいの甘い匂い。それは女性の化粧品や、香水の匂いのようだった。

化粧品や香水の匂いが残るくらい密着して、

誰と、何を、していたのだろう。


だって、意味がわからない。

自分のことが『好きだ』と言っておいて、

『離れていかないで』、『傍にいて』と縋りついてきて、

あろうことか、無理矢理キスまでしておいて、

髪を切った途端、手の平を返すように、自分を避け始めた。


もしかしたら、彼方が髪を切って変わったのは、自分のことを諦めようとするためではないか。

だから自分のことを避けるようになったし、夏休みも自分に会わないように、敢えて遠くのバイトを選んだ。

『ブリーダーになりたい』と言ったのも、自分が絶対選択しない職業だと思ったからなのではないか。

『彼女作りなよ』と言ったのも、本心じゃなくて、自分のことを諦めるための、口実がほしかっただけじゃないのか。



日向は山積みにされたプリントの束を見つめる。

全然進んでない。勉強は苦手だ。終わる気配すらない。

ああ、そういえば、彼方はいつも夏休みの宿題は、最終日になって慌てるタイプだったな。

バイトばかりでほとんど家に帰っていないのだから、今年も全く手を付けていないだろう。

自分の宿題が終わったら、写しておいてやるか。


だって、彼方はちゃんと帰ってくる。

彼方の帰る家はここだけだ。他に行く宛なんてない。

ここは自分と彼方の家だ。だから、ちゃんと帰ってくる。

真っ白のプリントに慌てさせないためにも、兄らしく弟の世話を焼かないと。

そうだ。自分たちは双子なんだ。離れるわけがない。

彼方が、自分の傍を離れられるわけがないんだ。

だから、帰ってくる。きっと、きっと。



静かになった部屋で、日向は独りでプリントにペンを走らせた。


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