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「ダリアの幸福」  作者: 麻丸。
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「最後のお泊り」


登場人物


高橋日向 双子の兄。一人称は俺。

高橋彼方 双子の弟。一人称は僕。

坂野亮太 クラスメイト。元バスケ部。

中村将悟 クラスメイト。金髪バンドマン。

矢野千秋 クラスメイト。日向に好意を寄せていた。

渡辺真紀 元バスケ部マネージャー。亮太の幼馴染。

竹内京子 二年生。優樹の妹。

新田百合 一年生。日向の恋人。

桜井虎丸 二年生。日向のバイト仲間。サッカー部。

白崎医師 精神科医。

リッキー 犬。ゴールデンレトリバー。

お姉さん リッキーの飼い主。

新田 椿 百合の姉。

竹内優樹 彼方の働くボーイズバーの店長。京子の兄。

篠田 誠 優樹の店で働く従業員。元ヤンキー。将悟のバンド仲間。

麗華   彼方の客。

智美   彼方の客。

梨本浩一 カフェ・フレーゴの店長。

川口順平 カフェ・フレーゴのシェフ。

美波沙織 看護師

高橋奈津子 日向の母親



 「最後のお泊り」




週末の金曜日。

学校を終えて、日向は百合と共に家に向かっていた。

今日は、いつもより百合の荷物が多い。

右肩にスクールバックを下げて、右手には学校指定の皮の学生鞄。

パンパンに膨らんだ可愛らしいウサギが描かれたトートバッグは左肩に、左手には傘が握られていた。

天気予報では午後から雨が降ると言っていたが、どうやら外れたみたいだ。

空を見ると、薄い雲の隙間から晴間が覗いていた。


「荷物、俺持つよ。」


「え、いいですよ!重いし…」


百合は、首を左右に振って拒否する。

両手が塞がっているのだから、首を振ることでしか拒否できないのだろう。


「手、繋げないだろ?」


そう言うと、百合はおずおずと「じゃあ傘だけ持ってください。」と言った。

渡された傘を持って、空いた左手を繋いでも、百合はまだ重そうだ。

何か重たいものでも入っているのか、足取りはフラフラと左右に揺れる。

華奢な体でこんな大荷物を運ばせるのは、さすがに彼氏としては見過ごせない。

それに、手を繋いでいても左肩のトートバッグが邪魔をして、いつもより百合との距離が遠い。


「百合、そっちのトートバッグも持たせて。」


日向は、パンパンに膨らんだトートバッグを指さした。


「こ、これは駄目です!」


「重いだろ?」


「大丈夫です!」


何か大事なものでも入っているのか、百合は頑なにトートバッグを渡さない。

仕方なしに日向は、別の荷物を持ってあげようと、


「じゃあスクールバッグ持つから、貸して。」


そう言うと、百合は大人しくスクールバッグを渡してきた。


「ごめんなさい、持たせちゃって。」


「いいよ。急に言いだしたの俺なんだし。」


そして、百合はトートバッグを右肩に持ち替えて、再び手を繋いだ。

さっきよりも近付く距離に、日向は安心感を覚えた。


母親の退院が、来週の月曜日に決まった。

しばらく百合を家に呼ぶことができなくなるため、今日と明日は、百合に家に泊まってもらうことにしたのだ。

百合の荷物が多いのは、二日分の泊り道具が入っているせいだろう。

これは、自分のワガママだ。けれど、百合は喜んで了承してくれた。

そんな百合の優しさに、自分はいつも救われている。


母親の様子は、相変わらずだった。

何度も繰り返した検査の結果は、異状なし。

けれど、記憶を取り戻すことはなかった。

あれから何度か病院に出向いたが、母親は穏やかな笑みで自分を迎えた。

平和で安穏とした日々。

いつ、どうなるかはわからないけれど。


「今日はスーパー寄らないんですか?」


「うん。買い出しは昨日のうちにしておいたし。」


「今日のご飯はなんですか?」


「内緒。今日は、ちょっと奮発して豪華なの作るから楽しみにしてて。」


「豪華なのですか?なんだろう。楽しみだなあ。」


そう言って、百合は笑う。


最後のお泊りと、二人は呼んでいた。

別に、別れるわけではない。これからも百合と付き合っていくつもりだ。

けれど、母親が退院して家に戻ってきたら、百合を家に呼ぶわけにはいかなくなる。

母親に彼女を紹介するのも気が引けるし、万が一、百合に何かあったら困るからだ。

いつまで母親が家にいるかわからないし、ずっといるのかもしれない。

次に百合と一緒に眠れる日がいつくるかわからない。

だからこの三日間は、日向と百合に残された最後のお泊りだった。


家に着いて、荷物を置いてから、百合が好きなミルクティーを淹れた。

百合に合わせて自分も同じものを飲むうちに、日向もミルクティーが好きになっていた。

百合は気付いていないかもしれないが、いつもより少し高い茶葉を選んだ。

たっぷりのミルクと、くどいくらいの甘い角砂糖で、最後の日を彩る。


「今日は、いっぱい甘やかしてあげますよ。」


そう言って、ソファーに座った百合は両手を広げて微笑む。

その胸に飛び込めば、百合の甘い香りに包まれた。


「ふふっ、ひーくんは甘えんぼですね。」


百合は自分を抱きしめて笑う。


「甘やかしてくれるんだろ?」


日向も百合を抱きしめて、微笑む。

温かい体温。落ち着く甘い香り。華奢で柔らかい体。

百合を抱きしめて、百合に抱きしめられると、ひどく安心した。

ミルクティーに入れた砂糖より甘い時間だった。


一日目の夕食は、日向一人で作った。

百合も手伝うと言ってくれたが、断った。

百合を驚かせて、喜ばせたかったのだ。

メニューは魚介のパエリアと野菜のコンソメスープ。

パエリアなんて作ったことはなかったけれど、たまたま雑誌で作り方が書いてあって、見栄えもいいし、豪華に見えるし、百合のために作ってみようと思ったのだ。

具材はイカとタコとエビ。野菜もたっぷりと入れて、フライパンで蒸し焼きにする。


蓋を開けた時、あまりの出来の良さに嬉しくなって、キッチンから百合を呼んで見せた。

我ながら子供っぽいと思うが、それくらい初めて作ったパエリアに自信があったのだ。


「わあ!すごい!パエリア?パエリアですか?ひーくんパエリアも作れるんですか!?」


百合も興奮した様子で、フライパンの中のパエリアと自分を見比べる。

思惑通り、百合は驚いて、喜んでくれた。

そんな百合の素直で無邪気なところが好きだった。嬉しそうな笑顔が好きだった。


それから二人で夕食を取って、順番に風呂に入った。

先に百合に風呂を進めると、百合は冗談めかして「一緒に入ります?」なんて悪戯っ子のような笑みを向けてきた。

「いや、いいよ…。」と照れながら拒否すると、「そう言うと思った」と百合は可笑しそうに笑った。

無意識なのか、そんなことを言われると心臓に悪い。

百合のことを性的な目で見るようになってしまってからは、百合の言葉や仕草の一つ一つを意識してしまう。

そんな目で見てはいけないと思いながらも、日向の中には悶々とした感情が溜まっていった。


風呂場から出てきた百合の髪を乾かすのは、すっかり日向の役目になっていた。

百合を椅子に座らせて、後ろからドライヤーを当てる。

慣れた手つきでいつものように百合の髪を乾かしていると、百合がパジャマにしているパーカーが肌蹴て、肩が露出していることに気付いた。

白いブラジャーの肩紐が見えている。

白だなんて、百合らしい。なんて思ったけれど、すぐに恥ずかしくなった。

何を思っているんだ、自分は。そんな目で見てはいけないとわかっているのに。

日向は目のやり場に困って、髪を整えるふりをして、できるだけさり気なくパーカーを上げて肩ひもを隠した。


「あ。」


そのことに気付いたのか、百合は小さく声を上げる。

日向は動揺を隠しながら平静を装う。


「な…何?」


「…なんでもないです。」


そう言って、百合は少しおかしな顔をした。

日向は内心ドギマギしながら、百合の髪を乾かした。


夜が更けてきて、二人は日向の部屋へと入った。

日向が換気で開けっ放しだった窓を閉めていると、百合がおかしな行動をしていた。

しゃがみ込んで、何かを探しているみたいだ。


「…何やってるの?」


「坂野先輩が、男子がエロ本を隠すのはベッドの下だって言ってたんです。」


ベッドの下を覗き込みながら、百合は言う。


「ないよ、そんなの。」


「ないんですか。」


「ないよ。」


「なーんだ。」


百合は、つまらなさそうに肩を落とす。

ベッドの下には、何も置いていない。

百合がいるのに、そんな本を読んだりはしない。

そもそも、そんな物を買う勇気なんて、自分にはない。

何度か亮太に無理矢理借りさせられたことはあるけれど。


その日は、いつものように手を繋いでベッドに入った。

ピッタリとくっついて、指を絡めて、いつものように何気ない話をした。

けれど、その夜の百合はいつもより饒舌だった。

まるで今日が終わるのを惜しむように、いつまでもいつまでも、他愛のない話を続けた。

学校のこと、テストのこと、学園祭のこと。ありふれた、普通の会話だった。

日向は相槌を打ったり、頷いたりして、百合の話に耳を傾けた。

日付が変わっても百合は喋り続け、しばらくして話すことがなくなったのか、無口になった。

そして、自分の様子を窺いながら、静かに抱き付いてきた。


「ひーくん、もう眠いですか?」


「…ちょっとだけ。」


静かな部屋で、時計の針の音だけが響く。

カチ、コチ、と今日が終わっていく音。

百合と一緒に眠れるのは、今日と明日だけ。


「ねえ。キス…してください。」


甘えるような上目づかいで、百合はキスを強請る。

理性が崩れてしまいそうだった。

月明かりで照らされた白い肌。小さな赤い唇。悩ましい瞳。

パジャマの胸元から覗く僅かな谷間に情欲がそそられて、日向は生唾を飲み込んだ。

最後のお泊りならば、いっそ百合がほしい。百合の全部がほしい。

数えきれないくらい頭の中で想像したことを、今ここで百合にしてしまいたい。


いや、ダメだ。変なことを考えてはいけない。

百合はそういう意味で言っているんじゃない。

自分は何馬鹿なことを考えているんだ。


日向は、邪念を振り払うように目を伏せて、百合に小さくキスをした。

触れるだけの、短いキス。

これだけでも、今の自分はどうにかなってしまいそうだった。


「…もっと。」


唇が離れると、百合は名残惜しそうな表情を見せ、もう一度キスを強請った。

先程と同じように軽く口付けると、百合はもっともっとと、日向を求めた。

日向は百合に求められるまま何度も何度もキスをして、百合は何度も何度もキスをせがんだ。

結局、百合の寝息が聞こえてきたのは、午前三時を過ぎた頃だった。


百合は縋りつく子供のように自分をギュッと抱きしめたまま、あどけない寝顔で眠っている。

百合がこんなにも無防備な姿を晒すのは、自分が変なことをしないと思っているからだろう。

信頼されていることが嬉しい反面、日向は自分の邪な気持ちに恥ずかしくなった。


自分は、百合が思っているほど紳士ではない。

百合に手を出さないのは嫌われたくないからだ。

けれど、自分だって人並みに性欲くらいはある。

いつだって百合の体に触れたいと思っているし、その衣服を脱がせたいとさえ思ってしまっている。

白く滑らかな肌を露わにして、キスをして体に舌を這わせて、もっと深くまで繋がりたいとも思っている。

実際、頭の中では、自分に都合のいい妄想をして、何度も百合を犯した。


日向は、静かに眠る百合を見つめてみる。


閉じた瞼。長い睫毛。雪のように綺麗で白い頬に、薄く開いた唇。

この唇と、さっきまでキスをしていたんだ。

そっと指を押し当ててみると、柔らかい感触がした。

自分とは違い、少しも荒れていない潤いのある唇。

その隙間からは、小さな赤い舌が覗いていた。


本音を言うと、キスだけじゃなく、百合と舌を絡めてみたいとも思う。

でも急にそんなことをしたら嫌われるかと思って、なかなか踏み出せずにいた。

それに、そんなことをしてしまったら、歯止めが利かなくなりそうで怖かった。


もっと百合と色々なことがしたい。

もっと百合がほしい。百合の全部が欲しくてたまらなかった。


自分がプレゼントした百合の右手薬指に輝く指輪。

百合は律儀に毎日つけてくれている。

子供じみた独占欲だと思われるかもしれないけれど、百合が自分のモノだと言う証が欲しかった。

いつも自分は、百合が誰かに取られやしないかと、百合に愛想を尽かされないかとヒヤヒヤしている。

だって、百合は可愛い。可愛いだけじゃなくて、優しくてとてもいい子だ。

そんな百合がモテないわけがない。男なら誰もが目を引く容姿だと思う。

現に、身近に百合に好意を寄せていた友人もいる。

それに比べて、自分には何の取り柄もない。

ただ、人よりほんの少しだけ、器用なだけ。

何でもいいから、百合を繋ぎとめるものがほしかった。

それが指輪だなんて、少しキザすぎたかもしれない。

けれど、目に見える形がないと、不安になるんだ。


日向は指輪が光る百合の右手を取り、手の甲にキスをしてみた。

唇に吸いつくような滑らかな柔肌に、なんだかひどく興奮した。

百合は静かに寝息をたてて眠っている。目を覚ます気配はない。


少しだけ、少しだけ、もっと百合に触れたい。


日向は手を伸ばし、百合の頬に触れた。

自分とは違う、女の子特有の柔らかさに、胸がドキドキした。

そのまま手を滑らせ、首筋、肩をなぞる。

細く、折れてしまいそうなほど華奢な体。けれど、百合の優しさと同じように。温かかった。

そして、百合がパジャマにしているパーカーのファスナーに手を掛けた。

その瞬間、


「ううん…。」


百合はそう小さく漏らし、寝返りを打った。


その声で、日向は我に返った。

なにをしようとしていたんだ、自分は。

自分がしていたことが、信じられなかった。必死に理性で押し込めていたのに。

嫌な汗が体中から吹き出る。心臓がバクバクと脈打った。

こんな、寝込みを襲うような真似をしそうになったなんて。

まだ興奮が覚めないまま、日向はそっとベッドを抜け出して、逃げるようにトイレに駆け込んだ。



次の日の百合は、少し様子がおかしかった。

二人はソファーに腰掛けて、いつものようにテレビを眺めながら他愛のない話をしていた。

日向は昨日の罪悪感から、百合と目を合わせ辛かった。

けれど、昨日のことを知らない百合は、いつものように無邪気に笑う。


百合はもう秋だというのに、肩が出た寒そうなキャミソールのワンピースを着ていた。

胸元が大胆に開いている。肌の露出がいつもより多い。それに、スカートもいつもより短い。

ソファーの上で膝を抱えるように座ると、スカートが捲れ上がって白い太ももが露わになる。

下着が見えそうになっていることを百合は気付いていないのか、日向は目のやり場に困った。

視線を上げると、百合の腕には鳥肌が立っていた。寒いのだろう。

当たり前だ。もうそんな薄着で過ごせるほど暖かくはない。

日向は暖房のスイッチを入れて、百合の膝にブランケットを掛けた。


「あ。」


何も言わずにブランケットを掛けたことに驚いたのか、百合は小さく声を上げる。


「どうしたの?」


「なんでもないです。」


昨日と同じだ。

百合は、拗ねているような、残念そうな、なんだかおかしな表情をするのだ。

これは、誘っているのだろうか。いや、違う。きっと、自分を試しているんだ。

こんな単純なことで自分が百合に手を出さないか、試しているんだ。

ならば、百合の理想通りに紳士に接しないと。


そう思った日向は、部屋の奥からカーディガンをひっぱり出してきて、百合の肩に羽織らせた。


「寒いんだろ?最近冷えるんだから、そんな薄着してたら風邪ひくぞ。」


百合は少し面白くなさそうな表情をして、けれど素直に「はあい。」と言ってカーディガンに袖を通した。


その日の百合は、ずっと携帯電話を気にしていた。

メールの受信音が鳴るたびに携帯電話を手に取り、指先を画面に滑らせる。

また受信音が鳴ったら、すぐに携帯電話を確認する。

いつもは二人でいる時は、あまり人とメールなんかしたりしないのに。

今日の百合は、そのメールの相手に夢中な様子だった。


日向は、なんだか面白くない気持ちになる。

そりゃ、百合にも友達付き合いがあるのもわかるし、あまりうるさく束縛するつもりもない。

けれど、一緒にいる時くらい、メールの相手なんかよりも、自分を見ていてほしい。


「誰とメールしてるの?」


「内緒です。」


百合は、画面に目を落としたまま答える。

こっちを見てもくれない。


「俺に言えない人?男?」


日向がムキになって聞くと、百合は顔を上げておかしそうに笑った。


「拗ねてるんですか?」


そう百合に言われて、初めて自分が唇を尖らせていることに気付いた。

メールの相手に嫉妬をしてしまうなんて、恥ずかしい。


「そんなんじゃないですよ。男の人だけど、浮気とかじゃないです。」


クスクスと笑いながら、百合は否定する。

自分といるのに、自分以外の男とメールしているなんて、面白くない。

醜い嫉妬だとはわかっていても、日向は追及を止められなかった。


「じゃあ誰?」


「坂野先輩です。」


「亮太?なんで?」


「ちょっと聞きたいことがあっただけです。」


そう言って、メールを打ち終えたのか、百合は携帯電話の画面を下にして机に置く。

それからも、百合は自分を気にしつつ、メールの受信音が鳴るたびに携帯を手にした。


百合がしゃがめば下着が見えそうになるし、だぼだぼのカーディガンからはしょっちゅう白い肩が覗く。

大きく開いた胸元には無意識に目が行ってしまうし、自分を見つめて微笑む姿はなんだかいつもより色っぽく見える。

百合は自分に見せつけるように髪を掻き上げてみたり、細く白い足をしょっちゅう組み替えてみたり。

日向は、その仕草の一つ一つに心を惑わされ、頭に浮かぶ邪な感情を必死に理性で押し込めた。


「ねえ、ひーくん。」


そう甘い声で言って、百合は自分にくっつくようにして腕を絡める。

腕に柔らかい感触がした。百合の胸が当たっている。


「な、なに?」


この可憐な天使は、自分がこんなに悶々としているのも知らずに、無邪気に振る舞う。


無意識なのだろうか。それとも、本当に誘っているのか。

百合は、自分が手を出すのを待っているのではないか。

いや、それは違う。自分に都合のいいように考えすぎだ。

いつもより一緒にいる時間が長くて、今日が最後のお泊りだからと理由を付けて、自分が過剰に意識しているだけだ。

不純なことを考えてはいけない。冷静にならないと。


そうは思っても、なかなか胸の高鳴りは抑えられなかった。


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