自傷少女
彼女は自らの手で自らに傷をつける。
「可愛いでしょ?」
そう言って見せつけたピンクのカッター。
それは血にまみれて、彼女の白く柔らかな肌を傷つけ切り裂く。
「私の友達なの」
そう言って抱きしめるうさぎのぬいぐるみ。
いつからか糸がほつれ、綿が抜き出されズタズタにされただろう。
「それがなきゃ眠れないの」
そう言って奪う小瓶。
彼女の生命線とも言える一錠の薬。
でも…誰も知らないことがある。
なぜ彼女がこうなってしまったのか。
壊れてしまったのか。
傷の意味を、友達の意味を、薬の意味を、誰も知らない。
だから今日も彼女は、人知れずに己を傷つけては涙を流す。
少女の傷は埋まらない。
自傷少女は今日も傷つく。