表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/39

柏竜治の秘密③

 ◇


 夕暮れ時。

 三人は、アガニマスター・イノベーションセンターをあとにし、近くのファミレスに入った。

 テーブルに備え付けられたタブレットで注文をする。


 真弓「私、フライドポテト食べるよ」


 天胡「ここ、オムライスが美味しいらしいよ。オムライスを食べなよ」


 真弓「最初は軽くつまみたいの」


 青樺「あと、わたしはオムライス嫌い」


 天胡「知らんがな」


 青樺「彼氏とのデート先を決める過程でオムライス屋さんとオムライスを死ぬほど見たの」


 天胡「じゃあ死ね」


 青樺「ねぇ、酷くない? そのセリフって、おもしろいアニメを見た人が感想を尋ねられて、『死ぬほどおもしろかった』って言ったときとかに返す言葉じゃん。『ちゃんと死んで製作陣に敬意を表せ』ってセリフも付け加えて言うやつじゃん」


 天胡「そういう使い方だったんだ……。知らなかった。ちゃんと覚えるよ」


 青樺「よくできた妹だ」


 真弓「別に覚えなくていいから。覚えたところで、しょうもない討論のしょうもない揚げ足取りにしか使えないから」


 青樺「そうだ。唐揚げを食べよう」


 真弓「聞いてるの?」


 天胡「まゆ姉が悪いんだよ。揚げ足トリの話なんてするから」


 真弓「ごめんなさい」


 天胡「でも青樺姉、タンパク質ばかりじゃなく、もっと炭水化物を摂った方がいいよ」


 青樺「って言われてもなー、ラーメンぐらいしか食べたいものがない。あっ、でも、うどんはいいな。かけそばも。冷やし中華やそうめんもあり」


 天胡「もう蕎麦屋行けば?」


 青樺「行かねえよっ! この店で頑張って美味しそうなラーメン探すから」


 天胡「じゃあオムライスラーメンでも食べたら?」


 真弓「オムライスラーメン⁉」


 青樺「オムライスはいいよ。いや、でもちょっと気になる。何それ?」


 天胡「普通のラーメンにはメンマが載っているでしょ。そのメンマの代わりにオムライスが載っているの」


 青樺「いいじゃん。そういうのが食べたかったんだよ!」


 真弓「ハイカロリーそう……」


 三人はタブレットをいじり、麺のメニュー一覧からオムライスラーメンを探すが、残念ながらこの店にはなかった。


 しかし、三人は一つ気になるメニューを見つけた。


 青樺「サンラータンメン……。何だこれ?」


 メニューにはそれの写真がなかった。


 真弓「私もわからない」


 天胡「一回頼んでみたら?」


 青樺「いや、得体のしれないものを頼むのは危険すぎる。金が無駄になる可能性が高い」


 真弓「投資に失敗するとかじゃないんだからさ、心配することないでしょ」


 青樺「とりあえずライスだけは注文しよう。そして問題のサンラータンメン」


 天胡「ラーメンではなくタンメン。それじゃあ、ラーは何だ?」


 真弓「ラー油のラーとか?」


 青樺「ラー油のラーなら、結構辛い系のタンメンになるのか」


 真弓「担々麺じゃん」


 天胡「でも担々麺だったら担々麺って書くでしょ。これはサンラータンメンだから、まだ何か秘密があるんだよ、きっと」


 真弓「つまり、サンラーのサンに秘密があるってことね」


 青樺「そう。わたしが思うに、サンは数字の三だと思う」


 天胡「えっ、じゃあ、一度に三杯のラーメンが出る、ってこと?」


 青樺「そっち⁉ わたしは麺とスープと具が三倍になるのかと思ってた」


 真弓「どっちも量変わらないでしょっ!」


 天胡「というか量が三倍なら、デカ盛りグルメ屋で出されるべきでしょ。ここファミレスだよ」


 真弓「じゃあもう根本的にサンの意味を取り違えているわね」


 天胡「あー、なんだろう。太陽を英語にしたsunが由来なのかな?」


 青樺「すげえ熱そうなラーメンだな」


 天胡「えっ、じゃあさ、サンが太陽なら、ラーは太陽神のラーじゃないの?」


 青樺「太陽(サン)太陽神(ラー)タンメンってこと⁉」


 真弓「エジプト要素強くない?」


 青樺「ファミレスって、そんなエジプトしい料理ないだろ」


 真弓「何? エジプトしいって」


 天胡「どちらかというと、太陽太陽しいでしょ」


 真弓「それも意味わかんないよ」


 青樺「太陽太陽しいとなると、メチャクチャ熱そうだぞ」


 天胡「じゃあやっぱり辛い系なんじゃない?」


 青樺「多分、辛いだけじゃなくて、溶岩みたいにグツグツしているんだよ」


 天胡「食べられるか?」


 青樺「どうだろう。比較的辛い物好きだが、わたしは耐えられるのだろうか」


 天胡「ライスも頼むんでしょ?」


 青樺「忘れてたわ。じゃあ大丈夫だ」


 真弓「ライスへの信頼厚すぎでしょっ!」


 そして注文を行い、サンラータンメンとライスが運ばれた。

 彼女らが予想した禍々しいものとは違い、どんぶりには唐辛子が入っておらず、かき玉子とトマトピューレが注がれていた。


 天胡「これがオムライスラーメン?」


 真弓「絶対違うよ」


 青樺「要素が似ているだけで別物だな」


 そして青樺は、慎重に麺を啜る。


 青樺「うわっ、酸っぱい。思ってたのと全然違う」


 天胡「美味しくないの?」


 青樺「美味しくないわけじゃないけど、全然辛くないからちょっと口に合わない」


 真弓「変にチャレンジするよりも、定番を攻めた方が良かったかな?」


 青樺「かもしれないな」


 天胡「それにしても、まさかメニューに写真を入れないとはな」


 真弓「すっかり店に()()()()()()()わね」

ひとまず連載は完結です。

読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ