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NGワードゲーム⑤

【NGワード】

リア→『口腔』

トニー→『キャベツ』

安岡→『乳房』

虎屋→『尻』

チャルプス→『アナフィラキシーショック』

青樺→???

【四回戦】

[生存者]

リア、安岡、青樺


 リア「人数も少なくなってきたし、そろそろ青樺のアレコレを丸裸にしてやるか」


 青樺「最初からやれよっ! 本気じゃなかったのかよっ!」


 リア「最初から丸裸にしたら、脱がせる楽しみがないだろ」


 青樺「体の話かよっ! わたしの素性全部を明かすんじゃないのかよっ!」


 リア「別に素性ぐらい心を読めばいいだろ。素肌だけはわたしの能力じゃどうしようもないんだ」


 青樺「どうしようもないままの方がわたしは嬉しい。永遠にどうしようもないままであってほしい」


 リア「ちなみに安岡は、自分の部屋だと全裸だぞ」


 安岡「そんなことはない。さすがに上だけは着る」


 青樺「下も着ろよっ!」


 リア「そういう趣味なんだ。許してやれ」


 青樺「そうだな……。許してやるか」


 安岡「なんか嬉しくない」


 青樺「乳首と同じぐらい、言葉にも敏感なこいつがそんな趣味を持っているなんて、将来()()()()()だな」


 安岡「有望(ゆうぼう)だろっ! どんな間違いしてんだよっ!」


 青樺「さすがだ。わたしの間違いを()()()に拾いやがる」


 安岡「つぶさだろっ!」


 リア「お前の指摘、マジで()()()タイミングだぞ」


 安岡「ベストタイミングだろっ!」


 青樺「リーダーに歯向かうなんて、ずいぶん()()()()()な奴だ」


 安岡「それを言うなら勇敢(ゆうかん)な奴だろっ!」


 青樺「リアの性格的に、()()()()()にされてもおかしくないのに」


 安岡「さらし首だろっ!」


 リア「わたし、そこまで()()()()()しないぞ」


 安岡「蹂躙(じゅうりん)だろっ! いつまで擦るつもりだよ」


 青樺「どこを?」


 安岡「どこを……って、訊き方がおかしいだろっ! 物理的に擦ってるわけじゃねえよっ!」


 青樺「とりあえず、イケるところまでイキますかぁ」


 リア「わたしもそうするわ。乳房(ちぶさ)に敏感になったし、乳房も敏感になったし」


 安岡「効いてるかどうか訊いてねえんだよっ!」


 青樺「よくそんな()()()()な答えが出るよな——」


 安岡「ベストな答えだろっ!」


 青樺「——真弓にその技術あげたいわ」


 リア「買ってくればいいじゃん」


 安岡「買えるもんじゃねえだろ」


 リア「クーパーマーケットに売ってないの?」


 安岡「売ってるわけねえだろっ!」


 青樺「それにクーパーマーケットじゃなくてスーパーマーケットだろ」


 安岡「スーパーにもねえよっ! そもそも喋りはモノじゃねえんだよっ!」


 リア「クーパールーパーなら売ってるんじゃない?」


 青樺「ウーパールーパーだろっ!」


 安岡「ウーパールーパーもスーパーに売ってねえよっ! もう疲れた……」


 青樺「よかったな。わたしとリアのおかげで、お前は手持()()()汰にならねえんだから」


 安岡「また()()()言ってるし」


 青樺、安岡の股間を殴る。


 安岡「ぶふぅぇっ…………」


 青樺「ようやく言ったか。手こずらせやがって」


 安岡は、自分のNGワード『乳房』を確認する。


 安岡「俺……、これが……NGワード」


 彼を見て、リアも焦燥にかられる。


 リア「お前の喋りに少しは期待していたんだが、お前が先にリタイアとは……」


 安岡「あと一歩……。あと一歩で、柏青樺を……」


 リア「それ以上は言うな」


 安岡「そっ、そうだった……」


 青樺「最後に言っておきたいことはあるか?」


 安岡「……まさか、乳房を揉むならまだしも、乳房に揉まれるとはな……。ムネだけに無念だ」


 安岡は安らかな顔をしながら気を失った。


 青樺「……最後まで乳房を引っ張るのな」


 リア「乳房を引っ張ったら痛いだろっ!」


 青樺「物理的に引っ張るわけじゃねえよ。こいつは、自分の性格の穴を突かれて負けた。こいつは下ネタが許せない側の人間だ。でも最後は乳房で締めた。それはお前に対する忠誠だ。乳房でしか自分の忠誠心を示せないほど不器用なのは、実に勿体無いがな。真面目そうな男なのに」


 リア「あの、安岡の心が全然読み取れないんだが……」


 青樺「忠誠を示すのは何も心だけじゃねえ。形で示したっていいだろう」



 安岡敦男 脱落



【五回戦】

[生存者]

リア、青樺


 リア「そうじゃなくてー、気を失うほどの力で殴るのが怖いんだけど」


 青樺「じゃあ、わたしや妹たちを狙うなよっ!」


 リア「それは無理だ。わたしたちは、一秒でも早く能力者を集めなきゃならない。だからわたしが先にお前を倒す」


 青樺「それはない。わたしの方が先だ。先に自分の()()()でも済ませておくんだな」


 リア「そんな必要はねえよ。それよりも、お前は破瓜(はか)参りを済ませたのか?」


 青樺「何ちゅう言葉作りやがるだ」


 リア「言えないのか?」


 青樺「そういうお前はどうなんだ?」


 リア「言うわけないだろっ! セクハラだぞっ!」


 青樺「今更っ⁉ 言っておくが、わたしはお前みてえな、()()()()()()()()()()じゃねえんだぞっ!」


 リア「お前もなんて言葉作りやがる」


 青樺「そういう意味でもわたしたちは、()()()()()()()()ってところかな」


 リア「同じ穴のムジナだろっ! 今までの人生で注意されたことないのか? “高等学校”時代とか」


 リアは自信たっぷりに、『高等学校』だけ強調して言った。彼女はNGワードが口腔(こうこう)であるから、同音異義語である高校を避けることに注視しつつ、青樺に余裕を見せつけた。


 一方、青樺のこめかみには汗が垂れ、唇も震えが止まらなくなっている。

 リア(さぁ、負けを認めろ。大人しく能力者を寄こせ)


 青樺の心の中は次の通りである。

 青樺(コウコウって他に何がある? 高校はもうあいつが使っちまったし。もう残りは煌々しかないだろ。いや、孝行もあるのか。でもなー、わたし親不孝だしなー。いやそもそも一年近く家に帰らないで誕生日プレゼントも郵送で済ます親父が悪いんだけどー。あー、どうしよう。というか、あいつはどうなんだよ。絶対親不孝だろ」


 リア「あの、心の声が漏れてるぞ」


 青樺「マジ⁉ どの辺から?」


 リア「誕生日プレゼントのあたりから。ちなみに、さっき心は読んだから作戦はバレてるぞ。それと、わたしは親不孝だぞ」


 青樺「でもわたしの方が親不孝だぞ。間違いない」


 リア「いや、そんなマウント、誰も興味ねえよ」


 青樺「誰もって気軽に言うなっ! それによー、わたしの親父は意地でもわたしらに居場所をバレたくないんだぞ。誕生日プレゼントだってニュージーランドから送られてきたし」


 リア「航空(こうくう)便かよ」


 リアはみぞおちを力一杯殴られた。青樺の前では、瞬く間すら与えられなかった。


 青樺「勝負ありだな」


 リア「ぐっ……、なぜ?」


 青樺「お前のNGワード『口腔』は、コウコウとコウクウ、どちらで読んでも構わないからだ。お前の浅い知識量と油断を見るに、ずっとコウコウとしか思っていなかったようだな」


 リア「まっ、待ってくれ。わたしは『航空』と言っただけで、『口腔』とは言っていない」


 青樺「そんな言い訳、小説でしか通じねえぞっ!」


 青樺は足でリアの頭を踏みつけた。リアは青樺の足を噛んで反撃に出たいところだが、みぞおちの痛みが止まらず、手でそこを抑えつけることしかできなかった。


 リア「痛い痛い痛い痛い。やめてっ! 踏まないでっ! うどんを打つときみたいに踏まないでっ!」


 青樺「あのなぁ、妹たちにやった仕打ちを考えたらこれでも踏み足りねえぐらいだぞっ! とにかくな、お前は負けたんだ。心理戦で負けたんだ」


 リア「こんなもの、正々堂々としていないだろ……」


 青樺「言ったことは言ったんだ。認めろよ。みっともない」


 リア「ふざけるなァ……っ! それじゃあ、わたしたちのユートピアは……、終わってしまうではないか……」


 青樺「終われよっ!」


 リア「わたしが負けるだと⁉ こんだけ部下も連れて来たのに……何故だ。何故だ何故だ何故だァッ!」


 青樺「部下がいなかったら、わたしはリアばっかりに気を取られて負けていたさ。お前一人で来ればよかったのに。この小心者が。弘前くん、警察呼んでくれる?」


 弘前「ん、あぁ、了解」


 リア「くそぉぉぉぉおおおおおおおっ…………」



 波戸野リア 脱落



 最後に青樺は、自分の掲げているNGワードの書かれた紙を見た。そこには、達筆に『胸』と書かれたいた。

 途端、彼女は、背中を触られたような悪寒に襲われた。

 青樺(安岡の奴、乳房でわたしを落とそうとしたのか……。リアも二人まとめて落とそうとしたのか。本当に危ねえじゃねえか)


 青樺は安堵の息を吐いた。



 十分後。柏家に警察車両がやって来て、リアとその部下を含めた五人が逮捕された。気絶している真弓、天胡、央中、川田は未だに意識が戻らないため、救急車で病院に搬送された。命に別状はなさそうだった。


 すっからかんになった家に青樺と弘前は取り残される。


 青樺「妹が帰って来たとき、何もなかったら寂しいよね?」


 弘前「何か作るの?」


 青樺「唐揚げでも作ろうかな」


 弘前「よく作る気になれるね」


 青樺「冷蔵庫に、鶏の胸肉があるからね」


 弘前「アウト!」


 青樺「もう終わってるよ!」


 弘前「そうだったね」


 二人は分担して、鶏の唐揚げを作った。



 三時間後。真弓と天胡が家に帰って来た。家の中には誰もおらず、机には、皿に乗せられてラップで包まれた唐揚げの山があった。


 真弓「これ、姉さんが作ったのかな?」


 天胡「きっとそうでしょうね」



 この日、青樺は夜の十時になるまで帰って来なかった。帰ってすぐ、昼間に何が起きたのかを妹に尋ねられた。

 波戸野リアをどのように倒したのか? 妹をどのように助けたのか? それを青樺の口から答えることはしなかった。というか言えるわけがなかった。


 波戸野リアは逮捕された。これで柏家に襲い掛かる能力者の魔の手もなくなることだろう……。

キャラリスト

【アガニマスター】

波戸野リア(危険度★★★☆☆)

…柏竜治を目指して柏家に押し掛けた。能力は、人の心を読むこと。これは常時発動している。本作の元凶


【組織の者】

トニー・ジキルトハイド

…リアに組織を乗っ取られた。今はリアの部下として働いている


安岡敦男

…リアの大学時代の同級生。リアと共に組織に入る


虎屋浩大

…都市研のバーベキュー会を監視していた


チャルプス・ヴァルプルギス

…趣味は簿記

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