ついに登場!岡田先生③
店内には警察官が入り、現場の状況を整理している。
岡田「ふぅ……、一件落着だな」
真弓「何だったんだろう。今の時間」
天胡「結局ヒーローは、あのおじいさんだったね」
真弓「そうだね」
岡田「失礼な。僕だってあいつらの心を動かしたんだぞ」
と、そのとき、背後にいる女性警察官が、
警官「午前十時三十分。あなたを恐喝容疑で逮捕します」
岡田「えっ⁉ 今⁉」
天胡「そういえば恐喝していたね。『金を出せっ!』って」
岡田「いや、あれは冗談じゃん」
真弓「どう考えても冗談じゃすまないだろっ!」
岡田「えっ、待って。ねえ、僕も署に連行されるの?」
警官「もちろんです」
天胡「よかったねえ」
真弓「あいつらと一緒に罪を償ってきなさい」
岡田「嫌だァッ…………僕はただ、見本を見せただけなんだァーー。助けてくれェーー……」
こうして岡田もパトカーに乗せられた。
その後、業務は通常通り行われ、真弓と天胡の新規口座も無事作られた。
これにて一件落着。
◇
一時間後。
柏家では三姉妹が昼食を食べていた。
真弓「姉さんさぁ、岡田先生って知ってる?」
青樺「あぁ、知ってるぞ。わたしの高二の担任で、同好会の顧問もあの先生だった」
天胡「そうなんだ」
青樺「岡田先生がどうしたんだよ?」
真弓「今日、銀行に行ったら強盗事件に巻き込まれたんだけど、たまたま同じ場にいたのが岡田先生だったの」
青樺「マジでっ⁉」
真弓「そんなに食いつく?」
天胡「自分の作った焼きそばもそんなに食いついていないのに」
青樺「腹減ってないからしょうがない、それは。で、岡田先生何したの?」
真弓「えっとォ、強盗犯の前で恐喝して……」
青樺「強盗にっ⁉」
真弓「窓口の職員に」
青樺「何してんの?」
真弓「本当に意味が分からない。その後、逮捕されたし」
青樺「何してんの? また逮捕されたのかよ」
真弓「またって、あぁ、盗撮のこと?」
青樺「違う違う。痴漢のこと」
真弓「そうなんだぁ。『盗撮してから教師をやめさせられた』って言ってたから、気になってたんだよね。盗撮関係ないんじゃないかって」
天胡「それで、何で痴漢したの?」
青樺「親父曰く、痴漢冤罪ふっかけられたらしい」
真弓「それは可哀そう」
天胡「冤罪って、その場で否定はしなかったの?」
青樺「したらしいよ。『僕はお尻を触っただけで無実だ』って」
真弓「同情して損した」
青樺「えー、いいな。岡田先生に会ったなんて、羨ましい」
真弓「会ったところで何するつもりだよ」
青樺「別に、何かしたいとかじゃないの! 暇潰しにクズ人間みたいな奴を見ておきたいの!」
真弓「本当にそういうの好きね。趣味悪いからやめた方がいいよ」
青樺「何でだよ。やめないと家出するつもりなの?」
真弓「そこまではしないよ。当てがなさすぎるし、別に今の生活で満足しているし。私は単に、そんな趣味を持っている姉さんが将来変な人間になってほしくないの」
天胡「手遅れ感が否めない」
青樺「そんなこと言わないでよォ~。未来のわたしが変な人間になるかなんてわかるわけないでしょ。真弓はわかる?」
真弓「父さんがなぜ岡田先生の痴漢証言を知っているのかと同じぐらいにはわからないよ」
青樺「それはねぇ、親父と先生は高校の同級生で、定期的に連絡を取っていたからだと思う」
真弓「なるほど。今すぐその趣味やめちまえ」
キャラリスト
岡田泉成
…柏青樺の高校二年の時の担任。かつて痴漢で捕まった経験がある元犯罪者。現在は恐喝で捕まった犯罪者
三浦風之助
…犯罪者
橋本雷衛門
…犯罪者
高齢男性
…多分資産家




