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① オタクな転生王子だけど地味に努力してます!~今日も筋トレと魔法修行~  作者: あんてな
第一章

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第四話

 王都に雪が積もり始めた頃。

 王城の中は、白い石壁に魔導暖炉の光が映え、

 どこか神秘的な温もりに包まれていた。


 生後9ヶ月になったレオンは、

 ついに兄姉が見守る中「掴まり立ち」練習に挑戦していた。

 まわりに柔らかな毛布を敷き、レオンは両手で台に掴まりながら、

 ぷるぷると震える脚に力を込める。


 (よし……まずは下半身の安定!

 前世で培ったバランスの全てをここに注ぐッ!)


 「あ、立った!レオンが、立ちましたわ!」

 「よくできたの~」

 「すばらしい!」「うんうん!」


 皆が歓声を上げた瞬間、レオンは誇らしげに胸を張り――

 ぷるぷるぷる……どさっ!見事に尻もちをついた。


 「きゃっ!?だ、大丈夫レオン!」


 「……ぶばぁ」(くそぉ…足がまだ安定しない……!)


 そんな内心のぼやきをよそに、ソフィアはほっと息をつく。

 「ふふ、よく頑張りましたね。さすがレオンです」


 そのとき、部屋の扉がノックされた。

 「母上がいらっしゃたようですよ」


 入ってきたのは王妃セシリア。

 彼女の姿はまるで陽だまりのようで、

 淡い金髪に穏やかな微笑みを浮かべている。

 「レオンはうまく立てたかしら?」

 「少し立てたけどすぐに尻もちつきましたわ。」

 「あら、もう少し早く来れば立てたところ見れたのね。」

 俺は、はいはいで母に近づくと、そっと抱えられた。

 

 「ライナルト、シリルそろそろ鍛錬の時間になるわよ」

 「もうそんな時間でしたか」

 「行きましょう兄上」

 二人は立ち上がるといそいそと出て行った。


 「今日はお兄ちゃんたちの鍛錬見学するレオン?」

 「ううー」(する~)

 「では行きましょうね~」

 『私たちも行く~』


 俺たちが訓練場に到着すると鍛錬が始まった。

 木剣を打ち合う音が響く、それは若き王子たちの修練の証。

 王家の誇る第一王子ライナルトと、第二王子シリルが剣を交えていた。


 「はああっ!」

 「おおっと、動きが速くなったなシリル!」

 「兄上には、負けませんっ!」


 ライナルトの剣が、軽やかに風を裂く。

 対するシリルも、幼いながら鋭い突きを見せた。

 木剣がぶつかり、乾いた音が響くたび、空気が熱を帯びていく。


 訓練場の端では、俺と王妃と姉二人、そして騎士たちが見守っていた。


(うお……兄ちゃんたちの訓練ってマジの実戦仕様じゃん!?)


 第一王子ライナルトは金髪を後ろでまとめ、

 長身の体をしなやかに動かしながら、木剣を振るっている。

 剣筋は無駄がなく、打ち合うたびに「バキン!」と鋭い音が響いた。


 その隣で、第二王子シリルが小型の木剣を両手で握って奮闘している。

 彼の動きはまだ荒いが、情熱と元気だけは一人前だ。


「シリル、もっと足を開け! 重心が上がってるぞ!」

「くっそ、兄上みたいにはいかないな……!」


(これぞ少年マンガでよく見る兄弟修行シーン。

 観てるだけでテンション上がる!)


 レオンの目はきらきらと輝いていた。

 ――と言っても、外見上は“母に抱かれて目をぱちぱちさせてる赤ん坊”である。


「ふふ、レオンも興味津々ですね」


(そりゃ興味も湧くわ。見たところ、明らかにステータス差がある。

ライナルト兄は【筋力350】【技量290】【敏捷210】、

シリル兄は【筋力210】【技量180】【敏捷260】か)


 転生以来、レオンは鑑定によって

 ステータスの相場を感じ取るようになっていた。

 本人にとってはもはや、呼吸のような感覚だ。


 そんな二人の稽古を見ていると、少し離れた芝生では、

 見るのを飽きたのかソフィアとミリアが魔法の練習をしていた。


 「はぁ……火よ、理をもって灯れ、ファイア」

 ソフィアが詠唱を唱えると、指先に小さな炎の球が生まれる。

 「ふふ、いい調子ね。ミリアもやってみなさい」


 「えいっ! ……わわっ、燃えすぎ!」

 ミリアの手から炎が跳ね、慌ててソフィアが水魔法で消火した。


 「もう、力をこめすぎなのよ。魔力の制御は“イメージ”が重要なの」

 「むずかしい~」


 (……うん、可愛い。努力してる姿が可愛い。)


 レオンは思考の中で、自分なりに整理を始める。


 ――【魔法は魔力+詠唱】で発動する。

 詠唱が設計図、魔力が材料、イメージが完成図といったところだ。

 俺が無詠唱で魔法が発動できているのは、

 完成図と設計図が一括りになっているからだろう。

 これも魔術王スキルの効果なのだろうか?実にすばらしいスキルだ!


 満足げにうなずく赤ん坊。

 その様子を見ていたソフィアが、そっとレオンの頬をつついた。


 「ふふ、レオンも見てたのね。弟に見られると、ちょっと恥ずかしいわ」

 「ん、あう」


 「きゃっ、今の“あう”って、もしかして“がんばれ”って言ってるのかしら!?」

 「わ、わたしも聞いた! レオンが応援してくれてる!」


 ミリアが喜びの声を上げ、二人は顔を見合わせて笑い合う。

 その笑顔を見て、レオンはほんのり頬を緩めた。


 (……あぁ、癒される……。こういう日常、前世で欲しかったやつだ)


 その後、兄たちの訓練と姉たちの魔法練習を一通り見終えたレオンは、

 母の腕の中でまどろんでいく。

 頭の中では、今日見た技の一つ一つが“経験値”として整理されていくようだった。


 (ライナルト兄上の剣は“パワー型”、シリル兄上は“スピード特化”。

 姉上たちは“火・水の基礎魔法”。なるほど、家系的にバランス型か)


 気づけば、レオンは寝息を立てていた。

 リディアはそっと微笑み、その額に手をかざした。


 「おやすみなさい、レオン様。……きっと、素敵な夢を見ているのでしょうね」


 風が窓を抜け、光が柔らかく差し込む。

 中庭では兄姉たちがなおも練習を続け、その声が遠くから聞こえてくる。



 夜風が穏やかに吹き抜ける。

 月の光が一筋、寝室の窓を照らす。

 目を覚ました俺は夜だと気づく。


 「あぅ」(鍛錬の音が心地よくてすっかり寝ちゃったぜ)

 母様が寝ているのを確認すると、(ステータス)と心の中で唱えた。

 

 【名前】レオン・グラディア

 【年齢】0歳

 【職業】グラディア王国第三王子

 【レベル】1 経験値 37/50


 【体力】 :61

 【魔力】 :10783

 【持久力】:52

 【筋力】 :56

 【耐久力】:47

 【知力】 :168

 【精神力】:153

 【敏捷】 :47

 【技量】 :58

 【幸運】 :1093

 

 【スキル】:魔術王 鑑定 状態異常無効 精神異常無効

 【加護】 :創世神の加護


 (うんうん、順調にのびてるな。)

 (レベルを上げなくても伸びるのは意外だった、

 ポ〇モンの努力値のようなものかな?)

 (レベルが上がった時が楽しみだ)


 ステータスを確認し終えると俺はまた眠りについた。

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