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① オタクな転生王子だけど地味に努力してます!~今日も筋トレと魔法修行~  作者: あんてな
第四章

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第三十三話

 その日の夜、王城の会議室にて昨日と今日起きた出来事に対する

 会議が開かれていた。


 「それではまず報告から聞こう」低い声。国王バルグリオスが声をあげた。


 「まず昨日の前夜祭にて国民が何者かに襲われ

 闘気を奪われる事件が発生しました」

 「被害者は数十名に及んでおりますが死者は出ておりません」

 第二王子のルークが報告書を読んだ。


 「犯人の数は分かっているのか?」


 「…断定はできませんが三~四名の不審な者が確認されております」

 

 

 

 会議室の外、石畳の回廊。リュカが前を歩く。後ろにはレオンが続く。


 「父上が私たちに会議室に来るようにと…」

 「今日の予選の事だと思うな」



 扉が開く。室内は静謐な空気だった。

 部屋には国王、王子と王女、関係者が座っていた。

 バルグリオスは椅子に座ったまま微笑む。

 「来たか、リュカ、レオンよ」

 「来て早々で悪いが今日、起きた戦いについて説明してもらうぞ」



 レオンとリュカが今日戦った二人についての情報を話した。


 「では今出た情報をまとめますと以下のようになります」


 ・犯人は三~四人ほどのグループ

 ・その者たちが今回の闘技大会に選手として参戦している

 ・その内の一人選手名トーガと名乗っているものはトウコツと名乗っていた

 ・目的は不明だが闘気を集めている

 ・残りの二人についてはまだ不明



 「ふむ、現状分かっていることはこんなところか。

 それにしてもトウコツか…」


 「なにか心当たりがあるのですか?」

 (前世の知識ともすり合わせがしたいところだけど…)


 「この国の歴史書の中に同じ名前があった気がしてな…」

 「確かに歴史書の中に同名の名前がありましたわね。

 トウコツ以外は確か…コントン、キュウキ、トウテツでしたわ」

 第一王女のミラがそう答えた。


 「この国が誕生して間もないころに、国を騒がせていた

 中でもとくに危険な怪物たちの名前と記されていたかと…」


 「その名を関するところに意味があるのかは分からぬが

 いずれにしても危険人物であることには変わりない」


 「大会の伝統として、期間中はいかなる事情でも選手に手を出すことは

 できぬし中止にすることもできぬ。故に大会に参加しているお前たち

 五人に対処してもらわねばならぬ」


 「僕たちが奴らを倒せばいいということですね」


 「その通りだ、おそらく奴らは次の予選も勝ち上がり本戦に参戦するだろう。

 お前たちも本戦に参戦できるように精進せよ」


 そうして会議は終わった。


 

 第一予選の翌日、アニマディアは穏やかな朝を迎えていた。


 昨日まで闘技場を揺らしていた歓声も今日は少し落ち着いている。

 大会は休養日。出場者には調整と回復の時間が与えられていた。

 だが、王都の中心に向かう人の流れは止まらない。

 その目的地は一つ。王国最大の神殿アニマディア神殿。


 石造りの巨大な門の前で、レオンは足を止めた。


 神殿は城より古いと言われている。

 円柱は風雨に削られ、しかし威厳を保っていた。


 「ここが、この国の信仰の中心かぁ」レオンは小さく呟く。


 この国には三柱の神を信仰していると聞いた。


 戦勇神アグレオス、地鎧神ベルグラン、炎剣神イグナリア。


 「大会前に参拝する出場者は多いよ」左にいるリュカが言う。

 「勝利祈願にいくの?」右にいるフィリアが問う。

 レオンは首を振る。

 「違うよ」

 「なら?」

 「神様に挨拶しておこうと思ってね」


 神殿の大扉がゆっくり開く。内部は静寂に包まれていた。

 天井は高く、光が差し込むステンドグラスには三柱の神の姿が描かれている。


 剣を掲げる戦士、大地を背負う巨人、炎の剣を振るう女神。

 神官と人々が静かに祈りを捧げていた。

 レオンと二人は中央の祭壇へ進む。


 巨大な三神像。中央に戦勇神アグレオス、左に地鎧神ベルグラン、右に炎剣神イグナリア。

 レオンは膝をついた。そして静かに目を閉じる。

 その瞬間だった。神殿の空気が変わった。

 重く、しかし澄んだ気配。


 「…ようやく来たか!」


 レオンは目を開く。神殿が消えていた。そこは神々の住む世界だった。


 いつものように声のした方へ向かうとそこに三つの影が立っていた。


 一人は巨大な鎧をまとった戦士。もう一人は山のような体躯を持つ巨人。

 そしてもう一人は、炎の髪を持つ女性。


 「レオンよ、久しぶりだな!」最初に口を開いたのは戦勇神アグレオス。

 「お久しぶりです、アグレオス様」


 「私と話すのは初めてよね」女神イグナリアが笑う。

 「そうですね、初めましてイグナリア様」


 腕を組んだ巨大な体躯の男神が語り掛けてきた。


 「儂はベルグラン、儂とも初めてじゃな」声は大地のように低い。

 「初めまして、ベルグラン様」

 レオンは三柱を見回す。


 「一応、今回の件の報告をしようと思い来ました」

 「歪んだ者が現れたようだな」アグレオスが答える。


 「はい、今の所二人と交戦しました。

 一人は自らをトウコツと名乗っておりました」


 「レオンはその名を聞いてどう思った?」

 「そうですね。前世の知識としては、私の住んでいた国とは別の国の

 神話に登場する神または怪物として記憶しております。

 ですのでこの世界にも何らかの形で伝わっているものと感じました」


 「その通りだ」

 「その昔この辺りで暴れまわっていた怪物たちがいてな、

 それらをこの国を建国した転生者たちが倒したのじゃ。

 その後、後世に歴史を伝える際に、その名前にしたとされるのじゃ」


 「この国転生者が建国したんですか!」

 「そうよ、獣人に転生した者が獣人をまとめ上げて建国したのよ」

 「なるほど、転生者が名付けたのなら納得です」



 「そうそう、始まましての記念にスキルを授けるわ」イグナリアが剣を抜き振った。

 剣から火花が散り、そして火花が集まり球になった。

 その球がレオンの中に入っていった。

 「今あげたのは武器の耐久力を強化するスキルよ」


 「そのスキルなら儂からはこのスキルを授けよう」ベルグランが大きな手を

 レオンにかざした。手が光りその光がレオンの中に流れ込んでいった。

 「与えたスキルは防具の耐久力を強化するスキルじゃ」


 「お二人ともありがとうございます」  

 レオンは息を吐く、力が身体に馴染んでいくのを感じた。


 「そろそろ、戻る時間だな」アグレオスが最後に言う。

 「忘れるな、我々はいつでもその活躍を見ているからな!」


 だんだんと世界が光に包まれていく。

 

 「それでは皆さんまた会いに来ます」

 イグナリアが最後に手を振る。

 「次も面白い戦いを見せてね、期待してるわ」


 ベルグランは静かに頷く。

 「行ってくるのじゃ、レオンよ」


 世界が白く染まるレオンは神殿で目を開いた。

 そこはさっきと変わらないの祭壇の前。


 リュカが驚いた顔をしている。

 「……あなた三分も動かなかった」

 「あぁ神々の所へ行ってきたんだ」


 「いつものやつですね」フィリアがほほ笑んだ。


 「…レオンあなた何だか少し強くなった?」

 「イグナリア様とベルグラン様からスキルを貰ったんだ」

 レオンは小さく笑った。

 「神頼みの成果さ」


 神殿の外で鐘が鳴る。

 第二予選は、明日だ。

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