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① オタクな転生王子だけど地味に努力してます!~今日も筋トレと魔法修行~  作者: あんてな
第三章

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第二十話

 最奥の天井が、完全に裂けた。

 岩盤が砕け、壁が瓦礫となって崩れ落ちていく。

 レオンは、よろめきながら立っていた。

 全身が、鉛のように重い。

 魔力が、ほぼ空だ。

 「……まずいな」

 呟いた直後、足元の床が崩れ落ちた。

 反射的に、風魔法で身体を浮かせるが、

 魔力が足りず、空中で大きく姿勢を崩す。


 「レオン!!」

 叫び声、次の瞬間、

 横合いから伸びた腕が、彼の肩を掴んだ。

 「無事か!!」

 ギルド長ガルドだった。

 岩塊を弾き飛ばしながら、

 その巨体で、レオンを支える。

 「……ギリギリです」

 「それで十分だ」

 その背後から、シルヴァリアの面々と、精霊騎士団が次々と現れる。

 剣を構えながら周囲を警戒する者。

 落下してくる瓦礫を魔法で弾く者。

 だが、逃げ道は塞がれつつあった。

 「このままじゃ、入口まで辿り着けない!」

 誰かが叫ぶ。事実、床は既に半壊し、

 瓦礫と地割れが、行く手を阻んでいた。

 レオンは、歯を食いしばる。

 走れない、飛べない、だがその時、ふと脳裏をよぎった。


 「……まだだ」

 震える手を、虚空へ差し入れる。

 それは収納魔法、いざというときの最後の切り札をいれていた。

 小瓶を掴み取り取り出し、一息に飲み干す。

 それは自分で作った特製魔力回復ポーション。

 喉を通った瞬間、熱が全身を駆け巡った。

 「……来た」

 枯れ切っていた魔力の器に、

 強引に、しかし確実に力が注ぎ込まれる。

 ガルドが目を細めた。

 「……やれるか?」

 「はい!」

 レオンは、地に足をつける。

 仲間たちを見回し、短く、だが力強く言った。

 「全員、俺の近くへ!」

 仲間たちが、即座に動く。

 その瞬間、天井が完全に崩落し、

 巨大な岩塊が、頭上から降り注ぐ。

 レオンは、最後の集中をかけた。

 「座標指定。ダンジョン入口前!」

 魔法陣が、足元に展開される。

 青白い光が、全員を包み込む。

 「グループ・ワープ!!」

 次の瞬間、轟音と共に、視界が反転した。

 土の感触、冷たい空気。差し込む、自然の光。

 レオンは、地面に膝をついた。

 目の前には、ダンジョンの入口。

 そして、地鳴りと共に、

 ダンジョン全体が、内側から崩れ落ちていく。

 岩盤が沈み、入口が、完全に埋没する。


 一同は言葉を失って、その光景を見つめた。数秒後、

 「……生きてるな」

 ガルドがぽつりと呟く。

 「ええ……なんとか」

 レオンは苦笑しながら、

 その場に座り込んだ。仲間たちが、次々と安堵の息を吐く。

 精霊騎士団のリュミエルが静かに言った。

 「……異変は、終わったようですね」

 森に風が吹く。精霊の気配が少しずつ、戻り始めていた。

 彼は、崩れ落ちたダンジョン跡を見つめ、静かに目を閉じた。


 エルフの王城は、相変わらず森と一体化するように静かに佇んでいた。

 白木と蔦で編まれた回廊を進む一行の足取りは重い。

 誰もが無事だったとはいえ、

 森の奥で起きた異変の規模は決して軽いものではなかった。

 謁見の間、玉座に座すエルフ王は、

 長命種特有の落ち着いた眼差しでレオンたちを迎えた。

 「まずは、生還を喜ぼう」

 その一言で、張り詰めていた空気がわずかに緩む。

 レオンは一歩前に進み、静かに頭を下げた。

 「ご心配をおかけしました。森の異変の原因は、

 ダンジョン内部に潜伏していたリッチでした」

 簡潔にだが要点を外さず経緯を語る。

 異変の兆候、スケルトンの出現、魔力の濃い階層。

 そしてダンジョンそのものの崩壊。

 話を聞くエルフ王の表情は、終始変わらなかった。

 だが、最後に一言、静かに呟く。

 「…やはりダンジョンが乱れていたか」

 「森の精霊たちも、深く傷ついている。

 完全な回復には、時間が必要だろう」

 王はレオンをまっすぐ見据えた。

 「レオン殿。そなたは、神々の気配を携えている」

 「今回の件、そなたがいなければ、

 森はさらに深く侵されていた可能性が高い。

 エルフの国を代表し、感謝を述べよう」

 深く、頭を下げる王。

 それに倣い、周囲のエルフたちも静かに礼を取った。

 「過分なお言葉です」

 レオンはそう答えながら、胸の奥で重みを感じていた。

 守れたもの。そして、守れなかったかもしれない未来。

 「本日の報告はこれでよい。今宵は皆ゆっくりと休んでくれたまえ」

 王の言葉で、謁見は終わった。


 謁見の間を出ると、森の空気が夜の気配を帯びていた。

 淡い光を放つ灯が、道を照らす。

 「……少し、歩きませんか」

 そう声をかけてきたのは、フィリアだった。

 他の者たちが気を利かせて距離を取る中、

 二人は並んで、回廊から庭園へと足を向ける。

 聖樹の葉が、夜風に揺れていた。

 「無事でよかったですの…」

 フィリアの声は、ひどく静かだった。

 「あなたが戻らなかったら…森だけでなく私もどうしていたか…」

 レオンは、しばらく言葉を探してから答える。

 「正直に言えば…かなり危なかったです」

 隠さず、そう言った。

 「魔力も尽きて、ダンジョンも崩れて…

 でも、皆がいたから、帰ってこられました」

 フィリアは、そっと微笑む。

 「あなたは、いつも一人で抱え込まないのですね」

 「…それが強さだとは思っていませんので」

 彼女は、聖樹を見上げながら続けた。

 「あなたのような在り方は…私たちには、少し眩しいですの」

 その言葉にレオンは戸惑ったように笑った。

 「フィリアにそう言われるとさすがに照れます」

 フィリアも、小さく笑う。

 やがて、彼女は真剣な表情に戻った。

 「森の異変は、完全には終わっていません」

 「…ええ、感じています」

 何かが抜け落ちた感覚が、森に残っている。

 「だからこそ」

 フィリアは、彼を見る。

 「これからも、レオンの力が必要になるかもしれませんの。

 その時は…どうか、また力を貸してください…」

 レオンは、迷わず頷いた。

 「もちろんです。この森には借りができましたから」

 夜風が、二人の間を吹き抜ける。

 精霊の光が、わずかに強く瞬いた。 

 それはまるで、森自身が、その約束を聞き届けたかのように。


 その夜レオンは久しぶりに夢を見ない眠りに落ちていた。

 激戦の疲労、魔力の枯渇、ダンジョン崩壊の緊張。

 それらが、身体だけでなく精神の奥まで沈めていた。

 けれど。深い闇の底で、微かな揺らぎが生まれる。

 水面に一滴、雫が落ちるような感覚。

 意識が、静かに浮上した。

 目を開くと、神々の世界だった。

 「…ここは……」

 だが、答えはすぐに訪れた。

 まず、柔らかな水音。

 澄んだ泉のほとりに立つ、淡青の光。

 「お疲れさまでした、レオン」

 慈愛に満ちた声。水精神エリュシアが、静かに微笑んでいた。

 「あなたの戦いは、多くの命を救いました。

 森も、精霊たちも…まだ傷ついてはいますが、滅びを免れました」

 次に、耳元でかすかな旋律が流れる。

 鈴とも、弦ともつかない音。

 月明かりの中、音そのものを纏うように現れる存在。

 「激しき音も、やがて調和へと還る」

 音律神リュミエール。声だけが心に直接響く。

 「あなたの詠唱、あなたの決断。

 それは破壊ではなく、終止符だった」

 最後に、空が夜へと沈む。満ち欠けを宿した月が、静かに輝いた。

 「…恐怖と孤独の中でも、あなたは眠らなかった」

 穏やかで、少しだけ冷たい声。月夢神セレーネが、影の中から現れる。

 「悪夢に呑まれず希望を手放さなかった。それは強き魂の証」

 三神は円を描くように立った。エリュシアが、そっと両手を重ねる。

 「ゆえにここに我らの加護を授けましょう」

 水の光が、胸へと流れ込む。次にリュミエールの旋律が高まる。

 最後にセレーネが月光を指先で弾く。

 三つの光が重なり、静かに身体へ溶けていく。

 「これらはあなたを縛るものではありません」

 エリュシアが優しく告げる。

 「歩む先であなた自身が意味を見出すための支えです」

 セレーネがわずかに微笑んだ。

 「……安心して眠りなさい。今夜は悪夢は訪れません」

 世界が静かに遠のいていく。


 その夜神々から報酬を受け取ったのはレオンだけではなかった。

 王城、騎士の寮、そして冒険者たちの宿舎。

 それぞれの眠りに小さな奇跡が訪れる。

 ギルド長ガルドの夢には、重く確かな大地の感触があった。

 目覚めたとき、彼の身体はいつも以上に軽い。

 守護と耐久を司る神の祝福。

 シルヴァリアの団員たちは、それぞれ異なる夢を見る。

 刃が冴え渡る夢、風を掴む夢、仲間の背を信じて前に出る夢。

 目覚めた彼らのステータスは、わずかだが確かに底上げされていた。

 精霊騎士団の者たちは、森の声をより鮮明に感じるようになる。

 精霊の影が以前よりもはっきりと応える。

 神々からの黙示的な報酬。

 誰も「神に会った」とは言わない。だが、全員が感じていた。

 あの戦いは、見られていたと。

 翌朝、レオンは、久しぶりに心地よい目覚めを迎えた。

 身体は重いが、どこか澄んでいる。

 「……これが、加護か」

 そう呟いた瞬間、胸の奥で、淡い光が脈打った。

 森はまだ完全ではない。

 だが確かに、前へ進み始めている。

 それを、レオンは確信していた。

 【名前】レオン・グラディア

 【年齢】5歳

 【職業】グラディア王国第三王子

 【レベル】30 経験値 863/26687

 【体力】 :625△

 【魔力】 :49137△△

 【持久力】:563

 【筋力】 :654△

 【耐久力】:511△

 【知力】 :1057△

 【精神力】:998△△

 【敏捷】 :582△

 【技量】 :625△△

 【幸運】 :5022△


 【スキル】:魔術王 鑑定 状態異常無効 精神異常無効 神眼 地獄耳 夢幻

 【加護】 :創世神の加護 魔理神の加護 戦勇神の加護 風翔神の加護

      水精神の加護 音律神の加護 月夢神の加護

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