3話の後日譚
放課後。寮の自室。
蝋燭の無い薄暗い部屋で、ノワール=シャドウメアはベッドにうつ伏せになっていた。
「……雄大、あの時、少し震えてた」
ポツリと呟く声はいつも通り無表情。
だが、その瞳はどこかトロンとしている。
「……密着……胸、当たってた……ふふふっ……」
クッションに顔を埋めた瞬間、
「ウヘヘヘヘ……♡」
奇妙な笑い声がこぼれた。
それは普段のクールさからは想像もできない、どこか“こじらせた乙女”のそれだった。
「もしもあのまま訓練が長引いてたら……私の魔力、暴走しちゃってたかも……ぐふふ」
「制御できなくなって……雄大を押し倒して……雄大、困った顔して……」
(ノワール=シャドウメア、脳内劇場・開幕)
【脳内妄想 開演】
雄大「ノ、ノワール!? 落ち着けって!」
ノワール「無理……雄大、発情してる……♡」
雄大「え、発情!?」
ノワール「もう、我慢できない……一緒に、堕ちよ?」
その後、二人は……
【終演】
「ウヘヘへ♡」
もぞもぞと毛布に体をくるみながら、ノワールはベッドでゴロゴロ転がった。
(あの時、ちょっと触れただけで、キュンってなった)
(私、もしかして……もう“発情期”かも)
いつもは表に出さない彼女の心は、妄想でいっぱいだった。
「次も……絶対、雄大と組む」
耳まで真っ赤に染めながら、ノワールはクールな仮面の裏で、ウヘヘヘと笑い続けていた。
ノワールは隠れドスケベだった。