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Private high school 慈葎学園  作者: 慈葎学園長
3/7

1.波乱の入学

まず最初は国語の試験からだな、よし。


第一問、森鴎外の代表的な作品

『○姫』 空欄の部分を埋めなさい。



これは簡単だ。


そう思って僕は空欄を埋める。


この調子で他のところも問いて行く。


これならいい点数が取れそうだ。

そうすれば入学後も苦労しないで済む。


住谷 勇渡 受験番号 1147 解答用紙

第一問、森鴎外の代表的な作品

『もののけ姫』 空欄の部分を埋めなさい。








それからしばらくして合格発表があった。

もちろん落ちるはずもなく無事に入学が決定した。


そして入学式当日━━━


いろいろな書類が入った封筒を校門前で受け取る。


そして校門をくぐった辺りで見慣れた顔を見つけ僕はすぐさま駆け寄った。


「やあ、綾じゃないか」


「お、勇渡かなんだお前も合格できたのか。お前みたいな馬鹿じゃ落ちるだろうと思ってたんだけどな」


く…僕と大して成績は変わらないくせに。


こう生意気な口を利いているのは滝村たきむら りょう


僕の中学校時代の下僕……イテッ!


「誰が下僕だ」


そういって小突かれる。


「心の中まで読まないでよ…」


彼は僕の中学校時代の親友だ。


「ちなみに下僕はお前のほうな」


………親友だ。



「あれ? 二人ともこの学校だったんだね」

後ろから良く通る明るい声が聞こえてきた。


「よぉ、美島じゃないか。お前もこの学校に入ったんだな」


「うん。まさか同じになるとはね~」


彼女は美島みしま りん


明るく元気な僕の中学校時代のクラスメイトだ。

容姿は客観的に見ても主観的に見ても最高だと思う。


実際、中学生の時は何人もの男子に告白されたらしい。

しかし彼女はそれをすべて断ったという。


二人と話しながらクラス編成を見るとなんと三人とも同じクラスだった。


なのでその後も一緒に指定されたクラスに向かう。

ちなみに僕らのクラスは1-Dだ。

この学校には1-Aから1-Gまでの7クラスがあって一クラスの人数は40人だ。


クラスに入るとすぐに久しぶりに見た顔があった。


「ねぇ、あれ河井さんじゃない?」


綾に尋ねてみる。


「ああ、そうだな。おーい、河井ー」


綾が河井さんを呼ぶと彼女はこちらに歩み寄ってきた。

「住谷君と滝村君、それに凜ちゃんまで…同じ学校だったんですね」


彼女は河井かわい 玲菜れいな

僕と綾の小学校時代の同級生だ。


「同じ学校になったんだぁ。よろしくね、玲菜ちゃん」


「あれ、美島さんって河井さんと知り合いなの?」


「うん、ちょっとね」


どうやら彼女達もお互いのことを知ってるらしい。

これから意外と知り合いの多かった僕の高校生活が始まろうとしていた。


「おっと、そういえばみんな入試の点数はどうだった?」


入試の点数。

それは入学してから一週間の間、生徒に与えられるポイントで、これを利用して生徒は日々の生活を自分でやりくりしていくことになる。


だからなるべく多い方がいいんだけど…


「私は350点でした」


河井さんが答える。

テストは英数国理社の5教科だから平均70点とというわけだ。

まあ良くも悪くもなく普通と言った所だろう。


「私は490点だよ」


「ええ! すごいなぁ」


美島さんはかなり高得点だ。

確かに中学の時はかなり成績も良かったらしいから入試でもこれぐらいの点数を取れたんだろう。


「二人ともすごいな。俺なんか70点だぞ」

綾が言った。


70点…

平均化すると14点。


すごく酷い点数だ。

こんな点数で無事に学園生活を送れるのだろうか?


「勇渡、お前はどうなんだ?」


「僕? 僕はえーと…」


入試で取った点数は校門をくぐる時に渡された封筒のなかにある紙に書かれていた。


『住谷勇渡 30点』

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