拠点選び;長野県松本
レイナ「......ここはだれ、、私はどこ」
宇宙人でも寝言では知性が落ちるのだろうか。
自分がこの寝言を言っていたら恥ずかしくて悶え死ぬに違いない。
慣れない星に来てアイデンティティが揺らいでいるのだろう、明日の我が身だな、、、、、。
同情か憐憫か、そっとつまみ上げて胸ポケットに入れてやる。
暖かいな、カイロ要らずで便利だなコイツ。
しかし、本当に起きないな、よだれ垂らさないか不安だ。
バブロス『捜査官の名誉のために伝えておくがリソース回復のために待機状態を長く取っている』
ミナミ 「ふだんは朝もしっかりしていたのか?」
バブロス『........拠点選びは慎重に。 捜査官に何かあったときは強く当艦を呼ぶように。』
話を逸らした...?
ミナミ 「どうやって呼べばいい?」
バブロス 『強く思念すれば当艦で感知する』
考えていることを読み取れるのか? プライバシーの概念がないのか宇宙には。
バブロス 『強く感情のみ感知する。安心していい。今の不安は杞憂だ。』
本当か...? このタケノコになった船は謎が多くて困る。
母 「行くわよー」
急がないと、母さんが新宿まで送ってくれるが電車の時間までギリギリだ
ミナミ 「バビー、じゃ行ってくる」
部屋を出る一歩、これが僕の自立へ第一歩。
爽やかな朝がよく似合う人生の分岐点への第一歩。
バブロス 『良い庭を頼むぞ』
え、、、庭....?
部屋の扉を越えて後頭部へ響いた声が勘違いであってくれと祈ってしまった。
母 「あっちゃん、部屋選び、本当に一人で大丈夫? 学校の近くはダメよ~、どうせ遊び場になっちゃうんだから~」
母さんがとうとうと話しかけてくる。
小学校へ初めて1人で通学するときも不安そうな顔つきで後ろを付いてきていたなぁ、今日も長野まで付いてきかねない勢いだ。
あの時と違うのは自分も不安だという点だろう。
本当は親も一緒にアパート選びをするかと思っていたが父親から煽られて1人で行くこととなった。
父 「父さんは1人で東京で家賃3万で4畳半を探した、だが予算は常識の範囲内でいいぞ」
そんなアバウトな台詞、、、予算ぐらい決めてくれないと探しにくいんだけどなぁ
常識の範囲内ってそもそもそんな常識を高卒に求めるものだろうか、そんな教育もしてこなかっただろうに。こればっかりは地元の不動産屋さんに相談するしかないな。
目安に出している父親の予算にしたってドル/円固定の時代と一緒にしてもらっちゃ困る、、、、
インフレーションへの誘導でアセットを保有者が有利になるような経済が資本主義だなんて歴史を見れば明らか、今の東京じゃぁ家賃3万だと駐車場ですら借りられないのは確認済みだ。
高めの物件で一度打診して予算の上限を上げてもらうかなんて考えているうちに新宿に着いた。
母 「気をつけるのよ~」
父 「さっさと行け、乗り遅れるぞ」
確かに時間はない、ホームに向かう。
新宿駅といえど、まだ人は少ない。
青みがかった早朝の新宿はまだ眠そうな、それでいてまだ昨日が残っていそうな気だるげな雰囲気で
ミナミ 「まるで昨日と今日の交差点だな」
レイナ 「なにか言った....?」
独り言を聞かれてしまった、恥ずかしい。早いとこ電車に乗ってしまおう。
始発の特急あずさには幸い人はほとんど乗っていない。
受験のときに新幹線が松本を通っていないのは意外だった。
席に着くと、ようやく頭が動き出したのかレイナがキョロキョロと辺りを見渡している。
人も少ない、いいだろう。
レイナ 「行くのはどんな土地なの?」
ミナミ 「そうだなぁ、高い山に囲まれて空が狭いけど、ビルが少なくて自由な空気があったかな」
見学の時、窓から八ヶ岳の広大な裾野を雲の影が静かに進んでいくのを見てこの街を好きになった。
街の中に湧き水が湧いていた、城が公園になっていてその傍を流れる川が大学と駅を繋いでいる。
ミナミ 「そんな事より拠点に必要なことを教えてくれよ、バビーのやつ庭が要るとか最後に言っていたけど、どれくらい必要なんだ? 庭なんて現実的には無理だぞ」
レイナ 「出会ったところの山くらいあればいいわ」
ばかやろー 山持ちの学生がどこにいる
こいつ長野は山だらけなんて東京の偏見でも持ってきたのか?
ため息が出る、10秒くらい続く長いため息だ
ミナミ 「いいか、それは無理だ。せいぜいでベランダ程度だ。いくら田舎でもな。」
この宇宙人には学生の平均家賃の常識どころか貨幣の概念も無さそうだ、言い聞かせねばなるまい
松本までの3時間、一般庶民の生活とそこから予想される使える予算をとうとうと説明した。
通貨のようなものは存在するようだが、制限なく使えていたようだ、意外にお嬢様なのか。
諏訪湖を見てはしゃいでいるのも不思議だ、宇宙から見たら米粒のような水溜まりじゃないか。
レイナ 「星の表面は全て人工物よ、大昔の山の頂点が公園に頭を少し出している程度だったわ。 それに多くの人が住むのは大気もない小惑星の内側に建造された人工都市よ。」
我らが大宇宙は殺風景なのかな、、、
東京から見た長野でさえ感動的なのだ、彼女には大いなる感嘆をもたらしただろう。
レイナ 「見てみる? ちょっと私に触って」
触れと言うのだ、堂々と触ろう。傍から見たら人形を抱える怪しい男だ。
レイナ 「ここが私のいた都市部」
....摩天楼だ、丸の内や教科書で見たNYよりも高くそびえている。
だが建築物の質感は多孔質で珊瑚にもにたような、そして有機的なフォルムで、、、
レイナ 「ええ、生きているわ、バビーと同じよ」
街を移動する人々は地球人とそう変わらなそうな見た目をしているが、、、他の宇宙人はいないのか?
レイナ 「..........昔は色んな人たちがいたらしいのだけど、多くの人たちが星の中心で今は眠りについているわ。 私たちはそうならないようにバビーたちと生きているのだけど、難しいのよね」
話を聞くと、生き方を全て人工知能に委ねてしまった種族は星の内側で眠りについて夢の中で生きるのだとか。
レイナ 「宇宙では色んな人工知性が誕生したけど、大きく分けて3種類に到達したのよ。問題を効率よく解決することを軸に発展したアヴァロン、問題を乗り越えるよう導くルーチェル、問題を隣人としてともに分かち合うバブロス」
ミナミ 「バブロス!?」
レイナ 「そうよ、バブロスは一人一人に付いてくれて変化して成長するのよ、私のバブロスはお母様のバブロスのコピーから成長しているわ」
バブロスが型番ならバビーだなんて安直な名前にしてやるなよな、、、、。
ミナミ 「その人工知能同士で戦争でもしているのか?」
レイナ 「うーん、戦争、、、、そうね戦っているわ、あのアヴァロンは本当にムカつくんだから」
三白眼でシャドーボクシングしている様はなかなか戦争の緊迫感は感じさせないが。
~テレンテンテーン♪~
アナウンス「まもなく松本へ到着いたします」
着いた
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