表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第2話 地表へ、そして

2話目です。よろしくお願いします。

第2話 地表へ、そして



 6輪の車両を運転して、宇宙船に戻った私は、早速「テラ004」への着陸準備をする。

 大気圏に突入し、船体は超高温と高圧に晒されるが、そもそもそのまま一直線に突入しても、問題ないように設計されている。

 地球型惑星調査船なのだから。

 目標とした地点に私の宇宙船は、大気圏を抜けると、ゆっくりと着陸した。


 「テラ004」は地球同様に地軸が傾いているが、地球ほどでは無い。

 また陸地面積が地球より広いので、やや全体的に乾燥している。

 山地が少ないので、両極付近を除くと、極端な気候でも無い。

 私が着陸したのは、「テラ004」で一番の広さを誇る大陸で、大体アフリカ大陸を3つ合わせたくらいか。

 北緯35度あたりの草原に着陸した。大陸の東端のほうで、そのまま50キロメートルを東へ進むと、海が広がっている。


 事前に調べてあることだが、「テラ004」の直径、自転周期、重力、大気成分は地球とほぼ同じである。

 更にこの惑星系の太陽の大きさと質量と活動状況、及び太陽に対しての距離もほぼ1au(astronomical unit、地球と太陽との平均距離の単位)と同じである。

 故に、公転周期も凡そ370日近くだ。

 こんな偶然があるのか?


 唯一の違いは、どの大陸も山地がほとんどないので、季節感がなく、実際に降り立ったところは、気温が12.7度、湿度が29.4パーセントだった。

 今は、緯度と経度と太陽の位置から察すると、昼前といったところか。陽が沈み夜になれば、10度近くは気温が下がるだろう。

 多分一年中この辺りはこの気温と湿度と思われる。


 降雨は時折で豪雨は稀。まずこの地域では雪は降らないはずだ。

 時折吹く風は、乾いていて、やや冷たい。多分強風や竜巻、そして台風もないだろう。

 空は見事な蒼天で、疎ら雲がゆったりとたゆたっている。



 やはり確認されるのは、草花や木々、全くの無害な羽虫くらい。

 昆虫の形状とは全宇宙規模でほぼ同一なのか。

 大きい物でも、蝶か蜜蜂を彷彿とさせる姿をしているのが飛んでいる。

 大地はこれら昆虫に因る受粉で、草花や木々には緑だけでなく、様々な色の花が咲き、目を楽しませる。

 大型の生物は一切確認されなかった。


「もし、地球に大型の生物。特に人間がいなければ、このような惑星だったのかな?」


 何だがある意味「理想郷」とも思える、不思議な惑星だった。

 私は船内で着ている、世界連邦政府の宇宙省の作業用の勤務服のままで、船外に出ている。

 武器はどうするか、と思ったが、一応レーザー銃を腰にぶら下げている。

 六輪の探査車両で外に出るのは、この「理想郷」を踏みにじる行為のように思われ、直に降り立つことにしたのだ。

 もっとも、宇宙船を着陸させ、歩き回る行為も十分に「テラ004」を踏みにじっている訳だが。


 1時間ほど歩き回った私は、上着の胸ポケットに付いた宇宙省の記章を軽くなぞる。

 すると、私の目の前に浮遊スクリーンが浮かび上がる。これは宇宙船内の機器と連動している端末だ。

 浮遊スクリーンをタッチ操作や音声操作をして、地下深くの構造を映し出す。


 私の居る場所を中心として、東西南北50キロ、地下100キロの正六面体の3D映像を浮かび上がらせたが、地下の構造も特に変わったところが無い。

 むしろ、プレートや活断層が複雑でないので、火山や地震もまずあり得ない地層であることが分かった。

 全くの植物と小さな昆虫と微生物だけの惑星のようだ。


「この大陸の中央と北端と南端と西端で同じことをして、あとは宇宙船で海中捜査をしたら、終わりにするか。いや、夜の状態も調べるべきだな」


 私がこの美しくも、どこか退屈な惑星調査の計画を考えていた時……。


「あの……」


 私の背後から声。それも地球の言葉の声がした!



 振り向くと同時に私は腰の銃を相手に向けた。

 相手。それは見まごうこと無き人間。地球人の姿。


「あなたはどこから来たのですか?」


 見事な世界連邦共通語(非英語話者が習得しやすいように、整備された英語)を話すその者は、美しく若い女性であった。

 白のワンピース姿。薄地でスリーブレス。足元を見ると素足。寒くないのだろうか?

 まるで、この「理想郷」に住む妖精を思わせる、神秘的な半神のような女性。

  

「それはこっちが聞きたい。あなたこそどうやってこの惑星に来たのだ?」


「私はこの星の住人です」


「この星の住人はあなただけなのか?」


 銃を向けられても、慌てる様子がないのは、本当に彼女が地球人でないからか……?

 私は銃を腰のホルスターに納めた。

 彼女はじっと私を見詰めたままで言葉を発する。


「この星に居るのは私だけ。だけどあなたがよければ、永遠に私とあなた。二人で暮らしましょう」


 そう言うや否や、彼女は身に付けた白のワンピースを脱ぎ捨てて、その全裸を晒した。

 白磁の肌に包まれた、見事な女性美のふくよかなところはふくよかで、引き締まったところは引き締まった美麗なライン。軽く吹く風にそよぐ長い金色の髪。

 一歩一歩と私に近づき、私を受け入れるように輝くその瞳は、この惑星の空に広がる蒼さで潤んでいる。


 私の中でアラートが響く。


第2話 地表へ、そして 了

私にしては珍しく、ちょっとえちぃな描写がありますね。



【読んで下さった方へ】

・レビュー、ブクマされると大変うれしいです。お星さまは一つでも、ないよりかはうれしいです(もちろん「いいね」も)。

・感想もどしどしお願いします(なるべく返信するよう努力はします)。

・誤字脱字や表現のおかしなところの指摘も歓迎です。

・下のリンクには今まで書いたものをシリーズとしてまとめていますので、お時間がある方はご一読よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■これらは発表済みの作品のリンクになります。お時間がありましたら、よろしくお願いいたします!

【短編、その他】

【春夏秋冬の公式企画集】

【大海の騎兵隊(本編と外伝)】

【江戸怪奇譚集】
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ