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 そのまま二人は気持ちのいい大きな木の影の中でキスをした。久しぶりのキス。葉ちゃんのキスだと宝は思った。

 唇が離れたあとでそっと目を開けると、そこには可愛い笑っている葉ちゃんの顔があった。

「木を見てさ、思い出すことってある?」と風に揺れて静かに(波のように)音を立てている木の葉を見上げながら葉ちゃんは言った。

「ひとつだけある」と顔を赤くしながら宝は言う。

「どんなこと?」宝を見て葉ちゃんは言う。

「子供のころ、よく家の庭に生えている大きな木にのぼって、落ちて、お父さんとお母さんに怒られた」と宝は言った。

 するとその宝の話を聞いて葉ちゃんは大声で笑った。

 それからそのことで少しけんかをしたあとで、宝に「ごめん」とあやまってから、(にっこりと笑って)「宝。好きだよ」と葉ちゃんは言った。

 好きだと言われて宝は(自分でも甘いと思ったけど)すごく嬉しくなって葉ちゃんのことを許してあげた。

 二人はそのまましばらくの間、なにも喋らないで、ただお互いに体を寄せ合って、風の音や木の葉の音、それから緑色の大地の音を聞いていた。

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