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日常の崩壊。

その日、何事も無いように授業を受けて過ごしていたんだけど………

放課後になり、さぁ皆でジローの家へ…!

となり、下駄箱まで来た時、事件が起こった。



「…?なんか騒がしくない?」


「…………なんだろ?」


「アタシ見てくる!!」


「ちょっと暁菜!?全くあの子は………


「あらら~…マルちゃん、トモさん、あーしらも行く?」


「……だね、急ぎではあるけど、別にジローのお母さんは逃げないし。」


「まぁ、暁菜を置いていく訳にはいかないし、仕方無いわね。」



とりあえずアキちゃんを追って騒がしい方へと歩いていくと…………



「ーっ!みずきちは見ちゃダメっ!!」


「え…?えっ!?なに!?」


「「………。」」



いきなりアキちゃんに目を塞がれた!?


混乱しつつも人混みで暴れるのは良くないから大人しく引き下がり、メグちーやトーカちゃんに手を引かれて喧騒から離れていった…………



「ふぅ………


「それで…?なんでいきなりボクの目を塞いだの??」


「うっ…それはぁ…そのぅ………


「ちょっと凄惨だったからよ。」


「マルちゃんはグロ耐性無いっしょ?」


「そうゆう次元の話だったのあの騒ぎ!?」



グロ耐性云々ってどれだけの惨状だったのか逆に気になるよ!!



「と、とにかくジローくんの家に行こうか!?マルちゃん!!」


「ん?うん…?」


(ちょっと!行ってどうするの!?)


(ごまかしと時間稼ぎにしても悪手ね。

まぁ、バレるのは時間の問題だからそもそも意味は無いのだけれど。)


(でもでも…!今の追い詰められてるみずきちがコレを知ったら…!)


(……それでも、現実を見せるべき、なのかねぇ……あーあ………嫌な展開だなぁ…あーし、こうゆうの嫌いだ………)


(アタシだって嫌だよ!みずきちは笑顔で元気なのが良いのに!!)


「おーい?3人共どうしたのさ。」


「「「っ!」」」



なんだか挙動不審になってる3人に首を傾げていると、サイレンと共に救急車が校庭に入ってきて昇降口に横付けした。


あぁ、さっきの騒ぎのけが人を迎えに来たのかな?

と他人事なので軽く考えながら靴に履き替えてていたら………



「患者が通ります!道を開けてください!!」


「………え?」



担架を担いだ救急隊員の人達が駆けていく………

その担架に乗せられていたのはー



「ジロー!?」


「「「っ…!」」」



ボクはすぐさま運ばれていくジローを追いかけた!

すると、隊員の1人がボクに気付いて声をかけてくれた



「君!この子の知り合いかい!?」


「っ!幼馴染みです!」


「ならこの子のご両親の連絡先は?」


「分かります!」


「では同行をお願いしても良いですか?」


「はい!」



ボクは隊員さんに促されて救急車に乗せてもらう。

ジローは多少の意識があるのか、うわ言で両親やボクの名前を呼んでいた。


必死に処置をする隊員さん、

病院に連絡する隊員さん、

そんな中、受け入れ先が決まったのか、救急車が発進した。



「病院に彼のご両親への連絡を頼みたいので連絡先を教えてもらえるかな?」


「はい…連絡先はーーー


スマホは隊員さんに言われて電源を切ったので空で言えるジローの自宅の番号をノートの切れ端にメモして渡した。


「ありがとう。こちら○○地区隊、患者の連絡先はー



そして、病院に連絡先を伝えた隊員さんがメモにした切れ端を返してくる。



「ぅ…ぁ……みずき………


また、うわ言でボクの名前を呼ぶジロー。

その手は何かを探す様に揺れている。


「君、彼の手を握っていてもらえるかい?」


「はい……



ボクがジローの手を握ると、彼の顔が少し安らいだ気がする。

やがて、病院に辿り着いた。


そして、ジローは治療室へ搬送されていった…………


しばらく治療室の前の椅子に呆然と座り込んでいると、ジローのお母さんが来た。



「瑞樹ちゃん!」


「あ…おばさん………


「ビックリしたわよぉ…いきなり病院から息子が緊急搬送されてきたとか連絡が来るんだもの。」



おばさんは、ボクの隣に座ると、憔悴するボクをギュッと抱きしめてくれた。



「何があったのかは分からないけれど、瑞樹ちゃんがそんな顔をしてるのはね、おばさん悲しいわよ?」


「ごめんなさい…………



ボクはジローの治療が終わるまでの間、今日おばさんに話すはずだったジローの痣と虐めの事を、それと今までの事をぽつりぽつりと伝えた。



「…………そう。そんな事が。」


「けど、遅かったのかな……このタイミングだもの。

事故にしても、突き落とされたにしても…ボクは……ジローを………


「あなたは何も悪くないじゃない。」


「けど…………


「なら、あの子が目を覚ましたら仲直りしなさい。」


「…………うん。」



あの時、なんでボクは寝てるジローにキスをしちゃったのか。

胸がきゅんってなるのはなんなのか。

そんなものとっくに答えは出ていた。


きっとボクは、あの日、前世を思い出した日から。


「………ボクは………ジローが、好き。」


「あらあら♪」


「あっ!?」


「あの子をよろしくね?瑞樹ちゃん♪」


「…………うん!」



ジローの両親はボクの両親でもある。

逆もまた然り。

それくらいに付き合いが深い隣人だから、普通なら恋心なんて自覚しにくいだろう。

だけど、ボクは。



「ジロー。どうか、無事で…!」



やっぱり

離れたくない。

死にたくないよ………

ジローにも死んで欲しくない………!!

神様……ボクを転生させた神様……!

どうか、ジローを助けて………ジローを連れていかないで………お願い……神様…………ジローを、取らないで…………………………



やがて、治療が終わったのかお医者さんが部屋から出てきた。



「お母様ですか?」


「はい、私が母です。」


「息子さんの治療は終わりました。命に別状はありません。」


「そうですか…!ありがとうございます。」


「頭も打っていない様ですし、じきに目を覚ますかと。

念の為、本日は入院していただきますが。」


「……!良かった…………



思ったよりは大丈夫だったんだ……良かった………本当に……………良かった……………

病室へと運ばれていくジローについて行き、部屋に着くとボクはジローの手を握って胸に抱きしめた。



「ジロー……死ななくてよかった……


「あらあら、私も居るっていうのに大胆ね瑞樹ちゃん♪」


「……今はそれより、嬉しくて…ぐすっ……


「……………そう。」



ジローのお母さんは意味深に微笑むと、ボクを横から抱きしめて頭を撫でてくれる。



「……あなたがお嫁さんに来てくれるのを楽しみにしているわね、瑞樹ちゃん?」



そして、優しい声でそう言ってくれて、ボクは嬉しくてまた泣いた。



「うん……うんっ……!いつか、あなたをお義母さんって……呼べる日が来たら良いな………♪」



そしてボクはジローのお母さんに不格好な泣き笑いで返した。

しばらくそうやってジローのお母さんと話していたら、ジローが身動(みじろ)ぎをして目を覚ました…!



「うぅ…?ここは…………?」


「ジロー…!」


「瑞…樹…?」


「気がついたかしら、治郎。」


「母さんまで…?僕は、いったい……?それに、この状況は……??」



ジローは気絶してたからか、その前の記憶が曖昧らしく、困惑していた。

ボクはジローの手を胸に抱いたまま返した。



「ボクにも分からないけれど、ジローは怪我をして気を失ってたんだよ?」


「そう…か………


「ねぇ、ジロー。

もうさ、ボクから逃げるの、終わりにしてくれないかな?

ボクは、寂しいよ………ジロー、今までみたいに一緒に居て?」


「それ…は……



ボクがそう告げても、ジローは何かに迷っている様だった。

そんなジローにボクは畳み掛ける様に告げた。

もう、告げるしかない。我慢や遠慮をして、後悔したくないから。



「ボクは、ジローが好き。」


「えっ…?」


「大好き。だからそばに居たいの。

………ダメ、かなぁ?」


「……………僕なんかで、良いの?」


「君じゃなきゃだめ。

ボクは君のお嫁さんになりたい。」


「………………………は??」


「治郎。瑞樹ちゃんがここまで言ってるのよ?

いい加減にしなさい。」


「いや…あの………母さん……?その顔は最初から知ってたな??

………はぁ………まったく………僕って奴は………うん…ごめんね瑞樹。

今まで寂しい思いをさせて。

その…僕も、好きだよ。」



そう言ってジローはボクを抱きしめてくれた。



「うふふ♪おめでとう、2人とも。」


「…………こんな状況で、しかも僕の母さんが見てる目の前での告白とか大胆だよね瑞樹って。

ここまで無鉄砲でドストレート、考え無しに告白してくるとかさ、悩んでた僕が馬鹿らしくなるよ。」


「~~~~っ!?」


「うふふ♪孫の顔が楽しみね♡」


「ふぁっ!?あっ…ぁっ…………ぅぁぁぁぁ…………!」


病室だから、ボクはジローの居る布団に顔を埋めて叫んだ。







気恥ずかしさから逃げる様に病院から出たボクは、連絡先からメグちーに連絡を入れた。



『あっ!マルちゃん!!連絡がつかないからまだ病院だと思ってたんだけど大丈夫だったの!?』


「う、うん、ジローは目を覚ました…よ?

けどさ、ボクは気になる事があるんだ。」


『どゆこと?』


「あの…さ…皆に話したい事が沢山あるから、何時ものファミレス……は時間が遅いしボクの家に集まってくれる?

いきなりだけど、お泊まり会にしよう。」


『(!)うん!!アッキーもトモさんも一緒に居るから皆で行くよ!!!パジャマパーティだぁ~!!』


「あはは♪じゃあ待ってるね?」



うん、メグちーなら乗ってくれると思ったよ。




…………さて、ジローは昨日もグッスリ寝ていたので寝不足は有り得ない。

教室で見た時は友達と普通に談笑していたから心労が祟った、と言うのも理由としては弱過ぎる。


となれば、十中八九突き落とされた。としか思えない。

そして犯人は恐らく風間だ。

理由?ボクに惚れたけれど、ジローが邪魔で叶わなかった、とでも思い込んでいるのかな。


集まってくれた3人と話していたら、どうやら何があったのかを聞いて回ってくれていたらしくて、色々と分かった。


話をまとめると。

どうやら、ジローは風間に階段から突き落とされたらしい。

だけど、写真や動画といった決定的な証拠は無い。

目撃証言だけではアイツは知らぬ存ぜぬで逃げ切れるだろう、との事だ。

やるせない…………

ボクは報復してやりたいと強く思った。




翌日、学校に行ったボクは、風間が学校に来る時に交通事故に遭ったと聞いた。

ジローはその日に歩ける程度まで回復して無事退院。

ただし、身体に痣があったのは医者もジローの両親も知る事になった。

虐めに関しては写真が証拠になって風間の犯行は決定的となるだろう。


だけど、一体風間には何が起こったのだろうか……?


とにかく、ジローが無事で本当に良かった………

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