風のリグレット
一つの山がある
その山は石や岩に覆われていて
草木などは一切生息せず、また虫や小動物などの生命体も見当たらない
その山の周辺はあふれんばかりの緑がひろがっている
他にも色々な山はあるが、この山だけが異質な雰囲気で存在している
そんな荒れた山
その山は雨や風などの気候の変化も全く見られない
周囲からその山を見れば、その山の上空だけは常に快晴
その山に近づくと何もかもが停止しているような感覚になり
時間の概念が無いのかとさえ感じてしまう
その荒れた山を遠くに望める
森の奥深くに人々が住む集落があった
そこに住む人々はその風の吹かない山
荒れた山をいつからかこう呼び出した
【風の山】
「ねえお母さん。あの遠くに見える山に遊びに行ってはいけないの?」
「あら。前に話したこと無かったかしら?」
「ん~食事の準備が忙しいから、私よりもお婆ちゃんに聞いてごらんなさい」
「はぁ~い」
お母さんはお料理で忙しいみたいだから、お婆ちゃんに聞いてみよっと。
とことこと足早に母から離れ、家の外で椅子に座りながらお茶を飲んでいるお婆ちゃんに話しかけた。
「おや、どうしたんだい?クレア」
「あのね、あの遠くに見える山があるでしょ?」
「あぁ、風の山だね」
「風の山?あの山って丸裸で雨も風も吹かないんじゃないの?」
「そうだね、吹かないって言われてるわね」
「なぁに 特に名前に意味はないさ。誰かが言い出して皆そう呼んでるだけだよ」
「ふ~ん。じゃあその風の山になんで近付いちゃいけないの?」
「あそこは不気味でしょ?近くにいくとなぜかひんやりするし、地面が荒れてるから危ないからねぇ」
「怪我をするかもしれないし、何があるかわからないからみんな近付かないようにしているんだよ」
「お婆ちゃんは行ったことないの?」
「どうだったかしら?風の山に行く用事もないしね。」
「ふ~ん ねえねえ、遊びに行ってもいい?」
「......」
「ねえ!いいでしょ?暗くなる前に帰ってくるからぁ」
「...まぁ気になるなら行ってみなさい」
「わぁ~い!!」
「でも心配するからお母さんには内緒にしなさいね」
「うん」
「それとね...1つだけ約束できるかい?」
「うん?」
「風の山にあるものには触れないようにしなさいね。なにがあるかわからないからね...」
「うん わかった」
そう言うとクレアは風の山の方を見た
だんだん風が強くなっきて、空には黒い雲が徐々に広がってきた
でも風の山の上空だけは円を描くようにぽっかりと雲に穴があいていた
「クレア そろそろご飯できるわよ」
夢うつつの中 お母さんの声で目が覚めた。
何か夢を見ていた感じがしたがよく思い出せない。クレアは眠気眼を擦りながらお母さんとお婆ちゃんの待つ食卓に付く。
「「おはようクレア」」
「お母さん、お婆ちゃん、おはよう~」
目の前にある物を口に運ぶ。
「美味しい~♪」
葉っぱの野菜の上にラズベリー味の甘酸っぱいドレッシング
よく焼かれた様々なパンにクリーム状のスープ
朝はこれを食べればクレアは大満足
食べるにつれ目が覚めてきて、元気が出てくる
「ごちそうさまでしたぁ♪」
食べ終えるとクレアは寝巻きから普段着に着替える
赤地に緑色の模様が入った服と緑色のズボンを履き、セミロングの癖がかった髪を整え、頭にはお気に入りの黄色のリボンを結びつける
何度も鏡の前で前髪をいじっては不満顔
跳ねた猫毛にぶつぶつ言いながらも、今からの冒険に胸を高鳴らせていた。
「お母さ~ん シノアと遊んでくるね♪」
「そう シノアちゃんによろしく」
「あんまり遅くならいようにしなさいね」
「はぁ~い 行ってきま~す」
クレアは家を出発して、友達のシノアの家の前に着いた。
「シっノアちゃ~ん!あっそびましょ!」
すると家の扉が開き、シノアが出てきた
「あらクレア 今日は早いのね」
「遊びに行きたい場所があるの♪一緒に行こ♪」
「どこかしら?湖?」
「ぶ~」
「色々な木の実が生ってるあの秘密の場所かしら?クレアの好きなラズベリーも生えてるし」
「ぶっぶ~」
「まあ行ってのお楽しみだよ^-^」
「あ、ちゃんと暖かい服を着てね♪」
「?」 「こんなに陽気なのに?まさか泳いだりする??」
「まあまあ気にしないで^-^」
シノアは悩みながらも家の中に入り準備をした。クレアも一緒に入りそれを見守っている
「シノアの髪 綺麗だよねぇ~ストレートだ強い~色もシルバーだしさぁぁ」
「あら クレアの癖っ毛の黒髪も素敵よ」
「え~シノアみたいな髪になりたかったよぉ」
「私はクレアの髪が好きだって言ってるじゃないの♪」
そう言いながらシノアはクレアに顔を近づけ、クレアの頭を撫でながら笑っていた。あまりに撫でるものだからクレアの髪はワシャワシャになっていたが、シノアは満足そうだ
クレアはぶーぶー言いながらもうっとりした顔で微笑んだ。シノアに髪の毛を触られるのが大好きみたいだ
2人はイチャイチャしながらもシノアの準備は整った
胸元まで伸びた銀色の髪
胸元には黄色い花柄のブローチ
お揃いの服装をして家をでた
「ふんっふふ~♪」
「で、どこに行くのかしらねぇ?」
「うんとねぇ、、」
「シノアは風の山って知ってる?」
「風の山?あの遠くに見える荒れた山の事でしょ?」
「そうそう シノアなにか風の山の事知ってるぅ?」
「ママから危ないから行ったらダメよって言われてるわね」
「同じだね。私もそう言われたのよ」
「人によっては怪物が出るとか、何もないとか、お化けがでるとか、、、まぁ不気味で誰も行こうとも思わないってのが本音なのかしらね」
「みんなあんまり風の山の話しをしたがらないし、家から遠くに見えるだけだから存在感もないもんね」
「そうねぇ、私もクレアに聞かれるまで気にも止めていなかったもの。ってまさか風の山に行くんじゃないんでしょうね?!」
「そのまさかです^-^♪なんか行ってみたくなっちゃって♪シノアも行ってみたいと思わない?」
「ん~気にはなるけど。見るからに怪しいから好んで行きたいとは思わないけわよね」
「え~行こうよ~シノアと一緒に行きたいよぉ」
「しょうがないわねぇ。どうせ嫌だって言ってもクレアが駄々をこねるだけだからなぁ」
「へっへ~^-^正解♪」
「もぉ。それで、誰かに行くって伝えてきたの?」
「お婆ちゃんだけ知ってるよ。なにが起こるかわからないから気を付けなさいってさ」
「そぅ。。ママに風の山に行ったってバレたら怒られちゃうわ」
「お婆様以外にバレないようにしましょうね!わかった?」
「はぁ~い♪」
森林の木々を潜り抜け、花が咲く草原を横切り、途中穏やかに流れる小川を裸足になって渡り、そのほとりで休憩をとることにした。
「もうすぐだね。風の山」
「こんなに近くに来たのはじめてかもしれないわ」
「ところで、クレアはなんで急に風の山に行きたいと思ったのよ?」
「え?う~ん、、別にこれといった理由はないかなぁ」
「はいぃ?」
「ん~、、前までは私もなにか不気味で怖いって思ってたけど、この頃はそんな風には感じなくなったんだよね」
「それでなにがあるのかなぁ?って思っただけ。そう思うとワクワクしてこない?」
「楽しそうだから大好きなシノアも誘ったってわけさ^-^♪」
「ふ、ふ~ん。誘って貰えたのは嬉しいけどまさか風の山だとは思わなかったわよ」
「ごめんねシノア なんか無理やりっぽくなっちゃって...」
「こらこら!クレアと一緒に冒険できるんだから嫌なわけないじゃない♪びっくりはしたけど嬉しいし楽しいよ^-^」
そう言うとシノアは、クレアの頭をわしゃわしゃし始めた。どうやらシノアはそれがたまらなく好きらしい。
それをクレアはただ黙ってうっとり顔で受け入れていた。クレアもわしゃわしゃされるのが堪らなく好きらしい。。
「~♪」
「、、ねぇシノア」
「ワシャワシャ~♪」
「ねぇってば!」
「ワシャ、、 はい?」
「風の山に着いたらどうする?登って一番上に行ってみたくない?」
「そうねぇ、、」
「絶対なにかありそうじゃん?!」
「なにもないんじゃないかしら?荒れた山ですもの」
「でもだよ!でも!なんかあるかもしれないじゃん!」
「折角シノアと二人ではるばる風の山まで行くんだから色々見てみたり調べたりしたいじゃん」
「そうね、折角だしね^-^危ないと思ったら無理しちゃ駄目よ?」
「うん^-^♪」
「うん^-^♪」ワシャワシャ~♪
休憩も終わり
クレアの頭が絡まった毛糸みたいになった所で二人は満足し、風の山へ向かった
「着いたぁ~!!」
「着いたね!思ったより近く感じたわね。それにこの場所、、ちょっと肌寒く感じるわ」
辺りを見渡すと平地が広がっている
平地にはポツリポツリと草が生えていて、他にはなにもない。その中にドン!と存在している通称
風の山
空は快晴で、風も心地よくお天気日より
しかし、山に近付いて麓にたどり着く頃には、ひんやりと肌寒くなっていた
「ほんとだぁ、なんかひんやりするね」
「ちゃんと暖かい服装で来てよかったわ」
「話に聞いた通りなにもないねぇ」
「そうだね。あたりには鳥もいないし殺伐としてるね」
「不気味って言うより、なにか不思議な感じがするなぁ」
「うん。私もなにか、、怖いとかじゃなくて、、、神秘的な感じがするわ」
「あれ?でもここは風が吹いてるよね?」
「そうね風が吹かないってのは怖がらせるための迷信かもしれないわね」
二人は話しながら周辺を見渡し、そして目の前にそびえ立つ風の山を見上げた。
遠くから見た風の山はゴツゴツと岩で荒れた山に見えたのだが、近くで見てみると岩は所々規則的に並んでる様に見えた。気のせいかも知れないが。
「あっ!」
「な、なによ!?どうしたの?!」
「そう言えばお婆ちゃんに風の山の物は触るなって言われたの思い出した!」
「そうなの?どうしてかしら??」
「何があるかわからないし、危ないから触るなって」
「そうよね。皆近ずかないし、なにが起こるかわからないからね」
「なにもないと思うけどなぁ」
「まぁ特に危なく無さそうだし、そこまで神経質にはならなくていいと思うの」
「そだね。よし!この上には何があるか!」
「なにもなさそう、、」
「そんな事言わないで行こうよぉ~一緒にワクワクしようよぉぉぉ」
「そ、そうよね!なにかあるかもね♪ごめんごめん^-^」
シノアは不意にクレアに抱き付かれ、驚きと喜びの表情を浮かべながら言った
「さぁ♪レッツゴー♪」
二人は歩幅を合わせながらゆっくりと風の山を登り始めた。
草木も無く荒れた感じがするが、意外に歩きやすく登りやすい。石や岩が絶妙に並べてある感じがした
「なんか思ってたより全然登りやすいね」
「そうね。しかもなにか体が軽く感じない?まったく疲れないもの」
「シノアもそうなんだ!?私だけかもって思ってた!」
「それに登る前は肌寒いと思ったけれど、今は全然寒くないわね」
「そうだね~不思議だね~」 「あれ?」
クレアは急に立ち止まった
「どうしたのクレア?」
シノアも立ち止まる
「どうしたのよ急に立ち止まるなんて」
「、、、感じない」
「え?」
「風、、 風が吹いてない、、よね?」
「あ、、そう言われれば、、、」
気のせいだろうか?この山に登る前は確かに風は吹いていた
二人は確認すべく振り返り、山から見える遠くの木々を眺めた
木々をは不規則に風で揺れている
そのまま空を見上げた
快晴だった空には所々白い雲が現れていたが
風の山の上空だけはポッカリと晴れていた
「わぁぁお!」
「話は本当だったようね。」
「凄いね!ドキドキワクワクしちゃう!♪」
「そうね。でももし私1人だったら怖くなって逃げ出しちゃってるわよ」
「でもぉ~??」
「クレアと一緒だから不気味だけどドキドキワクワクしちゃってるかもぉ?^-^♪」
「でしょぉぉ~♪」
「でも本当に不思議ねぇ。なんでこの山だけこんな感じなのかしらね、、」
「その秘密を解き明かすために今私たちが調べてるってわけさぁ♪」
この不可思議な空間と現象に喜び、キャビキャピ♪と大騒ぎしているクレア
やれやれ。とシノアも若干不振に思いながらもこの状況を楽しんでいた
「よし!もうちょっとだね。山頂目指して突き進みましょ♪」
「あれ?シノアもなんかやる気出てきたぁ?」
「ここまで来たんだもん。なにがあるか知りたいじゃない♪?」
「そうこなくっちゃ♪行こう行こう♪」
その場で不思議な環境を実感したあと、意気揚々と山頂を目指した。
斜面が緩やかになってゆき、ついに遮蔽物のない見晴らしのいい場所にたどり着いた
「やっと着いたぁ~!!」
「うふふ♪着いたわね♪」
二人は強く抱き合いピョンピョン跳ねながら喜びあった。シノアはこのチャンスを逃すまいと、こっそりワシャワワシャしようとクレアの髪をさわろうとしたが、、、
クレアが回りを見渡すためにそっと離れたためワシャワシャできずにシノアはちょっぴり落ち込んだ
「見晴らしいいねぇ。なにかないのかな?」
そう言いながらクレアは風の山山頂を見渡した。キョロキョロしてシノアの方を見たら
シノアが顎に手を当てながら地面を見ていた
「、、妙ね」
「どしたのぉ?なにがぁ?」
「普通の山の頂上ってどんな感じだと思う?」
「どうって、、どゆこと??」
「山ってどんな形かしら?」
「ん~と、山は頂上に向かって細くなってるから、山頂は平らじゃなくて、、、あっ!」
「気付いたかしら?この風の山の山頂は何故か平らなのよ」
「ほんとだぁ!ってことは自然に出来た山じゃないってこと?それとも誰かが作った山なのかな??」
「それはわからないけど、誰かが手を加えて整地したのは確実だと思うわよ」
「えぇ!なんのために?!」
「それを調べるのが私達でしょ?♪」
「そうだったね!^-^♪」
歩きながら観察や考察をし、遠くの方を見ていたら違和感がある場所に気づいた
風の山の山頂に辿り着いた
二人が歩いて辿り着けたのだからそこまで険しい道のりではないのであろう。もしかしたら不思議な力がそう感じさせてるのかもしれないが
山の高さ、大きさと食い違ってるかの様に山頂は平らで広い。こんなに大きい山だった?と感じるくらい広い空間がそこにはあった
「なんか広くない?広すぎない?!」
「ほんと広いねぇなんでだろうねぇ♪」
地面を見るとなにか模様のような物が目にとまった。よく見てみると、舗装された道のようになっていた
「こ、これは!?なにか導かれてる気がする!♪」
「う~ん、、誰が何の為に?とりあえずこれを辿ってみましょうか」
登り着いた直後なのだが不思議と疲労はなかった。体も軽く感じるし気温の変化も感じない。言われてみれば肌寒いかな?と思う程度だった
辺りにはなにもなく広大な空間。ここまで来た二人にはだんだん疑問すらどうでもよくなっていた。それに勝る好奇心によって、、
歩き進んで行くと、先程までなにもなかった用に見えた地面が消えてゆくように見えはじめ、突如クレーターの用な地形が現れた
「あれ?なにか凹んでない?気のせいかな??」
「私にも見えるわよ。なにかしらねぇ」
近づくと大きな緩やかな窪みがあった。まだ地面の模様が先に続いていたため、それを道標に窪みを降りていった。
「あれぇ?窪みの真ん中変になにかあるよ!」
そう言うとクレアは駆け出し、窪みの中心にある、なにかの前に着いた
「おぉ」
「待ってよクレア!」
シノアも駆け出し、少し遅れて辿り着いた
「あら、これは、、なに?」
「ん~なんだろ?!でも綺麗だね♪」
クレーターの中心部
そこには少しの段差があり、丸い盆状に地面が競り上がっていた。その上は苔の様な緑に覆われていて、その中心には丸い物体が置かれていた
クレアが始めに見た時は濁った茶褐色の様に見えた色は、シノアがたどり着く頃には鮮やかな光を放っていた
「ねえ シノアにはこれが何色に見える?」
「それが不思議なのよ赤にも見えるし青にも見えるし、、、」
「よかったぁ~私だけかと思った!なんか色が変化してるように見えるんだよね」
「私も同じよ」
それには定められた色は存在しておらず、気がつけば黄色、次の瞬間緑色とゆらゆらと光を放ちながらそこに存在していた
「はあ~なんか不思議~♪」
「そうねぇ~なにか不思議だけど、、綺麗だわねぇ」
「まるで夢でもを見てるかのよう、、、」
グニッ!
「いたっ!なにするのよクレア!」
「いや、夢じゃないかなと確認したくて」
「自分のほっぺをつねりなさいよ!もぉ」
「ごめ~ん 許してよぉシノア~^-^」
そう言うとクレアはシノアの頭を軽く撫でた。「もぉ!」とシノアは怒って見せたが、口元がにやけてしまう
シノアも頭を撫でられるのが好きらしいのだが、クレアが中々髪を触ってくれないので欲求が溜まっていたようだ
にやけたシノアの口元を見たクレアはここぞとばかりにシノアの髪をワシャワシャし始めた。ワシャワシャ♪していたらシノアが恍惚の表情で悶えはじめたのでそっと手を離した。。。
「で、これはなんなのだろうか?」
「...ふぅ。そうね。なんなのかしら?」
二人は顔を寄せ会いながらその光を放つ物体に顔を近づけた。するとふわぁ~っと香りがただよってきた
「ん?なんか良い香りがしない?」
「ほんとだ。なにかローストされた用なかぐわしい香りね♪」
「あれ?私は大好きなラズベリー見たいな甘い香りがするよ♪」
「あら。色と同じで、香りもお互い違うのかもしれないわね」
匂いが違うとか色が違うとか些細な違いは、ここまで来た二人にはどうでもいいことだ
グゥ~
二人同時にお腹の音が聞こえた。辺りは風もなく音もない為はっきり聞こえた
「なんか急にお腹が空いちゃった」
「私も。さっき木の実を食べたのに」
2人に魅力的な光と香りを放つ物体に釣られて二人は呟いた
「、、これって食べれるのかなぁ?」
「え?食べれるわけない、、、しかしいい香りね、、、」
香りを体に吸収する度に空腹度が増してきている
「ねぇ、食べてみようよ半分づつ♪」
「え~毒があるかもしれないわよ?」
「大丈夫だよ。私達普段いろんな木の実をつまみ食いしてるじゃん?不味かったりヤバかったら吐き出せばいいだけだよ♪」
「そんなのだめだよ!、、、って言いたいけれど確かに食べてみたいわねぇ♪」
よくよく考えれば、、、
ここはあの 風の山
その山頂にある奇妙な空間で見つけた謎の丸い物体。子供の拳位の大きさだろうか。
それを触り、ましてや食べるなんて普段なら思いもしないだろう。しかし、
二人はいつしかそれを忘れ
目の前の神秘的な香りを放つ物体に
夢中になっていた
「シノア 半分ずつ食べようね?^-^」
「うん でも半分に出来るのかしら?」
2人はもう食べる気満々。クレアはその実をそっと手に取った
子供の拳くらいの色が変化しつづける光を放つその物体。果実と思えるくらいに目映く美しく芳しい香りを放つ1つの実
「、、、あれ?なんか温かいかも?」
「私にも触らせて。ほんとだ、、ほんのり温もりを感じるわね、、」
気のせいだろうか?無造作に置かれていた果実はほんのり温かく感じた。錯覚かもしれないが。
触感は、茹で玉子の白身のように弾力がある
「半分にしてみるね」
シノアは半分に割ろうと引っ張ったりしたが、ゴムみたいに伸びるだけでどうにもならない。クレアが受け取り同じように色々試したが千切ることさえ出来なかった
「ん~どうしよっか?」
「そうねぇ、二人で一緒に食べてみない?」
「どうゆうこと?」
「私が果実を持つから、一緒にかじりつくのよ。折角だし同時に食べてみたいでしょ^-^」
「おぉ シノアのエッチ^-^♪」
「べ、別にそ、そう言うわけじゃ、、!」
「うそうそ♪いいねぇ!そうしようか^-^」
シノアは果実を手に持ち、二人の顔の間に持ってきた。魅力的な香りが色々混じり合い二人の鼓動が高まり
「なんか 私ドキドキするっ!」
「な、なんでよ!私はべ、べつに、、」
「そうじゃなくて!こんな不思議な果実食べたことないからさぁ」
「あ、う、うん!そうね!と、どんな味がするのかしらね」
クレアとシノアは各々思いを募らせている
「いくよ~?」 「うん」
「「せ~の」」
二人はゆっくりとその果実にかじりついた
果実と唇が触れた瞬間に体の感覚が鋭敏になり体が少しだけこわばった
果実をかじり 口に含んだ瞬間
身体中に電気が走り抜けたようにシビレた
それは不快ではなく快感とよべるもの
食べ進めるにつれ 快楽で体が脱力し
時折快楽に驚くかのようにビクン ビクンと体を震わせていた
クレア シノア 共になにも言わず
目を閉じ 五感をを研ぎ澄ませながら
一口目の果実をじっくり咀嚼しながら
夢中になっていった
「.... すごい」
「すごいね.. ...」
それだけ言うと二人はまた、合わせたかのように同時に果実にゆっくりとかじりついた
それと同時に 2人の唇が軽く触れあった
だが二人はなにも言わず
けど意識しながら 果実の味を
2人だけの果実の蜜の味に酔いしれ
夢中になっていた
「ふぅ~凄かったぁ!!美味しかったぁ♪」
「ほんと美味しかったし凄かったわねぇ!!♪」
「でも最後シノアちょっとだけ強引だったなぁ、、、」
「~♪え?なんか言ったかしら?」
「な、なんでもないもん!」^-^
果実を食べ終わった。食べてる最中は言葉数も少なくともお互いに気持ちを確かめながら堪能した
「はぁ~。ねぇ、どうだった?」
「クレアはどんな味がしたの?」
「よくわかんないけど凄かった!」
「まぁそんな表現が一番かもね笑」
果実を食べ終え、2人は楽しそうにまったりと感想を言い合っていた
すると、
ヒュ~
「あれ?」
ヒュ~
「え?」
風が吹いてきた
「クレア!風!風!!」
「う、うん!風が吹いているわ」
どこからともなく風が吹いてきた
温かく爽やかで優しい風が
「あ、そう言えば私達風の山にいるんだっけ」
「そう言われればそうね。すっかり忘れてたわ」
「あぁ、、、お婆ちゃんとの約束守らなかった、、謝らなきゃなぁ、、」
「そうねぇ、、まぁしょうがないよ。私も一緒にお婆様に謝るね」
「うん。ありがと」
「落ち込んでもしょうがないわよ^-^二人で美味しい果実食べれたし楽しかったじゃない♪」
「そだね♪美味しかったし楽しかったから満足だね^-^♪」
落ち込んでいたクレアをシノアは気丈に振る舞い、優しくナデナデしながら慰めていた
!!!??
「誰かいるわ?!」
「え?!」
シノアの視線はクレアの顔の横の奥の方を見ていた
クレアはシノアの目線の先に振り返った
風が渦巻いているその場所には
確かに人影が見えた
クレアが振り向いたその先には、大きなつむじ風が白い尾を引きながら舞っていた
その中にぼんやりと人影が見えてきた
「シノア あれはなんなの、、?」
「さっきまでは誰もいないと思ってたのに、、」
風が収まり、人影はハッキリと姿を見せていた
初めはうなだれたように立ち尽くしていたが、ゆっくりと頭を上げるとクレアとシノアの方に視線を向けた
ぼんやりと見つめたと思いきやなにか不思議そうにキョロキョロと回りを見渡していた
「ねぇ。あなたはだれ?この山の神様?」
クレアはその人に語りかけた
話しかけられた人物は驚いた表情で、またキョロキョロしだした
「あなたよあなた!」
シノアは指を指し示した
「ぼく?」
その人物は自分を指差し不思議そうに問いに答えた
「そうよ。いつからそこにいたの?」
「.. . .わからない..かな」
「はぁ?」
「じゃあ あなたの名前は?」
「... チャドでいいよ」
「じゃあチャド あなたはこの山の神様?」
「え?.. .違うと思うけど、、」
「じゃぁ怒ってないのね?」
「え??別に怒ってないけど??」
「ちょっとクレア!なに聞いてるのよ?」
「だってぇ あの果実を勝手に食べたから怒って私達に言いに来たのかと思っちゃった」
「あ~なるほどね」
「あの実を食べたんだね...」
チャドは2人に静かに話した
「うん!食べっちゃった♪」
「とても美味しかったわ♪もしかしてあなたのだったかしら?」
「いいや。僕の物じゃないよ」
チャドは儚げに微笑んでいた
「もしかしてチャドも食べたかったの?」
「いや、そうじゃないよ。君達2人があの実をたべたんだ。ただそう考えただけ」
「「???」」
どうにもチャドの言い回しが気になるが、他意はないようだ。不思議に思いながらも2人はチャドを見つめていた
髪の毛はボブの気持ち長めくらい。全体的に黒っぽく見えるが光の加減では発色したグレーにも見える
所々跳ね返っている猫毛
淡いクリーム色の上下に同じ色のポンチョみたいなのを羽織っていた。所々に赤と黄の模様がある
「チャドは一人でここに来たの?」
「そうだよ」
「いつからそこにいたの?」
「ついさっきだよ。頭を撫でていた位かな」
「ふ~ん。なんで話しかけてこなかったの?なにをしにきたの?!あと、、、」
突然あらわれたチャドに興味深々で質問が止まらないクレア。そこに割りいる形でシノアが話す
「私はシノア。この子はクレアよ。」
「そうなんだね。はじめまして。よろしくね」
「よろしくおねがいします♪仲良くしようね♪こっちで話をしようよ^-^♪」
無邪気に微笑みかける クレア
少し警戒している シノア
そこにゆっくりと近寄る チャド
合流したあと、三人はその場に座り、話し始めた
「チャドって私達と同じ位の背だね!何歳なの?」
「ん~忘れちゃった」
「えぇ?そんな事あるぅ?」
「そう言われても、、、」
「15歳くらい?私は15歳だよ^-^」
「私は16よ。まぁ同じ位でしょうね。でも自分の歳位ちゃんと覚えてなさいよね」
「そうだね。ごめんね」
シノアも色々と質問をしたり話を聞くうちに次第に打ち解けていった
でもチャドは所々忘れた。覚えてない。などと、とぼける所があるので釈然としない気持ちは少し残っていた
クレアはと言うと、疑うことなく聞きたい事を聞いてチャドに興味深々なご様子。ケラケラと笑っていた
「チャド!私達もう友達よね♪」
「そうよね。風の山の上で偶然に出会ったけど仲良くしましょうよ♪」
「うん。ありがとう。よろしくね」
チャドは笑いながらそう言ったが、少し寂しそうな、、儚げな表情を一瞬見せた
シノアはそれを見ていたが、なんとなく見てないふりをした
「今度私達の家に遊びにおいでよ♪」
「うん。遊びにいくよ」
「場所わかるかなぁ?森の奥深くにあるから、、」
「さっき話を聞いてなんとなくだけどわかるから大丈夫だよ」
「うん!いつでもいいから遊びに来てね^-^」
「さ~て、ずいぶんと長居しちゃったわね。そろそろ帰るわよクレア」
「ほぉ~い チャドも一緒に降りようよ」
「ぼくはもう少し休んでから帰るよ」
「そっかぁ わかった!それじゃあねチャド!」
「バイバイ クレア シノア」
そう言うと2人で山を降りた
山から一歩踏み出した瞬間に風が吹きだした
「あら?そう言えばチャドと別れて降りてる最中は風が無かったわね」
「気にしてなかったけど、そうだね。それになんかふっと現実に戻った感じがするね」
「不思議な果実があったし、チャドにも出会うし、、ほんと不思議な山だったわね」
「うん!不思議だけど楽しかったね♪」
「そうね♪楽しかったわね^-^♪」
ぼぉーっと風の山を見上げ物思いにふけり
満足したらヒラリときびすを返し
二人は足早に家路についた
2人は風の山からの帰り道
空にはうっすら雲がかかっている
「風の山でだいぶゆっくりしちゃったわね」
「そだね♪でもまだ太陽は高いねぇ」
「そうねぇ...結構長く居たと思ったんだけどなぁ」
暗くなる前に帰ろうと足早に歩いていたが、二人が思うよりずっと太陽は高い位置にあった
帰りながらもさっきまで居た風の山での出来事を楽しそうに話ながら歩く
そして二人が住む集落に辿り着いた
「さ~てクレアの家に行きましょうか。お婆様に謝らないとね」
「うん」
2人はクレアの家に着き、そして中に入った
「ただいまぁ」
「お帰りなさいクレア。ずいぶん早いのね」
「あら シノアちゃんも一緒なのね^-^いらっしゃい」
「お邪魔します、カルアさん」
「もう遊び終わったの?いつもよりだいぶ早いわね。お腹でも空いたのかしら?」
「ううん。お腹は空いてないしもう充分遊んできたよ♪」
「あら、そうなのね」
クレア達はだいぶ遅くなったと思っていたがクレアのお母さんには早く感じてるようだ
「お母さん お婆ちゃん居る?」
「お部屋に居ると思うわよ」
クレアとシノアはお婆ちゃんの部屋に向かった
「お婆ちゃんだだいま!」
「お邪魔します。」
「おやおや、もう帰って来たんだね」
お婆ちゃんは2人の顔をじっくり見た後に口を開いた
「2人共行ってきたんだろ?風の山に」
「うん」「はい」
「そうかいそうかい。で、なにかあったのかい?」
クレアとシノアは興奮しながらも丁寧に
あの果実を見つけた所まで話をした
「そうかいそうかい^-^」
「味はどうだったい?さぞかしいい香りだったんだろうねぇ」
「? お婆ちゃん。私まだ食べたなんて言ってないよ?」
「なぁ~に。2人の顔を見ればわかるさ」
「?」「?」
「朝見た時と比べてクレアが随分と大人っぽくなったからねぇ。シノアもね」
「どうゆうこと??」「??」
「お婆ちゃんにかかればなんでもわかってしまうもんなんだよ」
「ふ~ん」「あの...」
「なんだいシノア?」
「クレアに風の山の物には触れるなと言ったと聞いたのですが、、、」
「あぁ、あれかい?私も昔同じ事を言われたのよ。初めての場所は はしゃぎがちで危ないからね。注意換気と言ったとこかしら^-^」
「でも、約束やぶっちゃった。ごめんね」
「私も聞いていながら、、すいません」
「な~に^-^何事もなかったならそれが一番だよ。楽しかったんだろ?」
「うん!凄かった♪」
「とても楽しかったですわ♪」
「そうかいそうかい」
...ナツカシイネェ...
「なにか言った?お婆ちゃん?」
「いや なんでもないよ」
「ねえ お母さんに言っちゃ駄目なのかな?」
「....悪い事ではないが、あまり大きな声では言うことではないのかもねぇ..」
「そっかぁ まぁ秘密にしとこっと。シノアわぁ?」
「私もママには秘密にしなくちゃね」
クレア達は体験した事を身ぶり手振りを交えてお婆ちゃんに話した。ただ、二人が体感したあの快感と高揚した快楽を感じた気持ちだけは照れながらもはぐらかしながらも...。
お婆ちゃんはなにも聞き返さず笑顔で頷きながらそれを聞いていた。まるでなにが起こったのかわかってるかのように笑顔で頷いていた
「クレア シノア。また風の山に行きたいかい?」
「う~ん また行きたい、、かな?でも当分はいいや」
「そうねぇ、、なんか満たされた感じがするわね」
「そうかい。あとは自分達で自由に決めなさい」
二人はひとしきり話を終え、お婆ちゃんの部屋を出ようとした その時、
「そういや、、」
「誰かに出会ったりしたかい?」
「え?お母さん位しか会ってないよ」
「そうかい、、お行き」
「「?」」
部屋を出て、二人は家を出た
この集落の中心には大きな広場がある。その広場を中心に家が円を描くように立ち並んでいる
その広場には、
大きな木があって、そこに結ばれ作られたブランコや滑り台 キノコみいなアスレチック迷路 小魚や羽を休める小鳥達がいる川などが流れている
集落のみんなはここが憩いの場となっておりみんな悠々自適な時を過ごしている
二人は広場まで来た。そこにあった木製のベンチに腰をかけた
「お婆様に怒られないでよかったわね^-^」
「うん♪でも、、なんかお婆ちゃん色々知ってるのに隠してる感じがしたな」
「そりゃあ私達にも人には言えない秘密とかあるでしょ?それと同じよきっと」
「私達の秘密ってなぁに??」
「え?そ、それは、、、」
2人は黙って考えた
風の山での出来事を
考える内にクレアは何故か赤面してモジモジしだした。モジモジしながらシノアはなにを考えているのだろ?と思い、そっとシノアの方を見てみた
赤くなった顔を両手で隠し、横にぶんぶん振っていた。時折、「いやん」「でも」などと聞こえてくる
クレアの視線を感じ、ふと我に返ったシノアは
「ね、ね?色々秘密があるでしょ?!」
「う、うん!そうだね」
よくわからないが二人は納得したみたいだった
「チャド 遊びに来てくれるのかなぁ」
「だれなのそれ?」
「私とクレアの友達よ」
広場の大きな木にあるブランコに乗りながらクレアはそう言い、その横で座りながら数人で花の冠を作りながらシノアが答える
「へぇ。よその子?どこで知り合ったの?」
「内緒よ♪ねぇクレア」
「うん、内緒~♪」
「ケチ~」
ほのぼのと笑い声が聞こえる広場。のどかな日常だ。すると誰かが言った
「ねぇねぇ!誰かくるよ?」
みんなが声の指す方を見ると、そこには見覚えのある姿があった
今日は太陽が一段と輝き、髪の毛がグレーと言うより銀色っぽく見えた
「チャド!!」
クレアはブランコを大きく揺らしそのまま大きくジャンプしながら降りて、チャドに向かって大きく両手を降った
それに気付き、チャドはゆっくりとクレア達のいる場所に近づいてきた
「あの子がチャド?!」
「紹介してよ♪」
乙女達が久しぶりに見る外部の人を見つけたもんだから色めき立つ。チャドからすればみんなこっちを見ながらなにか言ってはしゃいでるとわかる。チャドはさらにゆっくり歩き始めた
「こらこら!チャドが怖がってるじゃないの!まず紹介しなきゃ!」
だって~ も~ え~ なんかよくない?
等々声が聞こえる中チャドが到着。チャドの両脇にクレアとシノアが立ち、
「この子がチャドよ^-^遠くから遊びに来てくれたの♪」
「みんな仲良くしてあげてね♪」
「「「ハァ~イ どこから来たの? 何歳? 好きな食べ物は?何色が好き?木の実食べる?どんな歌が好きぃぃ??」」」
怒濤の質問責め。チャドはアワアワと困りながらあたふたしていた
「ハイハイハイハイ!!みんな!私達3人はこれから外に遊びに行ってくるわね!」
ワタシモイク!ワタシモ!アダスモ!
「今日は久しぶりにチャドに会ったの!また今度ね」
ェ~ オウボウダァ~ ケチ~ ナンデヨ~ ケッ
「みんな!今日はゆっくりチャドと遊びたいの!ごめんねぇ」
そう言うと両側からがっちりチャドの手を握りそそくさと三人は逃げだしたのであった
集落の外にある少しひらけた森の中。そこには鳥達が沢山いて常に鳥達の歌が聞こえてくる日溜まりがあった
そこら辺にある木の根本に座り込んだ
「ごめんねぇ みんな節操なくて」
「あ、うん。ちょっとビックリしたけど」
「まぁ気にしないでね。みんな悪気はない子達だからさ」
「うん。大丈夫だよ」
鳥の歌声を聞きながらチャドは微笑んだ。その髪はいつの間にか黒っぽく見えていた
「チャドの髪って不思議よね。なんか綺麗」
クレアはチャドの髪を触った。チャドはなにも動じず平然としてる。それを見ていたシノアも反対側からチャドの頭を触る
「あら、クレアの髪みたいな肌触りね」
「そお?シノアみたいな感じもするよ?」
2人は何度も確かめるように髪を撫でる
チャドはボォ~と鳥達を眺めていた
「でもよく来てくれたね♪迷わなかった?」
「うん。すぐにわかったよ」
「疲れてない?お腹は空いてない?」
「ありがとう。平気だよ」
話ながら撫でているものだから自然に二人ともワシャワシャしていた。チャドは気にもしてもいない
ピ~! ピ~!
「あ、鳥がなんか危ないよって言ってる?!」
クレアがそう呟くと同時に森の奥から猪のような動物が飛び出してきた
クレアとシノアはチャドの頭をワシャワシャしてて気をとられていたせいで若干反応が遅れてしまった
チャドはワシャワシャされたまま
右手を口元で広げて
ふぅ~
と、息を手のひらに吹き掛けた。するとそこから勢いよく風が吹きだしクレア達目掛け突進してきた動物をフワッと浮かせた
風はそのまま高く持ち上げ、そしてそのまま地面に叩きつけた。甲高い悲鳴みたいな声をあげ、動物はそのまま今来た道を逃げ帰っていった
「、、、今のチャドがやったの?」
「、、掌から風が吹いたように見えたけど」
「、、、うん。僕がやったよ」
チャドは下に目をやり落ち込んでるようだった。ワシャワシャされてた二人の手はピタリと止まっておりそのまま動かないでいた
怖がらせちゃったかな?などど考えながら下を見ていた目線をあげるとそこにはなんと
まん丸な目玉が4つあった
「すっ、すっごぉぉぉぉい!!♪」
「風がつくれるのっ?!興味深いわっ!!」
そう言いながら二人の手はワシャワシャしはじめた。興奮してるもんだからもぉ...ワシャワシャも止まらない
「なんで教えてくれなかったの?!」
「いや、言うタイミングが無かったっていうか、、」
「もう一回やってみてよ!」
チャドは笑顔で頷き、左の手のひらを口元でひらき
ふぅ~
と、軽く息を吹きかけた。
息を吹きかけられた左の手のひらから風が吹き出し、その風は3人を取り囲むかのように舞いだした
その風の中にいるクレア達は不思議と風を感じず、暖かい絹にくるまれている感覚に陥った
すると鳥達がその風に乗り優雅に周りを羽ばたきながら歌い出した
「すごい、、、神秘的ね」
「なんか..さっきの風とはまるで別物みたい」
「え?」
「今吹いてる風は黄色っぽく見えるの。でもさっきの風はなんか赤色っぽく見えた」
「そうねぇ、言いたい事はわかるわ。そんな風に感じるわね」
2人はそう言いながら舞い飛ぶ鳥達を眺めていた
その横でチャドは悲しげな儚い笑顔でいる
3人はしばし その光景を楽しんだ
いつの間にか取り巻く風が収まっており、静かな風景になっていた
ワシャワシャに満足した2人は家から持参したおやつをチャドにも分けてみんなでおやつタイム
歌っていた鳥達はどこへ行ったかと言うと
ちょうどいいワシャワシャ感に仕上がったチャドの頭の上で昼寝をしていた
チャドは珍しそうにお菓子を眺めては口に運び、満足そうにかみしめた。たまに頭上の鳥に取られたりもするが....
「ねえクレア」
「なぁにぃ?」
「不思議だと思わないの?僕が風をつくれるって事」
「不思議で凄いと思うよ!」
「でもなにも聞いてこないよね?どうやってるの?とか」
「ん~それも個性じゃない?それに私達以外にも色々な人達がいると思うし、私達が知らなかっただけかもしれないし..」
「よくわからないけどチャドは風をつくれる!それでいいんじゃないかな?ね?シノア」
お菓子を食べ終え、隣の頭上の鳥にちょっかいをかけながらシノアは答えた
「ん?よくわかんないわ」
「どうゆうことよそれぇ?」
「それくらいチャドは不思議なんだけどいちいちそれを気にしてたら頭がこんがらがっちゃうから、あまり質問しない。ってので伝わるかしら」
「うむ。なんとなくそれで合ってると思うよシノア」
「、、、そっか」
チャドは2人の会話をなにも理解してなかったが、自分が考えすぎなだけなんだとはわかった
「だいたいでいこうよ!チャド^-^」
「そうよチャド 考えすぎはよくないわ」
「シノアもよく考えてるじゃんかぁ?」
「それはあなたが私を困らせるからでしょ?」
「ん?私がなんかしたのかなぁ?」
そう言いながらシノアに近寄りくすぐりはじめた。シノアは敏感らしく、クレアはそれを面白がっていた
「あっ!ちょ!や、やめてよぉぉ~」
「うりうり♪」
「ちょ、チャド!クレアを止めて!」
最後のお菓子をじっくり観察し、口に入れコロコロと転がしながら、考えすぎはよくないなとチャドは考えていてシノアの声が聞こえてないようだった
「そろそろ帰ろうかな」
チャドはそう切り出した
「え~もっと遊ぼうよ」
「クレア、わがままはダメよ?」
「あ!私の家に泊まっていかない?」
「いや、でも、」
「いいじゃん!今日だけ!ね?ね!?」
「あ、ん~、でも、、」
「あら せっかく遠くから来てくれたんだからゆっくりしていきなさいよ♪別に私の家でもいいわよ♪」
「だねだね~♪」
「あ~、、ん~、、、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」
「よぉ~し!じゃあ帰りますか!」
なんだかんだでクレアの家に着いた
「ただいまぁ~!お母さん!今日私の部屋でお泊まり会していい?!」
「お帰りなさい。まぁまぁ。もちろんいいわよ^-^♪誰が泊まるのかしら?」
「シノアとチャド!」
「シノアちゃんと、、、チャドちゃん?」
「お邪魔します♪」
「紹介するね!こちらがチャド♪」
カルアはクレアの後ろにある見慣れない顔を見つめた
「はじめましてチャドです。お邪魔します」
「ようこそチャド^-^なにも気にせずゆっくりしていってね♪」
チャドはほっと胸を撫で下ろした
「....ねえ チャドちゃん」
「はい?」
「私達どこかで会った事あるかしら?」
「?」
「どうしたのお母さん?チャドを知ってるの?」
「いや、気のせいだったみたいね。気にしないでね^-^」
「..はい」
「クレア 夕御飯が出来たら呼ぶから遊んでなさい♪」
「はぁ~い そだ!お婆ちゃんにも紹介しなくちゃね!」
3人はお母さんを後にして、お婆ちゃんの元へと向かった
「お婆ちゃ~ん 今日私の部屋でお泊まり会するの♪」
そう言いながら部屋に入るとそこには姿はなく、部屋の窓から見える庭にお婆ちゃんがいた
お婆ちゃんの部屋を通り抜け庭に出た
「今日私の部屋でお泊まり会するの^-^」
「お帰りなさいクレア^-^おやおやそれはよかったねぇ」
「シノアと、この子はチャド♪」
「こんばんわ、お邪魔しますね」
「はじめまして。チャドです。お邪魔します」
「おやおや、、、、、」
お婆ちゃんは笑顔で3人を見渡し、チャドで目が止まった
「チャドちゃんね」
お婆ちゃんはチャドの髪を見つめた。外は薄暗くなっており、月の光が射し始めていた
月明かりに照らされたチャドの髪は
黒と銀がメッシュ状に生えているかのように見えた
「おやおや。どこから来たんだい?」
「...風の山のもっと向こうからです」
「そうかいそうかい」
「気のせいかもしれないが、、、」
「どこかで...」
「私と話をした事あるかい?」
「「「???」」」
「いや、忘れておくれ。気のせいだったわね」
「もぉ、変なこと言わないでよお婆ちゃん」
「ごめんねクレア。誰かと勘違いしてたみたいだね」
「.....」
「?」
シノアはなにか言いたげなチャドを見たがなにも言わなかった
「ご飯できたわよ~」
食卓にはいつもより豪勢な料理が並んでいた
魚、野菜、果物など色とりどりに調理された食材達。カルアの手によって見るも鮮やか、香り豊かな料理となっていた
大きな丸いテーブルに各々座った。チャドはクレアとシノアに挟まれて座っている
「それじゃぁいただきましょうね^-^」
「「いただきまぁす♪」」
クレアは大好きなラズベリーのジャムを塗ったパンを頬張り、シノアはしっかりローストされたキノコが大好き
「このキノコ美味しい♪カルアさんってほんと料理上手ですね♪」
「ありがとうシノアちゃん♪」
とても嬉しそうに笑いながら魚のスープを飲むクレアの母、カルア
「チャドちゃんのお口に合うかしら?」
「と、とても美味しいです!」
チャドは山菜が混ざった麺を満足そうにすすっていた
「それはよかったわ♪^-^おかわりもあるからゆっくり食べなさいね♪」
「カルアや。そこの調味料をとってくれるかい」
カルアは目の前にある真っ赤な液体をお婆ちゃんに手渡した。それを麻婆豆腐みたいなのに振り掛けた
「うげ~からそう!」
「辛いから美味しいんだよクレア。食べてみるかい?」
クレアおばあちゃんから一口貰いそれを食べた。
「!!!」
クレアはジタバタしながら悶えた。カルアがそっと白い液体をクレアに渡し、クレアはそれを急いで口に含んだ
「おやおや、クレアにはまだ早かったかねぇ^-^」
「辛いの無理ぃ!!」
そう言いながらクレアは冷えた甘い果物を口に詰め込んだ。それを見ながら楽しそうに微笑むチャドとシノア
こうして夕飯も食べ終え、みな部屋に帰っていった
クレアの部屋に着くと、カルアが用意してくれた布団が川の字にならんでいた
「お風呂入ろっか♪」
「クレアと入るの久しぶりね♪」
「チャドも一緒に入ろうね♪」
「ぼ、ぼくは一人で入りたい!」
「え~折角なんだし一緒に入ろうよ~」
「ごめん!裸になるのはちょっと恥ずかしい」
「クレア 困らせちゃダメよ。二人で先に入りましょ♪」
「はぁ~い。チャドはそのあとね^-^」
「うん。ごめんね」
二人は体を洗いっこし、大きな湯船に浸かった
「ふぅ♪気持ちいいねぇ♪」
「ほんと気持ちいいわね♪」
クレアはシノアの体を見ながら言った
「、、ねぇシノア。大事な話があるんだ」
「? どうしたの深刻な顔をして??」
「胸、、、」
「え?」
「胸、また大きくなってない??!」
「あら♪気付いたの?♪最近私も気付いたの♪」
「、、ずるい」
「え?そんなこと言われてもしょうがないじゃな~い♪」
そう言いながらシノアは立ち上がり右手は頭、左手を腰にあてポーズをとった。シノアは悪い気はしてないみたいだ
クレアは口を湯船につけブクブク泡を立てながらその姿をうらめしそうに見つめた
「私ももう少し大きくなりたいなぁ」
「クレアはそのままでいいの」
そう言いながらクレアの顔を撫でた
「でもぉ~」
「私はなにも気にしないよ?ね?」
「まぁ、、シノアがそう言ってくれるならいいかなぁ、、^-^」
「そういやチャドって、、私よりペッちゃんこだよね」
「そうね、、それが嫌で恥ずかしいんじゃないかしら?」
「わかるなぁその気持ち。それなら仕方ないね」
「あんまり胸の事をチャドに言わないようにしようね」
「うん」
二人はひとしきりイチャイチャし終わってお風呂を出た
「お待たせぇ~♪チャドも入りなよ♪」
「うん。そうするよ」
「あ、パジャマ用意して置いとくから、お風呂からあがったら来てきてね」
「うん。ありがとう」
そう言ってチャドはお風呂に向かった
クレアの持っている寝巻きの中からクレアが厳選し、シノアに渡した
「ん~下はいいけど、上はちょっとだけ小さいかも」
「う、、、、、」
「あっ、、ま、まぁ気にならないわね!うん!ピッタリかも!?」
「ごめんね!そのサイズしかなくて!」
「だ、大丈夫よぉ~^-^もぉ、拗ねないでよぉぉぉもぉ」
キャッキャ♪キャッキャ♪とじゃれあっていると、チャドがお風呂からでてきた。
「あら、可愛いわよ♪」
「うん♪似合ってる~♪」
クレアが用意してくれたパジャマを着ていた。上下ともにピンクで花柄、フリフリが所々についていた。
「、、、は、恥ずかしいかも」
「なんで~?可愛いわよ^-^♪」
「そうよ!プリティーキュートよ♪」
「プ、プリティー、、、、」
チャドはモジモジしていたが、二人は気にしない事にした
みんな着替え、布団の上に座り込んでまどろみだした
「ねぇ チャドがいつも言ってる【ボク】って【わたし】って意味よね?」
「え?」
「私もそう思ってたわ。遠くに住んでるのだから言葉も少し違うんだわって思ってた」
「..うん。同じ意味じゃないかな」
「ちょっと気になっちゃったから聞いちゃった。いるもんね~自分は~とかあたいは~とか言う人」
「そうね。わかればなんでも構わないわよ」
「でも【ボク】って言う人いなかったからなんか新鮮だね♪私も使おうかな♪僕って♪」
「やめなさいよ~チャドをからかってるみたいになるじゃない」
「別に僕は気にしないけど、、、」
「そだねぇ私は私でいいっか♪」
色々な話は後を尽きず
夜がふけていった
「チャド!あの木の実とれる?」
「うん。任せて」
左手の手のひらにふぅ~っと息を吹きかける
風が舞いおこり、その風は高い木の枝にぶら下がっている木の実をフワッと持ち上げゆっくりと手元に運んできた
「ありがと♪」
クレアは満足そうにその実を持ち上げて眺めた。その回りでは数人の友達がいつもの光景のように気にせず遊んでいた
「クレア あんまりチャドに頼ったら駄目じゃない」
「僕は全然気にしてないよシノア」
「もぉあなたの風を便利道具だと思ってるもの
「そんなことないよ~♪ただ手伝ってもらっただけだもん♪」
チャドと風の山で出会ってからはや数ヶ月
もうすぐ1年経つのではないか?と思われるくらいに時は過ぎた。
そのかんに、チャドは集落の人達と打ち解けていた。チャドがつくる風も皆見慣れた様子でそれが日常となっていた。
チャドは日にちの間をあけず、ちょくちょくクレア達に会いに来ていた。時にはシノアの家にも泊まったり
クレア シノア チャド
この三人の仲はかなり深まっていた。
「ねぇ。1つ聞いてもいい?」
「なんだい?」
「風をつくる時っていつも左手よね?」
「そうだね」
「でも、私達がはじめて見た時って右手じゃなかったかしら?」
「あ!そう言えばいつもチャドは黄色の風を出してるね!はじめは赤い風だったような、、」
「そうだね。どちらの手からも風はつくれるよ」
「そうよね。でもあの時以来赤い風を見てない気がするの」
「うんうん!そういやそうだね」
「......」
「なにか理由があるのかしら?」
「...右手の風は..あまり使いたくないんだ」
「どうして?」
「......。ごめん。どうしても使いたくないんだよ」
「、、そう。ごめんね。言いたくないこと聞いちゃったわね」
「ごめんねチャド!ただ気になっただけだから!気にしないでね」
「うん」
今日は久しぶりにクレアの家にいつもの3人でお泊まり会
「お母さん~今日お泊まり会するね♪」
「またいつもの2人だね?よぉ~し!お料理頑張りますか♪」
カルアは当たり前かの様にシノアとチャドの好みの料理を覚えていた。もう毎週のように二人が泊まりに来るものだから手なれたものだ
みんなで楽しく食事をし終え、お風呂の時間
前にチャドを先にお風呂に入らせ、あとからクレアとシノアが乱入した事があった。チャドは驚き湯船の中に隠れるようにずっと入っていた
毎度の事のようにその両脇に入り、三人で湯船の中。その頃には普通に、
「私も全然大きくならないなぁ」
「うん」
「一緒に大きくなるために頑張ろ♪」
「うん」
チャドは壊れたおもちゃのように何を話してもうん、うん、としか答えなくなっていた。
クレアとシノアがお風呂から先にあがって、着替えている時も、ずっとうん。うん。とぶつぶつのぼせながら呟いていた。。
それからチャドは警戒して先にお風呂に入りたがらない
「もぉチャドはうぶなんだから♪」
「こらこらクレア いじめちゃだめじゃない。チャド~私達先に入ってくるね♪」
「ごゆっくり~」
二人はお風呂場に行き、楽しそうな笑い声が聞こえてくる
部屋でチャドが寝転んでいると、
コンコン
部屋の扉をノックする音が聞こえる
ノックのあとゆっくりドアが開き、こう聞こえた。
「チャド?いるかい?」
二人の後にチャドもお風呂に入り、ピンクのフリフリなパジャマに着替えた。チャドもいつしかこのパジャマを気に入っていた
部屋で布団に入りいつものように座談会
すると、今日は疲れたのだろうか?
クレア シノアはいつの間にか寝落ちしてしまっていた
実はチャドがこっそり左の掌に息を吹きかけ、眠気を誘うように誘導していた。それを知らず二人はゆっくりと夢の中に落ちていった
二人が寝静まったのを確認したチャドは、ゆっくりと布団から出てクレアの部屋を出た
音を立てないように忍び足であるき
ある部屋のドアの前で立ち止まった
コンコン
「お入りなさい」
チャドはゆっくりと扉をあけ、部屋の中に入り扉をしめた
「よく来たね」
その部屋の中にはお婆ちゃんがいた
「どうしたの?僕だけに話って」
チャドが部屋でお風呂の順番待ちをしてる時に訪ねてきたのはお婆ちゃんだった。チャドに
「あなたにだけ話したい事があるから、夜中に一人で私の部屋に来なさい」とだけ言い残して行ってしまったのだ
「いやな~に、、、」
お婆ちゃんはなにか言葉を選んでいるかのように考えていた
「私の名前を知ってるかい?」
「?」
「いや、お婆ちゃんとしか、、」
「そうかい。私の名前はマリア。聞いた事あるかい?」
「はじめて聞いたよ」
「そうかいそうかい」
そう言うとマリアはまた考え込み、言葉をひねり出した
「単刀直入に言うと、、、」
「....そろそろなのかい?」
チャドはドキっとした
「おや、その様子じゃそうみたいだね」
「なんのこと?よくわからないよ」
チャドは動揺を隠せずにいた
「そうかい」
チャドは黙っていた。と言うかなにも言い出す言葉が見つからなかった。その重苦しい雰囲気の中、マリアは口をひらいた
「そうだねぇ....」
「私の若い頃の話でもしようかね」
そう言うとマリアは静かに語りだした
マリアの若い頃の話を、、。
マリアにも大勢友達がいた
その中でもクレアにとってシノアみたいな常に一緒にいる1人の親友がいた
名前はゼノア
髪は黒色で全体的に癖毛
雨の日などは頭中からピョンピョンと毛が飛び出たりしていた
マリアの住む、現在のクレアも住む集落から遠くに見える
風の山
若かりしマリアとゼノアにとっても、当然かのように興味の対象になっていた
周囲の大人達からは当たり前のように、風の山は危ないから行ったら駄目だと言い聞かされていた
しかし 若さは罪
興味の方が勝り マリアはゼノアと共に
風の山に行ったのだ
そこからは、そう
クレアとシノアが経験した事とほぼ同じ体験をマリアもしていた
風の山の山頂で
ゼノアとマリアで
あの不思議な果実を食べた
すると、気がつけば傍に人が立っていた
「あれはお前じゃないのかい?」
「チャイルド?」
「...........」
「まあ、話はまだ終わらないよ」
マリアとゼノアの前にあらわれた人影はこう言った
「僕の名前はチャイルド。君の名前は?」
こうしてマリアは出会い、3人で遊ぶようになった
「そういやチャイルドも風の山の向こうに住んでると言っていたかねぇ」
チャイルドも風をつくれた
チャドと同じく両手から。しかしいつも左手しか使わなかった
「右手はね 使うのが怖いんだ」
チャイルドがそう言ったのを思い出すかのようにマリアは話す
こうして
マリア ゼノア チャイルド
この3人は幾つかの日々を共に過ごす事になった
「おやおや。ここまではどこかで聞いた話ににそっくりじゃないかい?」
マリアはチャドに問いかける
「....そうだね」
と、チャドは声を振り絞る
「ここからが大事なんだよね.....」
マリア達3人が共に過ごすようになってから早数ヶ月、もうすぐ1年と思われるくらい時が経過していた
その頃になるとチャイルドは、じっと右手を見つめる事が増えていった
すると、ある時チャイルドは言った
「マリア ゼノア」
「久しぶりに風の山に遊びに行こうよ」
当時のマリアはなんの疑いもなく、またチャイルドが自分からどこかに遊びに行きたいと言うのは初めてだったので喜んで承諾した
3人で風の山に向かった
それまでは快晴だったのだか、風の山に着いた途端に雨が降りだした
風の山に...雨?
マリアはなにか疑問に思いながらも風の山を登りだした
登るに連れだんだん雨が強まり、風も吹いてきた。危ないから帰ろうよ!とチャイルドに言うと、
大丈夫だよ。体は濡れてないし風も特に感じないだろ?
そう言われて気付いたのだが、体は濡れておらず風にも押されない。山頂に着いた頃には
嵐になっていた
風が吹かないはずの山が今は
嵐の山
しかし不思議な事にマリア達にはまったく影響はなく、普通に行動できていた
山頂に着き歩いていると窪みが見えた
それをゆっくりと降りていき、中心に近づくと、前と同じように緑色の盆上の上にたどり着いた
その中心には
あの果実が置いてあった
「着いたね」
「この果実が食べたかったの?」
「いや、この実は今食べても意味がないよ」
「「??」」
「美味しくないってこと?」
「いや、味も香りも極上だとおもうよ」
確かに前と同じ香りが漂っている
「じゃあ意味がないってどうゆうこと?」
「それは、僕が今ここにいるからって事」
「わからないよ?!ちゃんと説明してよ!」
「そうだね。うん。」
「マリアとゼノア。2人でこの実を食べたんだよね?」
「そうだよ??」
「二人でこの実を食べたから、僕はここに来る事ができたんだ」
「つまり、産まれたって事」
「えっ??!」
「だから僕が存在してる状態でこの実を食べても次の僕は産まれてこないんだよ。僕は1人しかいないからね」
「だから意味がないって事」
「「???」」
「でもね僕が産まれて、それで終わりじゃないんだ」
「最後にしなくちゃならないことがある。だからここ、風の山に来たんだよ」
チャイルドは右手を見つめながら淡々と話した
「何をするの?」
「マリア。ゼノア。」
「どっちがいい?」
「え?」
「マリアかゼノア。僕はどちらか一人を選ばなくちゃいけないんだ」
「どうゆうことなの?!選んでどうするの?!」
「そうだね。なにもマリアとゼノアにはなにも解らないよね」
「最後だから、、全部話してあげるよ」
そう言うとチャイルドは全てに答えた
「僕のつくる風はね」
「左手の風は誰かを助けたり、癒したり、なにかをつくるための風なんだ」
「右手の風はね、攻撃したり、傷をつけたり、命を奪うための風なんだ。だから右手の風はね、今まで使いたくなかったんだよ」
「君達はこの実を食べた。そして僕が産まれて君達の前に来た」
「でも僕はまだサナギのようなもの。成虫に成るためには最後の儀式が必要なんだ」
「その儀式はね」
【この実を食べた1人の命を奪う】
「それが僕の逃れられない使命」
「それが終われば僕は消えていなくなる」
「そして僕が消えたあとに、、僕じゃない、、、」
「君達2人の子供が産まれるんだ」
「、、、そんなのって、、」
「うん。納得も理解もできないよね。こんな無慈悲な事をしなくちゃならないなんて」
「でもね、それが僕が産まれた理由でもあるんだ。僕の意思じゃないんだよ。どうにもならない定めと言うか運命なんだよ」
「神様がいるのならなんて残酷なんだろう」
「どうにもならないの?!他に選択肢は無いの!?」
「無いね。僕は産まれた時からその使命だけは忘れたくても忘れられなかった。どうしようもないんだ」
「もし、、、」
「もし、、どちらか選ばなかったらどうなるの?」
「その時は2人両方の命が奪われる」
「そんな、、、」
「選択する時間は限られている。その期限が今日なんだよ」
マリアは理解しようとしたが、理解できる訳がない!どうにかならないかと頭をフル回転させていた
「....ねぇ。チャイルド」
「なんだいゼノア?」
「もし...私が死んだらお母さんは悲しむのかな?」
「いや、大丈夫だよ。この右手の風で命を奪われた人に関する記憶は忘れ去られる」
「永遠に??」
「ん~.....いや、永遠にでは無いみたいだ。でも思い出したとしても何十年も先みたい」
「ごめんね。僕もはじめから植え付けられた記憶しかないからよくわかんないよ」
「そっかぁ。じゃあひとまずは誰も悲しむ事はないのね」
そう言いながらゼノアは悲しげに微笑む
「それだけは確かかな。時の保証はできないけど」
「ゼノアっ!!なにを聞いているの!!?」
マリアは声を荒げゼノアの両肩を掴んだ
ゼノアはその両手をつかみ、自分の頭へといざなった
「マリア。私の髪好き?」
そう言うとゼノアは優しく微笑んだ
「え!?だ、大好きよ!」
「どんなところが?」
「この真っ黒で美しい色もだし、癖毛で猫毛なところ!!とにかく全部よ!!」
「そう。嬉しいわ♪^-^」
そう言うとゼノアもマリアの髪を撫ではじめた
「私もマリアの髪、大好きよ。ううん。髪だけじゃない。全部よ」
「愛してるわ マリア」
そう言うとゼノアは
マリアの口にそっとキスをした
「え??えっ?!なに?!?」
「ふふっ♪こうやって自分から口を重ねるのは初めてね♪」
「あ、前に1度だけあったわね」
「あの時の幸福感は.. .ずっと忘れられないわ^-^」
「あの果実を二人で食べた時のね^-^♪」
そう言うと近くに置いてある果実を見つめ
ゼノアは微笑んでいた
「え?!覚えていたの?!私だけかと思っていた!!?」
マリアはあの口と口が触れ合った衝撃と、重ね合わさった時の快感を思い出した
なによりそれはマリアだけが感じてるものだとばかり思っていた。そしてそれをゼノアも共感してくれていて、尚且つ覚えていてくれたなんて
その瞬間マリアはゼノアに抱きつき、ワアワア泣いてしまっていた
「あらあら、泣き虫さんね。マリアは」
色々言いたかった
沢山気持ちを伝えたかった
でも気持ちが溢れ言葉に出来ず
マリアはただ泣く事しか出来なくなっていた
「チャイルド ここまで来て」
ゼノアは小声で言った
チャイルドは2人に近寄る
「なんだい?」
「私でお願い」
「いいんだね?」
「うん。お願い。早く」
「この子が気づく前に、、」
「..わかった」
マリアはゼノアにもう離さないとしっかりと抱きつき、ゼノアの胸元でワアワア泣いていた
ゼノアは小さな声でチャイルドを自分の元に呼び、チャイルドの耳元で囁いた
それを聞いたチャイルドは二人から離れた
右手を1度大きく天に掲げ、そしてゆっくりと自分の口元でひらいた
ふぅ~
右手からつくられた風は突風となり二人に吹き付ける
「?!」
「え?!ゼノアァッ!!?」
突風で体を揺さぶられ、我に返ったマリアは顔を上げた。すると抱きしめていたゼノア全体が赤っぽくなっていた
「まっ、まさか!?チャイルドォォ!!!」
「ゼノアの意思を尊重しただけさ」
そう言うとチャイルドは赤い風に覆われ、そして最後には黄色い風に変わると共に
チャイルドは忽然と姿を消した
「ゼノアっ!なんで?!そんな勝手に?」
マリアは泣くのを必死に抑えなんとか声にする
「ごめんねマリア。あなたを愛しているからよ」
「わ、わたしだっておなじよっ!!愛してるわ!!!!」
「ふふっ♪嬉しいわ^-^」
そう言うとマリアの顔を撫でた。その手は少し冷たくなっていた
「なんで?!わたしもいくよ!?!チャイルド!!早く私にも赤い風を!!!」
「もうチャイルドはいないわ」
「なんでよ、、私でもよかったじゃない、、、!」
「ダメよマリア...」
「マリアがいない世界では私は生きていけないわ..」
「私だってそうよ!!ゼノアのいない世界なんて考えられないよ!!」
「大丈夫よ。さっきチャイルドが言ってたでしょ?私の事はすぐに忘れてしまうって」
「そんなの、、そんなの自分勝手過ぎるよ、、、」
「ごめんねマリア。私の最後のわがまま」
「うっ、、うっ、、、」
「私とマリアの子供 きっと可愛いんだろうな、、、」
それを聞いた途端 マリアは号泣した
「私達の子供の顔が見れないのだけは残念だわ」
「でも大丈夫。マリアがいてくれるもの」
「二人でず~~っと、幸せに....ね」
「ゼノアっ、、ずっと、、ずっと!、、愛しているわ!!」
マリアがそう言い終わると
ゼノアの体は
黄色い風にゆっくりと覆われてゆき
最後には目映い黄色い光を放ち
ゼノアの姿は消えてしまった
永遠に愛しているわ 大好きなマリア
マリアは時折涙を流しながら、それでも最後まで話終えた
「...そのあとは、どうなったの?」
「あぁそうだね」
「目の前が黄色い光に覆われた瞬間までのゼノアに関する記憶が抜け落ちていたんだよ」
「そのあとはハッキリ覚えている」
「気がつくと風の山の下に倒れていたわ。目が覚めるとそこには小さな赤ちゃんがいたの」
「それが、、カルア?クレアのお母さん?」
「そう、カルアだよ」
「その時の私は何が起きたのかさっぱりわからなかった。ただ目の前の子供は確かに私の子供だとは確信していたね」
「カルアを抱き上げ、見上げるとそこには風の山があった。なんだか不気味に思えてねぇ、、逃げるように家に帰ったのさ」
「そうなんだ...」
マリアはチャドの顔をじっと見つめた
「あなたの髪の色 黒色と銀色が混ざったような綺麗な色ね」
チャドは黙ったまま自分の髪を触りはじめた
「...やはり私の知ってるあのチャイルドではなさそうね」
「...うん。違うよ。でも僕の名前もチャイルドなんだ。長いから咄嗟に略してチャドってクレア達に言っちゃったけど、、」
「そうかい。それじゃあチャドはクレアとシノアのチャイルドなんだね?」
「うん。そうだよ」
チャドは真っ直ぐマリアの目を見つめ、ハッキリと答えた
「そうかい。どおりでクレアとシノアの髪の色が混じって見えるんだね」
チャドは少し照れ臭そうに
うん。と言った
「マリア、、いままでゼノアにの事忘れてたんでしょ?いつ思い出したの?」
「クレアに風の山に行きたいって言われた時かねぇ。その時からだんだんと思い出してきたんだよ」
「そうなんだ。」
「それじゃあ、カルアも今はクレアが産まれた時の記憶が無くなってるの?」
「断言できないが、、そうだろうねぇ」
「カルアだけじゃなく集落のみんな、そんな感じなんだろうね」
「そうなんだ、、」
「チャド。あなたも使命があるんだろ?」
「うん」
「、、どうにもならないのかい?」
「、、、うん」
「、、そう。」
「全部話したうえでもう一度聞くけど...」
「....そろそろなのかい?」
「チャドが消えてしまう。それにクレアとシノアの残り時間も」
「....うん。でもすぐにじゃないよ!まだ、、だと思う」
「そうなのかぃ」
「僕にはなにも出来ないよ。それが僕の産まれてきた意味だから」
「そうなんだろうね。」
「チャド、私はね。ゼノアを思い出してからずっと後悔してるんだよ」
「なぜあの時私が消えなかったんだろう。なぜ私を選んでと言えなかったんだろう。ってね」
「正直赤い風が憎いよ」
「.....」
「いやいや、ごめんねチャド。あなたが憎いんじゃないのよ。その変えられない運命の赤い風だけが憎いのよ」
「あなたのつくる黄色い風は素敵よ。みんな笑顔になるし幸せにもなるわ。右手の赤い風も使いたくないようだしね」
「うん。出来るなら右手なんて使いたくないよ。僕も嫌いなんだ。この赤い風」
「そうかい。辛いんだね。チャドも」
「うん」
「どれだけ残された時間はあるんだろ?」
「ん~僕にもぼんやりとしかわからないんだ。でもまだ時間はあるのと思う」
「そうかい。それを聞けてよかったわ」
「チャド。1つお願いを聞いてくれるかしら?」
「なんだい?」
「3人で風の山に行く時がきたら、、私に先に教えてくれないかい?」
「え?」
「大丈夫、誰にも言わないからね」
「う~ん」
「、、いいよ。わかった。マリアには教えるね。色々僕でも知らなかった話を話してくれたしね」
「ありがとうね チャド」
「また今度二人で話せるかい?」
「うん。わかったよ」
「ありがとう」
「さて、長くなってしまったね」
「部屋に帰ってゆっくりおやすみ」
「うん。話せてよかったよ」
「おやすみ マリア」
「はい おやすみなさい」
チャドはクレアの部屋に静かに戻った
「さて、、どうしたもんかね、、、」
「あなたならどうしたかしら?ゼノア...」
マリアは庭に出て、そこから遠くに見える月明かりに照らされて輝いて見える風の山を、うらめしそうに見ながら
もうこの世にはいない
愛しのゼノアに問いかけた
部屋に戻り、マリアの話を思い出す
グーグーと寝息をたてている二人
チャドはなにも言わずその二人の髪をそっと優しく撫でる
...わかってはいたけど、マリアの話を聞いたら怖くなっちゃった....
クレア..シノア..
どちらが居なくなってしまって、それを思い出した時、残された方はどんなに悲しむのだろう.. ...
そんなの嫌だよ..2人にはずっと一緒に居てほしいよ. . .
僕の我が儘だけど.. .
できる事なら.. . .
僕も一緒に居たいよ.....
「わっ!」
ドンッ
「大変!大丈夫!?怪我はない??」
ブランコでどちらが遠くまでジャンプ出来るか勝負していたクレアとシノア
想像以上に飛んでしまい、着地に失敗したシノアは転んでしまった
「いたたた、、、」
「シノア!膝が擦りむけてるじゃない!」
「、、足首も捻ってしまったわ、うっ、、」
シノアは足首を抑え、今にも泣きそうな顔をしてた
「ちょっと待ってて!チャドを探してくる!!」
クレアは集落の広場のどこかにいるはずのチャドを探した。すると、どこからか花びらと風が吹いてきた。その方を向くと、
「はぁ~綺麗♪」
「ほんといつ見ても綺麗ねぇ♪」
数人が並び、大きな木の上の方を見上げていた。クレアも上を見てみると、木の枝に座っているチャドがいた
チャドの横には小動物達が並び、空中には花が舞い、それは様々な形に変化をしてその中で鳥達は歌いながら優雅に舞っている
「チャド!ちょっときて!シノアが大変なの!」
「シノアが?すぐ行くよ」
いつものように左手にふぅ~っと息を吹き掛け、その風はャドの体を包み込み、チャドの体はふわっと浮き上がった
そのままクレアの元にたどり着くと、優しくトンっと着地した
「どうしたんだい?」
「シノアが転んで怪我をしたの!」
「え!?すぐいこう」
二人はシノアの元に急いだ。そこにはまだ痛みでうずくまっているシノアがいた。
「シノア 傷を見せて」
シノアの傷を見たチャドは左手を口元に寄せた
ふぅ~
黄色い風はシノアの怪我の部分を包み込み、すぐに消えてしまった。するとシノアの足の傷は消えていた
「いつもありがとう♪足首の痛みもなくなったわ♪」
「なんともなくてよかったよ^-^」
「チャドほんと凄いよね~!チャドが居なかったら私達全身アザまみれになってるとこだわ」
「わ.た.し.ね!たまたま怪我をしちゃったけど私はクレアみたいにおっちょこちょいじゃないもん」
「そうかなぁ?僕から見たらシノアもおっちょこちょいだと思うけど?」
「あ!言ったなぁ!そんな意地悪言う子はこうよ!」
シノアは両手でチャドの脇をくすぐりはじめた
「だ、だめだってww僕脇が弱いんだってwww」
「知ってるわよ♪コチョコチョ♪」
「だ、だめっwwwwww」
チャドは転げ回り、シノアはしつこくコチョコチョしていた。気が付けばクレアもこっそりコチョコチョしていた
仲良し3人組は、ある洞窟にやってきた。
「ここはなんだい?」
「この洞窟はね」
【音が降る洞窟】
「って言うんだよ」
「音が降る?なんだいそれ??」
「ん~私達もよくわからないんだけど、そう呼ばれてるんだよね」
「ふ~ん。で、ここでなにをするの?」
「ここの中に綺麗な石があるらしいのよん♪」
「別に危ない場所じゃないらしいわよ」
「綺麗な石、、ね。そんなのどうするの?」
「えぇ~?!チャドは欲しくないの?!綺麗な石だよ!??綺麗なんだよ!?」
「でも石だよね」
「もぉぉぉチャドにはロマンが足りないわね~」
「そうよチャド。綺麗な石はロマンよ。」
「???」
3人は洞窟に入った。中には光苔などがあり明るい。途中幾つかの道に別れていた。
「なにか迷路みたいで不気味だね、、」
「大丈夫よ。全部一番左に進めば目的地にたどり着くって言ってたわ」
「誰に聞いたんだい?」
「私のママからよ」
そう得意気にシノアは言った。クレアは、オォ~と拍手をし、チャドはそれを聞きながらキョロキョロ洞窟内を観察していた
なにか風の山と同じ雰囲気を感じたらしく、なんなんだろ?といった感じでくまなく見回した
「あれ?」
チャドが地面を見るとそこには不自然な模様があった
どこかで見たことあるような模様
そうそれは風の山にある模様と似ていた。しかし微妙に違う。奇妙だな、と考えていると
「チャド!なにしてるの?早く行くよ」
そう言い、クレアとシノアは左の道を進んでいった
その足元の模様は右の道に続いていた、、、
ひたすら左の道を進み、目的地に辿り着いた
その場所はこじんまりとした空間だったが、湧き水がたまっており、その中に幾つもの石があった。そのどれもが色とりどりで目移りをしてしまう
「わぁ~!!綺麗っ♪!」
「ほんと素敵ね、、♪」
「そだね」
3人は色々な石を物色
「どれにしようか♪ねぇチャド♪」
「どれでもいいんじゃないかな」
「はぁ~悩んでしまうわぁ~♪」
「そだね」
チャドは適当に石を拾い、臭いを嗅いでみたが特に臭いをもしないためぽいっと放り投げた
「そうだ!これにしない?」
クレアは足元の水の中から丸い紫色の小石を拾い上げた
「これ!チャドの瞳と同じ色でしょ♪チャドにあげる♪」
「あらいいわね♪じゃあ私達も赤色と青色の小石を探しましょうか♪」
クレアの瞳は赤 シノアの瞳は青
「私達も同じ紫色の石にしようよ。だって赤と青を混ぜたら紫色になるもん^-^♪」
「いい考えねぇ~」
そう言うと2人は紫色の小石を探しはじめた
チャドは渡された紫色の小石をマジマジと見つめ、綺麗かも、、と思っていた
「みんなお揃いだね♪」
「そうだね。綺麗な石も悪くないね♪」
「それよ。それがロマンよ♪」
3人はその石を持ち帰り、それを加工してアクセサリーにした
クレアとシノアは紫の石をはめた指輪を作り、同じ左手の薬指につけた
チャドはピアスにしようとしが、イヤリングの方が可愛いわよ!ってワァワァ言われたのでイヤリングに加工し、それを両耳につけた
「わぁ~お!チャド似合ってるぅ!」
「もっと可愛くなったわね♪」
「、、、テレッ」
「私達も見てぇ~可愛いでしょ♪」
「うん♪2人共素敵だよ^-^」
理想の風景 日常の幸せ 当たり前の日々
ずっと当たり前に続くと思っていた
でも.....
「「おじゃましま~す」」
「あらいらっしゃい^-^今日も泊まるんでしょ?ゆっくりしていきなさいね^-^」
「「はぁい♪」」
「今日も賑やかになりそうね^-^♪クレアならお婆ちゃんと庭にいるわよ」
チャドとシノアは庭に向かった
そこにはなにやらひりついた雰囲気で真剣な表情のクレアとマリアがいた
「なにしてるの?」
「しっ!今大事なとこなの...」
クレアは棒の先にハンマーが付いたような物を両手に持ち、地面に置かれた玉に合わせ、庭にいくつか刺さっている小さな輪っかと玉を何度も見返していた
その傍らでマリアは両手を合わせドキドキ祈っている感じだ
「.... ここよっ!!」
クレアは迷いなく玉を打った。その玉はぶれることなく一直線に転がり、小さな輪を通過した
「や、やったぁぁぁぁ!!」
「やったわねクレア!!^-^」
クレアとマリアは大喜びで抱き合い歓喜の声をあげていた
「あの~おじゃましま~す」
「あらシノア チャド 来てたの」
「いらっしゃい。泊まるんだろ?ゆっくりね^-^」
「ところで、、、なにをしていたのかしら?」
「なんだシノア。知らないの?これ、ゲートボールって言うんだよ♪」
「あぁ。聞いたことはあるけど見たことなかったわ」
「こう見えて意外と難しいし楽しいんだよ♪」
「みんなでやろうよ♪」
こうして、第一回ゲートボール大会が始まった。初めての2人はマリアに手取り足取り教わりながらゲーム開始
シノアには才能があったらしく華麗なボール捌き
一方チャドは苦手らしく何度も空振り、、
やっとあたったと思えばあらぬ方向へ行ってしまうチャドの玉。そのたびにクレアとシノアに、からかわれてちょっと不機嫌
ごめんごめんと髪をワシャワシャされ、それをマリアは石窯の前で見ながら微笑みながらなにかを焼いている
「これを入れたらあなたの勝ちでいいわよ~?^-^」
チャドの玉の遥か数10㍍先に小さな輪
「がんばってチャド!」
「さぁどうなるかしら?」
チャドはドキドキしながら狙いを定める。僕なら出来る!僕なら!とぶつぶついいながらかまえ、そして、、
「...見えた!ここっ!!」
チャドは鮮やかなフォームで振りかぶり、玉めがけて全力で振り下ろす!!そしてそれは空を切りクルンと一回転し、それが玉に当たった
勢いずいたその玉は一直線にゴールに向かう、だがその勢いも続かず玉は失速
「あちゃ~ありゃぁ届かないね」
「おしかったわね」
しかしチャドは諦めなかった。そっと左手に息を吹きかけ、風が玉をゴールへと導いた、、、
「やった!神風が吹いた!僕の勝ちだね^-^」
「すごぉい!ってこらぁ~!見てたわよ!」
「ボクハナニモワカリマセン」
「悪い子には...お仕置きをしなくちゃね^-^」
チャドは2人に抑えられ、コチョコチョ ワシャワシャされてしまった
「そろそろおやつにしましょうか」
マリアがそう声をかけると、3人はおやつが乗っているテーブルのまわりに座った。チャドの衣服は乱れそして髪も爆発しており、その両隣にクレアとシノアが座り
「わぁ美味しそうなクッキー♪」
「さぁいただきましよぅね♪」
テーブルにはマリアが石窯で焼き上げたクッキーが並べられていた。それは香り豊かでとてもいい匂いがした
「うわぁ~♪甘くて美味しい♪いつもより凄く美味しく感じるわ♪」
「焼かれた匂いが最高ですわ♪私もなんか凄く美味しく感じるわ♪お婆様のクッキー♪」
「....美味しい!....けどこの味って....」
チャドはそっとマリアを見た
するとマリアは人差し指を口にあて、しぃ~のポーズ
チャドは視線をクッキーに戻し少し戸惑いながらも美味しく食べた
「おや、お揃いの綺麗な指輪をしているねぇ」
「気づいたぁ?3人でお揃いの色の石で作ったの♪」
「おやおや、ほんと仲良しだね^-^♪」
マリアは満面の笑みを浮かべ、指にはめた指輪を見せびらかす二人を見て、チャドに目を向けたら
自分の耳にぶらざかったイヤリングを触りながら嬉しそうに笑っていた
「「いただきまぁす♪」」
おやつを食べ終わった後も遊びまくり、夕食のお時間。今日もカルアが用意したご馳走が所狭しと並んでいた
「カルアさんの料理いつ食べてもほんと美味しいわ♪」
「あらあら^-^お世辞言ってもなにもないわよ♪おかわりいるぅ~^-^?」
「僕、毎日カルアの料理食べたいな」
「あらあら♪私はそれでもいいのよ?♪チャドがいいならいつまでも泊まれば^-^もう家族ですもんね^-^」
「そうだねぇ^-^チャドはもちろんシノアも家族って思っているわよ♪」
マリアがチャドとシノアの目を見ながら微笑みかけた
「カルアさん、、お婆様、、、嬉しい、、、わたし、、、」
「あ、残してるならいっただきぃ~!」
「あ!ちょっとクレア!それは私が最後に食べようと楽しみにしてたのよ?!」
「ん? モグモグ」
「あなたってほんと、、!ならそれは私がいただくわね!」
「だめぇっ!これは私のラズベリー!!」
「こらこら、おかわり沢山あるから喧嘩はよしなさいな^-^」
「僕もおかわり」
「はいはい^-^」
「あら?綺麗なイヤリングね」
クレアはカルアに事の経緯を話した。
「へぇ~【音が降る洞窟】ねぇ。私も今度行ってみるわ♪」
「【光が鳴く海岸】には綺麗な貝殻がたくさんあるわよ。変わった場所でなにもないのって【風の山】位じゃないかしら?」
「へぇ~色んな場所があるんだね」
賑やかな夕食も終わり、お風呂の時間
「チャドぉ~?一緒に入るぅ??」
「意地悪言うのやめなさいよクレア」
「、、、うん」
「チャドは一人ではいり、、ってえ?!」
「え?チャドもう一回言って!?」
「、、僕も一緒に入りたい、、な」
「「おぉぉぉぉぉ!」」
「入ろ入ろ♪今すぐ入ろ!^-^」
「そうね♪入りましょ♪」
3人はお風呂に入った
「チャドもやっと恥ずかしくなくなったのね♪」
「そう言うこと言わないの。気持ちいいねチャド♪」
「うん^-^」
「チャドっていい体してるよねぇ~力持ちって感じで」
「そうかな 力持ちじゃないと思うけど、」
「それにお股になんかついてない?」
「え、、」
「はじめて一緒にお風呂に入った時からずっと気になってたの」
「それなぁぁにぃ?」
「わたしも気になってたの。でも恥ずかしがると思って聞けなかったの」
「あの、、その、、」
「ぼ、僕の住んでる集落では、い、色々と儀式があって、そ、それで、、み、みんな、、小さい頃に、その、、つけられて、、あの、、、」
「ふ~んそうなんだぁ」
「色々な人々がいるものねぇ 勉強になるわ」
「、え、、あ、うん、、」
「近くで見てもいいぃ?」
「そ、それはちょっと、、、」
「私もじっくり見てみたいわ♪」
「いや、、あの、、、え、、、あっ!しきたりで、あまり人にみ、見せちゃだめなんだ、、なんかこう、、儀式?のあれで、、」
「なるほど。だからいつも隠しているのね」
「大変ねぇ。困った事があったらいつでも言ってね!協力するわよ!」
「え、は、はい。ありがとう、、、」
「そういやイヤリング外してお風呂に入らないの?」
「肌見放さずつけていたいから、、ね^-^」
「へっへ~♪そう言うは私もつけたまなんだけどね♪」
「ふふっ♪私もよ」
3人はキャッキャ♪キャッキャ♪入浴を楽しんで
盛り上がりすぎてのぼせてしまったが無事
お風呂を出た
お風呂を上がり、パジャマに着替えいつものおしゃべりタイム
今日は疲れたのか、うだうだとおしゃべりしながら寝落ちした2人
それを確認したチャドは部屋を出てマリアの元に向かった
コンコン 「お入りなさい」
「起きてた?寝ちゃってるかなって思ってた」
「なぁに。いつも泊まる時は来てくれるじゃないか。くると思ってたよ^-^」
もう何度も訪れているので、いつもの定位置に座った。マリアが用意してくれた温かい飲み物を飲みながら話し始める
「今日食べたクッキー。あれってあの実が入ってたよね」
「チャドにはわかるんだね。そうだよ。あの実だよ」
「、、、、、」
「それじゃあ....うまくいったんだね」
マリアとチャドは夜な夜などうにかならないかと話し合っていた。チャドはどうにも出来ないと言いつつも可能性を考えてた
あの果実は、チャドが食べても問題ない。クレアとシノアもチャドが存在してるからなにも変わらない
何度もマリアはチャドに確認していた
「チャドの使命をもう1度聞かせてくれるかい?」
「うん」
【この実を食べた1人の命を奪うこと】
「それは、、誰でもいいのかい?」
「え?」
「【この実】とはクレアとシノアが食べた【その実】じゃなくちゃ駄目なのかい?」
「どうゆうこと?」
「前にも話したけど、私も【あの実】を食べているんだよ」
マリアとゼノア 二人で食べた【あの実】
「風の山にある【ここにある同じ実だけ】なのか【ここにある別な実でもいい】なのか」
「、、、わからない」
「僕の記憶の中にはじめからあるのは、、」
【この実を食べた1人の命を奪うこと】
「それをどう解釈すればいいのか僕にもわからない」
「、、、ふむ。」
「じゃあもう一度、風の山の実を食べたらどうなるんだい?」
「僕じゃない、、もう1人の僕が産まれるかもしれない」
「それは2人で実を食べた時だけじゃないのかい?1人で食べたらどうなるんだい?」
「1人で食べてもなにもないよ。そもそも2人いないと山頂にはたどり着けない」
「ふむ、、、、」
「1人じゃ絶対にあの場所にたどり着けないのかい?」
「僕なら一人でも大丈夫だよ。他の人は無理だ」
「ふむ」
「でも、、、」
「なんだい?」
「可能性があるとしたら、、、僕だと証明出来る なにか があれば行けるんじゃないかな」
「なにか、、、ねぇ」
「あくまでも可能性があるかも!ってことだよ」
「チャドの証明、、、、髪の毛なんてのはどうだろう?」
「、、うん。可能性はあるよ」
「マリアは1人で風の山に行くの?なんの為に??」
【この実を食べた1人の命を奪うこと】
「この実だけ、と言う意味なのなら今の私じゃなにもできない。でも、もう一度、、」
「私 クレア シノアで一緒に食べれば、チャドは私の命でもいいわけよね?」
「、、、いや、それはわからない。確かに3人共食べてもなにも変わらないとは思うけど、、、」
「可能性はあるんじゃない?」
「絶対無い。とは言えない」
「それだけ可能性があれば、、、」
「充分さ」
マリアはチャドの髪の毛をもらい、チャドはその髪の毛とマリアの全身に左手の黄色い風を纏わせた
「どこまでもつかわからないし、意味がないかもしれないけど、、、」
「ありがとう。チャド」
「それじゃあ....うまくいったんだね」
「あぁ。無事風の山に入りあの場所へ向かったさ。実があるかドキドキしたけど、ちゃんとそこにあり、実を持ったまま風の山から出れたよ」
【2人で果実を食べる行為】は
【2人だけの秘密の行為】
「うまくいくとは思わなかったよ」
「なぁ~に。例外か、もしくは神様のきまぐれか。」
「なんにせよ同じ実を3人で食べれてひとまず可能性がでできた。チャドも食べたけど平気かい?」
「うん。僕が食べてもなにも意味はない。美味しいだけさ」
「、、、ねぇマリア」
「なんだい?」
「ほんとうにそれでいいの?」
「僕が、、マリアの命を奪うの?」
「あぁ。それでいい。誰かの命を奪うのが使命なんだろ?強制的な」
「、、うん」
「もし決められた期間内に命を奪えなかったらどうなるのだったかい?」
【実を食べた者全ての生命が絶たれる】
「そう。実を食べたみんなが死んでしまう。私も、そしてクレアとシノアも。」
「もしかしたら他の誰かも食べているかもしれない」
「うん」
「それなら、、私1人の命の方がいいわね」
「なんで、、そう思えるの?」
「前に話したとおり、、私は後悔してるんだよ」
「ゼノアとずっと一緒に居たかった。私も一緒に居なくなりたかった。それに、、、」
「クレアとシノアには幸せになってほしいもの、、、ね^-^」
「だからいい機会なのさ。私にとってわね」
「そうなんだ、、マリアがそう言うのなら、、、」
「右手の赤い風を私に使うのはここでは駄目なのかい?」
「それだけは風の山のあの場所じゃなくちゃいけない」
「ふむ、、、じゃぁ、、、」
「その時が来たら私の言う通りにしてもらえるかい?」
「うん。いいよ」
2人の中での話しはまとまった
あとは時が来るのを待つだけ
「ふと思ったのだけれど、、」
左手の黄色い風は【癒しや守り】
右手の赤色の風は【破壊や攻撃】
「それなら、、、、」
「両手同時に息を吹きかけたらどうなるんだい?」
「クレア シノア」
「な~にチャド?」
「3人で【風の山】に行こうよ」
ある日チャドは唐突に言った
2人はあの実がまた食べれるかもしれない
断る理由はなかった
3人は集落の外に出た
3人は手を繋いだ
ふぅ~
黄色い風は3人を風の山まで運んだ
そのまま山頂に着いた
その時の風の山は黒い雲に覆われ
風が強く吹き 雨も強く降っていた
しかし何故かクレア達に影響はない
クレアがその場に居た先客を見つけた
マリアだ
直前にチャドはマリアに伝え
マリアを先にこの場所へ連れてきていた
マリアは荒れた空を見ながら呟いている
その横顔は泣いてるかのように見えた
「おや。来たんだね」
「お婆ちゃん?!こんなところでなにをしてるの?!」
「....昔の友達と話していたよ」
「?」
「いやいや、なんでもないよ。私もここに来てみたくなってねぇ、チャドに連れてきてもらったのさ」
「そっかぁ。でもなんか変なんだよ」
「いつもぽっかり穴があいている空には雲がいっぱいだし、雨も風も吹いている」
「前に来た時はこんなんじゃなかったんですよお婆様。ね?チャド」
「うん」
「そうかいそうかい」
マリアは、クレアとシノアの顔をなにか言いたげな顔をしながら見つめていた
「どうしたの?おばあちゃん??」
「...いや、なんでもないよ」
そう言うと、チャドの顔を見つめて、
「..そろそろかね」
チャドは答える
「....わかったよ」
ふぅ~
クレア シノアに向け黄色の風を吹いた
え?なに?!
黄色の風は光揺らめき
二人の瞼はだんだん閉じていった
ごめんよ クレア シノア
二人は緑色の地面にゆっくりと倒れた
これでいいんだ
末長く幸せに..ね
マリアとチャドは向き合った
さぁて どうなることやら、、
いくよ マリア
あぁ お願い チャイルド
地面に倒れた2人は、意識朦朧としながらも重たい瞼を必死で開けようとしていた
声は出ず身動きも出来ない
ただ見ることしか出来ず
黙って立っている二人を見てるしかできなかった
マリアは目をつぶっている
チャドがこっちを悲しげな顔で見ていた
両耳の紫色のイヤリングが揺れている
チャドはマリアの方を向いた
そして右手の拳を口元に持っていき
上を向けてひらいた
すると左手も同じ仕草で口元に
チャドの口の前で空に向けて開かれた両手
両手を水を 救う ような形にした
ふぅ~
両手から空へ つむじ風が舞い上がる
それはキラキラ光る粒子状の風になり
風の山全体に旋風と共に穏やかに降り注ぐ
光る粒子の風は橙にも金にも見えた
その風が渦を巻き
チャドとマリアだけを包み込む
その姿は気のせいか透けてきている
そのまま光は強くなり
クレアの意識は遠退いていった
クレアは目覚めた
風の山の上で
横のシノアはまだ目覚めてない
目の前には小さな赤ちゃん
クレアは抱き上げた
その下に光るなにかを見つけて
それを手に取った
紫色のイヤリングがひとつ
クレアは空に掲げ
表情を変えず
じっと見つめた
空は丸く晴れている
無風
左の腕の中にはとても小さな赤ちゃん
右手にはイヤリング
クレアはそれをそっとしまい
シノアを起こした
一つの山がある
その山は石や岩に覆われていて
草木などは一切生息せず、また虫や小動物などの生命体も見当たらない
その山の周辺はあふれんばかりの緑がひろがっている
他にも色々な山はあるが、この山だけが異質な雰囲気で存在している
そんな荒れた山
その山は雨や風などの気候の変化も全く見られない
周囲からその山を見れば、その山の上空だけは常に快晴
その山に近づくと何もかもが停止しているような感覚になり
時間の概念が無いのかとさえ感じてしまう
その荒れた山を遠くに望める
森の奥深くに人々が住む集落があった
そこに住む人々はその風の吹かない山
荒れた山をいつからかこう呼び出した
【風の山】
森深くにある集落
小さな輪が立ち並ぶ とある広い庭
黒髪で癖毛 瞳が赤色の女の子
銀髪でストレート 瞳が青色の女の子
この2人は同じ紫色の指輪をはめていた
その傍らには揺り籠で揺れている女の子
揺れている女の子は スヤスヤ寝ている
女の子の右耳には同じ紫色の石のイヤリング
とても穏やかな日常が 垣間見える
そこに 一陣の風 その風は太陽の光で
黄色に見える いや 感じれるかもしれない
温かく穏やかで 良い香りがする風
2人の女の子は寝ている女の子に目をやる
スヤスヤと寝ているその子を抱きかかえ
2人は風上の方に歩き出した
その先には料理をする為の石窯だろうか
その近くにあるテーブルには色とりどりなお菓子が並べられていた
「そろそろおやつにしましょう^-^」
大人びた女性が声をかける
「美味しそうないい匂いぃ~♪」
「ほんと♪良い香りだわ♪」
寝ている女の子を、テーブルの近くに用意された小さなベットに寝かせて椅子に座った
「最近とても上手に焼けるようになったのよ」
「私だって上手に焼けるもん!」
「そうかい そうかい^-^」
「そうだよ!私のだって美味しいよ♪」
「あら?姿が見えないわね?」
「あそこにいるわよ」
石窯の方からこちらに歩いてきた
手には焼きたてのクッキーを持って
その子の耳には
その男の子の左耳には
綺麗な紫色のイヤリングが輝いていた。
「なにか物語を作りたいなぁ」と思い、とりあえず、風を思い浮かべました。
風を使うなら少年かなと考えて、風が吹く谷。それだとナウシカだし、、、まぁ山でいいっか。と、、。
あと、ほのぼの幸せ物語だとつまらないから、なにかダークな部分をいれてみようと思い、
「ん~死神ってそれっぽくね?」って思いまして、【少年を死神】にすることにしました。
まぁ【山】と【風】と【少年】でなにか書こうと思い、「なんとかなるべ( ・ω・)♪」の精神で書き出しました笑
物語には「かたりべ」が必要。その為に女の子を登場させ、、、などなど、ほとんど無計画で書き進める内に、だんだんおかしな事になっていきました。
ざっくりとこんな感じにしようかなと考えていた。
・死神の少年はクールで感情をださない。
・お婆ちゃんには死んでもらう\(^o^)/
・少年はこの世から消えるのが運命
・本文ではあまり説明せず、宮崎駿的思想で、わかる人ならわかる!みたいなのり
・簡単なテーマの緩い話にしたかったけど、だんだん、、性って言うか、性行為って言うか、、、
書いてく内になんかだんだん話が広がり過ぎて、このままじゃいくらでも書ける!終わらせたくない!って思ってしまいました。
しかし、物語を作ると言うのは【はじまり】と【おわり】を提示しなくてはならない。
ちゃんと最後まで楽しく【一つの物語】を書き終えたかった
だらだらと伸ばすとそのままストーリーの意味も気持ちも風化していき、なにが書きたかったのかわからなくなっちゃうのが嫌だったので、
無理やり完結に終わらせました(^_^;)
書いてる内にだんだんなんとなく人物像が出てきた
・クレア~とりあえずクレアと言う名前を決め、他の名前はここからの派生。アルプスの少女のハイジと、魔女の宅急便のキキを合わせた雰囲気
・シノア~お嬢様っぽいけど、やんちゃなおちゃめな子。クララと柴咲コウを合わせた感じ笑
・カルア~キキのお母さんでいいかな。お母さんの話も深掘りしたかったけど、終わらなくなっちゃいそうだったんで、静かにしてもらいました
・マリア~お婆ちゃんって名前でいいやと思ってたけど、子供が産まれる為に死ぬので聖母マリア。見た目はカントリーマアムのおばあちゃん笑その相方は男のすごい人、ゼウスからとってゼノアでいいやぁぁ
・チャド~はじめからchildからとっていた。でも始めの内は、どうしてもブリーチのチャドがちらついてきてなんかいやだったの☆でもだんだんとデスノートのニア
っぽくイメージを持っていったので事なきを得た!?
なんかもうほんと行き当たりばったりで、でもそれが楽しくて、一心不乱に書きまくり、だいたい1週間で書き終えました!パチパチ
初めて小説?ラノベ?ライトノベルってなに??、、まぁなんとか書けた気がしてます。
物語が進むにつれ、「なんかチャドを死なせるの可哀想だな」と情が湧いてしまいました。
ほんとはチャドとマリアは死に、その存在は永遠に消える。そうしようとしていたげど、それじゃあなんか後味悪いなぁと思い、中盤位からなんとか生存ルートに持っていきました
無理矢理感は否めませんがなんとか辻褄はあっている、、、かな?( ̄▽ ̄;)
最後に恥ずかしいけど、もっと仲良くなりたいチャドはクレアとシノアと一緒にお風呂に入った☆助平心まったくありません!
いつまでも孤独感のあるチャドが可哀想になりましたのよ。
【ネタバレ 解説】
この世界には『男』は存在せず『女』しかいない。
子供が産まれるためには、
あちこち散らばる【神秘的な場所】=性行為をする場所
そこで、なにかをする
果実を食べる=性行為
すると『男』があらわれる。
女達は男と言うものを知らないので特に何も感じない
男は、特に意味はないが体の作りが違うのを恥ずかしく感じてる
その男がいる期間=妊娠中で、
でも女の体には変化は何もない
子供が産まれる時に男は消えていなくなる。
こんな感じかな。
こんな内容がガールズラブなのかしらねぇ?
( ・ω・)ワカンニャイ
タイトルの【風のリグレット】
飯野ケンジが作ったセガ・サターンの【リアルサウンド】シリーズの第一作目のゲームタイトル
当事世界初、【音だけのゲーム】だった。画面は真っ暗で目をつぶってラジオドラマの中に入り込んで進んでいく斬新なゲーム!
「いちななななないちななな~♪黒い犬の尻尾が~♪」と言う歌が今も頭から離れない笑
Dの食卓 作った人って言えば伝わるかな?
第二はホラー、第三はコメディーと決まっていたのだけれど、飯野ケンジは病気で若くして死んでしまった。
風のリグレットが好きで楽しみにしていたのに。。もう続編がでないなんてもったいなすぎるし残念すぎます。
hideのピンクスパイダーも続編の製作途中だったと言われてますね。。
虎舞竜のロードは第47章位までだそうとしてたんだっけ?第4章位からなんかもう意味がわからなくなってきて、飛ばして9章とか13章とかもぉ、、、、
話しそれましたが、風!と言えばリグレット!なのでこのタイトルになりました!
なので無理矢理おばあちゃんに後悔してもらいました(о´∀`о)♪
現段階でこの小説【風のリグレット】は骨組みだと考えてます。
ケーキで言うと土台のスポンジ
一つの丸いホールケーキのスポンジ部分が無計画で勢いで書いた今の内容。
これになんとか生クリームは塗った
ここから苺やチョコやロウソクなどデコレーションをしていくと思う。2段にするのもいいかも!思いきって三角に切りましょうか?!
つまり話を書き加えたり、加筆って言うのかな?そうしてある意味無駄な部分も書いて、違うと思ったら削ったり変えたりと。
やぼったくなるのであまり説明は書きたくないが、書かなさすぎるとイメージとしても伝わらない。バランスが難しいねぇぇ
少ない文章でどれだけ自分のイメージを伝えることができるのか?永遠のテーマですな
どこまでが短い文章なのか、長い文章でもどれだけ読んでもダレないか。とか、押し付けみたいな書き方もどうなんだろ?とか、面白いけど難しいね~☆
自分の作品を二次創作?しようかなぁぁ
まぁそのまま下手に変えず修正だけでいいかなぁぁ
そのまま続編?サイドストーリー書こうかなぁ~でも音をどうやって降らせたらいいのだろか( 。゜Д゜。)?
全く違うのを書こうかなぁ★
とりあえず初めて物語を書けて、初めて投稿して満足はしてます(*`・ω・)ゞ
最後まで読んで下さった方々
ありがとうございました☆