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かくれんぼ

作者: シャコ

 待ちに待った夏休みを明日に迎え、学校では夏休みに何して遊ぼうかと話し合っていた。


「やっぱり秘密基地で遊ぼうよ」

と僕が提案するとみんなそうだなと言い、じゃあまた明日と約束して別れた。


 次の日、最近見つけた秘密基地にみんな集まった。秘密基地は解体途中で放置されたような団地の廃墟で廃材などで隠れる場所も多く格好の遊び場だった。


 いつも通り最近仲間内で流行しているかくれんぼが始まった。鬼を決めるためにじゃんけんをすると僕は1人負けてしまった。最近よく負けてしまう。

「また僕?やだなぁ」

と文句を言うと友達はじゃんけん弱すぎと言いながら隠れるために散って行った。


 この廃墟でのかくれんぼの面白いところは隠れる場所が多いだけでなく物音が反響しながらもよく聞こえるところにある。これによってスリルが生まれるのだ。


 渋々100数える。

「もう良いかい」

大声で叫ぶと返事が来ない、みんな隠れたんだなと思い振り向く。

「もう良いよ」

「うわぁ!」

突然耳元で囁かれたためとても驚いた。あまりにも驚いたから尻もちをついた。声の主はその様子にクスクスと笑っていた。


 笑われた事にムッとして、僕はその女の子に強い口調で言った。

「何するんだよ!」

「だっていつやってもかわいいなって思って」

女の子はまだクスクスと笑いながらそう言った。

「かわいいってどこがだよ、もう」

「そういうところ」

この子はいつもこうだ、僕をからかって遊んでる。

「来たなら普通に声かけてよ。今かくれんぼ中なんだよ」

「あらそうなの?じゃあ私も隠れようっと」


 女の子はすぐに物影に入って見えなくなった。あの子はこの秘密基地を見つけた時に知り合った子でいつもふらっと現れては一緒に遊んで、いつのまにか帰っている。不思議な歩行術で廃墟の中を音もなく歩いて行く。やり方を聞いても教えてくれず、自分で試行錯誤しても上手くいかない。


 あの子なら今すぐ探しに行っても大丈夫だろうと鬼の役目を果たすべく、かくれんぼを始めた。


 その日あの子は見つからなかった。

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