俺はどこに?
自分が過去に戻ったという感覚は全くない。
だがさっきまでの景色と全くちがう。
「おい!どこ行ったんだよ谷!」
俺本当に過去に戻ったのか...?
もし過去に戻ったとするなら今は1時ごろか..?
谷を探して歩いていると、見慣れた建物が目の前にあった。
「学校じゃねえか..」
今日は1時半から練習が始まった。だとすると..
俺は急いで体育館に向かった。
「おっ、鳴じゃねえか」
後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。後ろを振り返ると、そこには井出総一郎がいた。
いでそういちろうと読む。
「おい!総一郎!今は何時だ?」
「え?何だよいきなり。多分1時ぐらいじゃねぇの?」
間違いねぇ..俺は過去に戻ってる。そうだ、谷だ、あいつも戻ってるかもしれねぇ。
「お前谷見たか?」
「見てねぇよ。あいついっつも早えからもういるんじゃねえの」
俺は体育館の中を覗き込むと、そこには、俺が知ってる谷はいなかった。
「おい...谷..お前..髪どうしたんだよ?」
「え?寝癖でもついてる?」
「違えよ!お前..髪染めたのか?」
「なに言ってんの鳴、これ地毛だよ。」
おかしい...俺の知ってる谷は真っ白な髪をしていたはずだ。
「お前今日変だよ。寝不足かよ?」
おかしい...俺が過去に戻ったせいで何かが変わったのか?
「あっ!監督!おはようございます!」
総一郎が挨拶した先には、俺がこの世で1番嫌っている
山下監督がいた。
やましたと読む
部活なんてやってる場合じゃない。俺は走って学校を飛び出した。
分からない事はいくつもあるが、過去の俺は今いるのか?
俺は今日部活に遅刻するはずだから、今から家にいけば俺に会えるかもしれない。事情を話して協力してもらおう。
家に着くと、俺を女手ひとつで育てて来てくれたら母さんがいた。
「母さん!俺って何時ぐらいに家をでた?」
「あれ?あんた外でてたの?私まだ寝てると思ってた。」
俺は俺の部屋にいるのか?俺の部屋のドアを開けると、
誰もいなかった。