やさぐれ聖女様は魔族の国で幸せになる。聖女が真に求めていたのは……。
「なろうラジオ大賞2」応募用の作品です。
空白と改行を除外して1000文字いってないから大丈夫ですよね?
それにしても1000文字制限って結構厳しかった。
私の名前は小鳥遊櫻。こっちの世界ではサクラ・タカナシ。年齢は十五歳。
現在私はとてつもなくやさぐれていた。
「い~や~だ~。絶対ここから動かない」
王宮の一室。ぬくぬくなお布団にくるまって私は私を呼びに来た使者にそう告げる。
困惑を隠せない表情。彼もどうやら私が何故やさぐれているのかが分からない様子だ。
「聖女様、一体何故そのような我が儘を言われるのですか?」
「何故? 何故ですって! 貴方、本気でそんなこと言ってるの?」
無神経な使者の言葉に苛々が爆発してつい言葉を荒げてしまう。
そんな折、この騒ぎを聞きつけたのだろう。
私が王様から与えられた部屋に入って来る見目麗しい数人の男性たち。
「おはよう、サクラ。一体何を騒いでいるんだい?」
この国の第二王子を筆頭に騎士団長の息子と枢機卿の息子の計三人。
先程も言ったが、いずれも結構な美丈夫たちだ。
見る者が見たら涎を垂らしてしまうことだろう。
ただ、私にはそれは響かない。
逆に彼らこそがこのやさぐれの原因。
私はため息を吐いてここに至るまでの経緯を思い出す。
私はいわゆるこの国が行った異世界召喚の儀によってこの世界にやって来た。
それはまぁ別に良かった。
だってあちらの世界は私にとって生きやすい世界とは言えなかったから。
だから私は私を召喚した理由について説明してくれた王様の言葉にこの世界でその仕事を行う者の呼び名こと「聖女」をやることを了承した。
その仕事の内容はこの国を脅かす瘴気の浄化。
そこまでは良かった。
問題なのはその後。私の意見も聞かずに私の気を引くために王様からこの美丈夫たちが充てがわれたこと。
彼らを横目で見て、もう一度こっそりとため息を吐いた時、不意にこの部屋に声が響く。
《我は大魔王ノア。聖女よ、我が元へ来い》
大騒ぎになる部屋。美丈夫たちは皆、慌てながらも憤慨している様子だが私は冷静に大魔王に尋ねる。
「条件と待遇は?」
《我が国に蔓延する瘴気を浄化して欲しい。それが約束されるなら見目麗しい女性たちを聖女のサポートに着けよう》
「その契約ノった!」
私の足元に現れる転移陣。
私その日、人間の国の聖女から魔族の国の聖女に転身した。
これだよ。私が求めてたのはこれなんだよ。
同性愛者に異性を充てがわれても困るだけ。
私に充てがうべきは女性だったんだよ!!
はぁ、魔族の国最高~。
その後私は魔族の国で幸せに暮らしましたとさ。
女性は無条件で男性のことを好き。
……とは限らないよ。
異世界召喚・転移物を読んでると大体聖女に充てがわれるのは美丈夫。
でも召喚した女性が女性好きな女性だったら?
そんなことをふと思いついたので書いてみました。
内容まんまですね(笑)