一話
『では、今回もこのゲームをプレイしていきましょうか!
確か前回はーっと…どこまでやったっけ? ッスーー… まあ、やってたら思い出すでしょ。では、let’s go!』
嗚呼、また来たのか。この時間が。
脳内に喧しく響く、ヤツの声。 この声が聞こえた瞬間、私の身体から自らの意識以外の自由という自由が盗まれる。
果たしてこうして動いているワタシの身体は私のモノなのだろうか? …そも、一体何故こうなってしまったのだろうか…
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私はなんて事ない、数ある農村の村娘の一人だった。
ありふれた恋をして子を作り、年老いて行くと思っていた。
だけど世界は其れを許さなかった
14の頃、確か、刺すような暑さが引いていき過ごしやすくなってきたぐらいだったと思う。
首筋に焼ける様な痛みが走った。仲の良かった友達に言われて、痣のようなモノが出来ていると知った。親にその事を話すと、私は勇者の末裔であり、今代の勇者であると知らされた。
その頃からだろう。あの鬱陶しい声が聞こえるようになり、身体の自由が奪われたのは。
嗚呼、気持ち悪い。キモチワルイ。
誰か私を助けてくれ。そう願ったって救いの糸は垂れて来ないだろう。
ならば、自ら動くしかない。ヤツがいない合間に。
其れが自分の本当の幸せなのかは、まだ分からないけど。