六ッ!
「こーろーせ! こーろーせ!」
猛り吼えるヘルマシーン乃海の恐ろしげな顔面が空中スクリーンにドアップで映されると、観客達のコロセコールが場内を震わせた。
だが──しかし!
「がっ……がんばれー! 超能侍ー!」
なんと──スクリーンの一部が観客席の様子に切り替わると、そこに映った女子高生グループが立ち上がり、超能侍への声援を送っているではないか! よくよく耳を澄ませば、罵声にかき消されがちながらも、観客席のあちこちからわずかに声援が上がっている!
「ヒャッヒャァーァ! 物好きなイカレ野郎どももいやがるなァーァ! まッ、夢見やがった結果がどうなるかせいぜいワクワクしてやがれェーェッ!」
殺意之助が観客席を煽る。
「こ、これはッ──超能侍さんのたくましさと男前っぷりが早くも人々のハートをキャッチし始めてるッス!」
「もう始まる。下がるぞな」
目を輝かせる龍角を連れ、和厳親方が土俵から数十メートル離れた地点まで退避する。
「フッ……ありがたいことだな。昔のような声援ではないが──」
超能侍の視線はしばし観客席に向けられた後、
「声援ならば──応えようッ!」
一メートル近く高いヘルマシーン乃海の顔面を射抜いた!
「来いやギガ! きっと女子高生たちも戦い終わった貴様の姿に可愛くあだ名を付けるガシャン──『ミンチッチ』となァ! ガガガーッ!」
嘲笑したヘルマシーン乃海が脚を曲げ、腰を落とし、片手を地に付け、蹲踞の姿勢に入る。一連の動作は無駄も隙も無く機械的にスムーズで、まさに殺人マシーンだ! 極太の手足はまるで巨木、うずくまる巨体はさながらヒグマ! その姿、常人ならばおしっこちびるほかあるまい!
だがッ!
「巨木にヒグマ──懐かしいものだな」
超能侍はニヤリと笑いさえ浮かべ、蹲踞の姿勢を取り、相手の殺気を真正面から堂々受ける!
その闘志、まさに──横綱ッ!
「おおォォーォッと準備オッケェェーェだなァァーァ! ンでは早速いくぜェェェーェェェーッッッ! レディィィ~~~ハッキョォォォ~~~イィィィ──」
シュバァァァッ! と殺意之助が軍配を振り上げた!
「のこったァァァーァァァーァッッッ!」
「んグォッッ──ギガッッ!?!?!?」
試合開始と同時に激しくぶつかり合った瞬間、ヘルマシーン乃海を驚愕と戦慄が襲った!