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どすこいあそばせ! エレガント力士・エレガント山!  作者: 当年サトル
エレガント相撲ビッグバトル場所
11/47

八ッ!

 満場の歓声──いや、違う!

 先程は、まばらながらも、超能侍を応援する者達がいたはずだ!


 そう、超能侍に声援を送っていた女子高生グループが、今再び空中スクリーンに映し出された!

 彼女らの惜しむ声は、超能侍への手向けとなるだろう──


 それは、超能侍を喪った和厳親方の、せめてもの慰めであった。


 が──


「うわー負けやがった、あのクソデブ無駄イケメン!」


「はー、つっかえね! 何がミンチッチだよ! あんなのただの豚ミンチだよ!」


 どういうことだ! 女子高生達は口々に罵詈雑言を吐いている!


「ねぇ、あの豚ミンチたぶんクッソ強いから大穴狙いで大丈夫って言ってたよね! この結果は何!?」


「肉体を極限まで鍛え上げても所詮サイボーグの卑怯武装にはかなうはずもなく、行司を買収する程度のインチキもできない旧世代の真正面突撃バカ力士──終わってみれば当然の結果だったわ」


 食ってかかるボブカットの女子にロング黒髪メガネの女子がクールに答えたところで、別のスクリーンにアナウンスが表示された──


 それは、ヘルマシーン乃海の勝利に投票した観客には、低い倍率の払戻金が配給されるという内容であった!


 つまり──賭博だ! この取組は賭け試合だったのだ!


 超能侍への声援は、健闘の祈りなどではなく、不人気力士ならではの逆張り高配当を狙った醜い打算だったのだ!


 そして、醜い欲望に囚われていた女子高生達は──


「は!? テキトーにクソ予想ぶっこいておいて言い訳とはナイスクソ度胸! そのカラッポの生首でボウリングしてやろうか! マジ卍死(まんじ)ね! ブッ(ころ)たにえん!」


「ふん、決断を他人に丸投げしたあんたの超軽量脳こそ、頭カチ割ったらフワフワ飛んでカモメに食われるでしょうよ! 鳥葬にしてやるわ! マジ卍死(まんじ)ね! ブッ(ころ)たにえん!」


 互いに罵声を浴びせあった末、かわいい色合いのビニールポーチから取り出したメリケンサックを両手にはめ、全力で殴り合いを始めた!


 グループの他の女子高生達も、周りの観客も、血しぶき飛んで筋骨きしむ突発的な死闘を、手を叩き指差して笑い喜ぶばかりで、誰もその蛮行を止める者などいない! 止めに来る係員など、この観客席には、いない!


「これが──暗黒デス相撲か──」


 観客席の醜態を音に聞きながら、ズタズタの血だるまと化した超能侍を彼方に見やり立ち尽くす和厳親方が、力なく呟いた。


「こ──」


 がくりと両膝をついた龍角が、涙を流し、叫んだ。


「こんなの相撲じゃねぇェェェ────ッッッ!!!」


 その慟哭は、土俵を空撮するドローンのマイクを通じてドーム内いっぱいに響き、一瞬の静寂をもたらした。身体中を痣だらけにした先程の女子高生達も面食らってピタリと止まった。


「だまれギガーァァァッッッ!!!!!!」


 更に大きなダミ声が、その静寂を破った!

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