表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
新時代
96/101

勇者&英雄VS邪神(2)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(最早弁解の余地無し!)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(テンション最低潮)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ごめんなさい)




よっし(よくない)!それでは皆様お待たせ致しました(誰も待ってない)!

勇者達の戦いが帰って参りました!今回で中盤風な感じで、次回が終盤を迎える予定で御座います。


それでは、内容に乞うご期待を。


風が吹き抜ける。

普通の夏で、一般の家庭なら心地の良い言葉だろうが、此処では違う。


風なんて生温いモノは吹かないし、そんな渓谷も無い。

風圧だけで四肢が千切れるような暴風が、常に吹き荒れている。


そんな中、勇者と英雄は油断無く邪神を見据えていた。

先ほどの攻撃でも、致死傷には程遠い、子供が転んだ程度のダメージにしかならなかった。

そして、その傷も既に消えている。


圧倒的なまでの防御力と、それを支える再生力。

伊達でも何でも無く、最大級に厄介で恐ろしい敵だと、勇者も英雄も思う。


世間一般で云う、勇者と英雄にあまり違いは無い。

けれど、その称号の与えられ方を見れば、その戦闘には大きな違いがある事が分かる。


一騎当千するのが”勇者”で、将軍に成るのが”英雄”だ。


1人で国を幾つも滅ぼせる戦闘力を有した勇者。

何百万という軍隊を指揮し、しかし一切の乱れも無く戦争を蹂躙へと変える英雄。


本人が戦う勇者。

周囲を強化して戦う英雄。


それが、勇者と英雄という称号の違いだ。


現に、勇者と英雄が一騎打ちしても確実に勇者が勝つ。

けれど、勇者に近い実力を持つ者と英雄がチームを組めば、圧勝まで持っていける。


英雄の支援効果は、例えるなら勇者を複製するようなモノだ。



「”神々の恩恵たる硬化”」



紫をしたオーラが勇者と英雄を包み、絶大的な安定感を得る。

先ほどまでの邪神の威圧を感じさせなくなる程の、全能感を勇者は感じた。


それと同時に、邪神も動く。



「”輝度朱落”」



勇者と英雄の足元が赤黒く輝きを放つ。


それを、2人が跳躍して回避する―――寸前。



「”呪縛”」



「勇者・英雄」と続けて告げた邪神の視線の先では、禍々しい鎖に縛られた2人の姿が映っていた。

そこへ、足元の輝きが最高潮を示す!


一瞬にして強大な魔力が身体を抉るように突き刺さる――!!


槍の穂先が勇者と英雄の足元から容赦なくその身体を貫いた。

紅をしていた槍は、2人の血を吸収してさらに朱を濃くし、生々しい液体を空中に残して霧散した。


槍から解放された2人は、止められていた衝撃を解放されたように吹き飛ばされる。



――勇者の手に刻まれた蒼い薔薇が、美しく輝いた。



”万瞬癒”



安直な名前だが、その効果は群を突き抜けて強靭だった。

身体を貫かれた勇者と英雄は、たちまち無傷の状態へと肉体を再生させていく。

さらに、薔薇から放たれる緑の輝きに包まれ、精神を癒し、魔力を回復させていった。


その光景を、邪神は悦を持った表情で見下ろす。



「面白いでは無いか。さあ、もっと踊ってくれたまえ!!」



決して、常人には理解出来ない理性と感性を以って、邪神はそう叫んだ。

そこには、紛れもない本心が感じて取れる。


最高に高揚した気分と、喜びと――そして凍てつく程の殺意を持って。



「こりゃあ、本当の化け物だな」


「そうだな。・・・・・・楽しんでやがる」



冷や汗が背中を伝い、今にも恐怖で逃げ出したい。

けれど、勇者と英雄の背中に乗った重みがその思考を消し去っていった。



――俺達は、引くことは許されない。



ほとんどの人からは責められないだろう。

之ほどの化け物と戦ったのだ。


これまでも、世界中で人々を救ってきた。

希望を与えてきた。

だから、責められない。


けれど――



「違うな。違う」



噛み締めるように、勇者はそう呟く。

それに肯定するように、英雄も勇者の隣へと飛翔した。

瞬時に現れた英雄に、一瞬だけ意識を移し、そして戻す勇者。



「俺達は、勇者だ。英雄だ」



その存在を。

その称号を。

世界で最も命を知り、命と触れた者。


人々へ希望を与え、導く者。


それは――



「戦う義務があるから戦うんじゃない」


「責任から逃げるために戦うんじゃない」



――きっと、とても単純なこと。



「「俺達が助けたいと思った人々を、導くためだ。世界中から、褒め称えられたいからだ。守りたい笑顔が、守りたい願いが、叶えたい思いがあるからだ」」



理由なんて後から付ければ良い。

今この場所で、こうして邪神を殺したいから此処にいるのだ。


そう言い聞かせるように2人は告げ、そして剣を構えた。


邪神にとって、幾度となく見た聖なる輝き。

その閃光を視認した瞬間には、刃がその心臓を抉らんと迫り来る!



「フン!」



その声と共に、勇者の聖剣は大きく弧を描いて後退した。



「我にも、守りたいモノはある。叶えたいモノもある。貴様等と戦う理由など、たった1つしかないだろう?」



決定的な隙を見せる勇者へと、邪剣を――英雄へと、振り下ろした。

邪神の死角からの強烈な一撃を溜めていた英雄は、その斬撃を防ぐことは叶わない。


――けれど!何も疑うことも無く、英雄は溜めを続けた。


邪剣が英雄の首を刎ね飛ばす、その寸前。

勇者の姿が、突如として現れた。



「そうだな・・・・・そうだ。戦う理由なんて1つしかいらない」



そう呟きながら、握られた聖剣を邪剣へと打ちつけた。


ニィッ、と邪神から笑みが浮かんだ。

そして、聖剣へと邪剣の力を込めて押し返す。



「「お前の叶えたい理想が気に入らないから、それを潰すだけだッ!!!」」



照らし合わせたような、邪神と勇者の声。

それが重なったと同時に、行動を起こしたのは”英雄”だ。



「”永劫封印”」



輝きが、勇者と邪神、英雄をも巻き込んで広がっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ