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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
新時代
94/101

勇者&英雄VS邪神

今回は、物語で今後登場する・・・・・・・・・・・かもしれない勇者、英雄、”最古の”邪神。この2体1の戦いを書いてみました。

また、まだ戦いは終わっていませんが、次話が続きになるとは限りません。


前の話で書いた、3人の狼に関しても、今後偶に入れ込む予定です。

ただ、この2つに関しては完全に閑話扱いですので、定期更新は期待しないでください。



「っはぁッ!!」



鋭く、眩い剣閃が空を駆け、相対する”邪神”へと飛来する。

しかし、邪神はその右手を虚空へと掲げ、何度か指を上下へと動かす。

それだけで、空間に亀裂が起きた。



パリン!!



そんな音とともに、飛来した剣閃は砕け散る。

邪神がそれを確認するよりも速く、その背後には人影があった。



「”聖閃破邪”!!!」



そう叫びながら、男、”勇者”は剣を振り下ろした。

その手に握られた”聖剣”は、眩い光に包まれ、その光に当てられた邪神のオーラが滅せられていく。


それに対して、邪神は少し横へと移動した。


ただ、それだけで勇者の攻撃は空中へと流れていく。

そして、目前で硬直する敵を見逃すほど邪神は甘くはなく――しかし、勇者は1人ではなく。


邪神が魔法を放つその寸前。



「”聖なる俊足”!!」



男の声が聞こえると同時に、硬直していた勇者が輝き、そして消えた。

いや、消えたというよりかは、認識出来ない速度で移動した。



「ほう・・・・・・」



それを、邪神は面白そうに息を漏らすことで見送った。

移動した勇者は、邪神から遥か遠くで、もう1人の男の隣と佇んでいる。


その男、”英雄”は、邪神へと手を向け、叫ぶ。



「”破邪の呪詛”!!」



その叫びが周囲へと木霊する前に、邪神には明確にソレが感じられた。

自身の身体へと課された、絶大なる弱体化。

それは、邪神の力を半減させるほどもあった。



「面白い」



そんな状況下で、邪神はそう呟き、魔力を高める。

一瞬で構築された魔法は、邪神の周囲へと雪のような漆黒の球体を何千と生み出していた。



「”邪雪球”」



邪神がそう呟くと同時に、その雪は空高くへと舞い上がる。

そして、それは次第に地上へと落下してきた。



「”裂鳴斬”!!」



瞬間。

凄まじい速度で勇者が雷を描きながら、邪神の懐へと移動した。

そして、腰まで引き絞った聖剣を、振り上げる。



「”聖加護”!!」



後方から、英雄の叫び声が聞こえ、それと同時に勇者の動きが明らかに変わった。

速度が、ほぼ倍になり、感じられる力量もほぼ倍だ。

やはり、英雄の力は恐ろしい。



「”転身”」



しかし、邪神がそう呟くと同時に、勇者と邪神の位置は入れ替わっていた。

勿論、その姿勢は変わらないが、発動した邪神はすぐに後ろを振り返る。

そこには、虚空へと聖剣を振り上げた状態の勇者がいた。



「フッ。”魔裂”」



そう邪神が呟くと、その手には漆黒のオーラが現れる。

その、忌々しいまでに強力な魔力を感じて、勇者は叫ぶ。



「”呼応転移”!!」



それと同時に、邪神の後方からも声が聞こえた。



「”転身転移”!!」



それは、酷く慣れた行動なのだろう。

邪神は、目前に現れた英雄の”分身”を見て、そう思った。

何故ならば、此処まで見事に虚を突かれたのは初めてだからだ。



「「”雷鳴深華剣”!!!!」」



英雄と勇者の声が重なるようにそう叫び、次いで邪神も呟いた。



「”軽減”」



恐らく、今この場で最適の行動を取った邪神へと、それは降り注いだ。

雷と、剣の雨と、簡単に例えられるだろうか。

超高圧電流を持った雷が、同じ場所へと幾重も降り注ぎ。


聖なる力を持った剣が、対象を四方から貫く。


そんな現象が、邪神を中心に巻き起こった。

雷が消えるまでは一瞬だったか、その間にも幾度も雷は落下していただろう。





そこから現れたのは――――ほぼ無傷の邪神だった。


いや、その額に小さな切り傷があることから、少しのダメージは入ったのだろう。

今の攻撃でそれだけの効果しかないのを見て、勇者と英雄は苦笑した。


よもや、この威力を撃ってこの程度なのか、と。

だが、諦める訳にもいかない。


勇者は瞬時に剣を構え、英雄は後方へと跳躍した。



そよ風とは形容し難い、いや、暴風が両者の間を吹きぬける。



行動は、一瞬だった。


光の如き速度で()()()邪神へと駆け抜ける。

その両手に握られた、勇者とは別の”聖剣”が、紅い輝きに包まれていく。



「”憐陀天”!!」



それは、居合いのような一撃だった。

邪神の間合い、その外ギリギリで発動されたその技。


邪神が気付いた時には、英雄が後ろにいた。


良く見れば、自身の身体が縦に分かれていることが分かった。



「よもや、こうも簡単に斬られるとはな。だが、甘い」


「それはどうかな?」


「ほう・・・・・・・」



邪神の呟きへ、背後から答えが返ってきた。

感じる強烈な気配、殺気、そして今の声。


勇者は、その右手に握られた聖剣に、眩い光を灯した。



「”聖典事跡・双焔”!!!」



眩い光の奥に、青白い焔が燻る。

そして、勇者はさらに告げる。



「”斬破”!!」



下からの、死神の一撃。



「”蘇りし氷・防壁”」



それを、邪神が呟いたのは同時だった。

瞬間、邪神と勇者の小さな幅に、氷の壁が現れる。


同時に、その冷気によって、勇者の聖剣へと宿る焔が、弱くなっていく。



「チィッ!!”獅子斬”!!」



無駄な攻撃と理解した勇者は、即時に行動を切り替え。

氷の壁へと幾度か聖剣で攻撃し、足で壁を蹴った。


その連撃により、氷の壁は削れ、勇者は間合いを取る。


これで、またもや仕切り直しだ。

邪神を挟む形で剣を構える英雄と勇者は、小さく息を吐き出した。

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