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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
Side story
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Twilight of God⑩~ピクニックは亜竜討伐~

(ぎりぎり、だなぁ・・・・・・・・・・)


俺は、残された魔力を考えて、そう内心で呟いた。

どんなに膨大な魔力があったとしても、それは有限だ。

今みたいに馬鹿みたいに強力な魔法を連発していればすぐに魔力は無くなっていく。


それに――と、俺は自嘲気味に考えた。


(意識を保つのも、結構厳しいな・・・・・・・・)


左肩は完璧に修復されたが、それに使った対価が辛い。

魂を吸い取る行為は、単純に死に掛けるだけではなく、身体能力は筋肉、思考力にまで及ぶ全てを減少させることだ。


先程、三つもの奇跡を発動させた所為で、今の全力はかなり低いところまで来た。

時間が経てば魂も修復されていくが、それも1週間程度は掛かるだろう。

今この瞬間に対する、決定的な一撃が足りない。


(何か、突破口は・・・・・・・・・?)


そう思って周囲を見回すが、何も見えない。

虚無の塊達が、だんだんと俺に迫ってくるのだ。


大体、この虚無は一体何なんだ。

感じられる感情は俺への憎しみと殺意だけなのに、魂だけは純粋な色をしている。

矛盾に矛盾を重ねたような、そんな存在だ。


と、そこまで考えて、俺は衝撃に身を震わせた。


(俺は今、何て言った・・・・・・・・・・・?こいつらに、魂が、在る・・・・・・・・?)


それは、この場を打開するには、余りにも大き過ぎる決定的なことだった。

魂がある存在ならば。負けることは無い。


「”魂管理”」


発動させた魂管理により、異形のモノ達より白い光が溢れる。

それは、細い線となって俺へと集まり、吸収されていく。


(これで、少し勝機が見えてきたかな・・・・・・・・・?)


この吸収された力によって、俺の身体能力は上昇していく。


――ただ、唯一の弱点がある。


「クッ!!」


一気に畳み掛けてくるソレ等に、俺は苦い顔をする。

そのまま、後ろに大きく跳躍して剣を前で掲げるが、すぐにそれをすり抜けるように剣が差し込まれていく。


バシュッ!!


(また、か・・・・・・・・・!!)


今度は、右の腕が深々と貫かれた。

瞬間。


クラッ、と視界が揺れた。


「なッ・・・・・・」


血が、足りない。

だんだんと意識が朦朧としてきている。


「”瞬歩”!!!」


一瞬で正面のソレに近付き、大きく身体を右に捻った。

後ろに引き絞られた剣に左手を添えて――


「”破斬”!!!」


ソレに向けて貫いた。

反応が遅れたソレには深々と剣が突き刺さり、次いで。


ドオオォォン!!!


中規模の爆発が巻き上がり、その身体を吹き飛ばした。

その霧散した粒子の奥から、新しい槍が飛来する。


「”変形()”!!!」


そう叫ぶと同時に、剣を俺の前に出して構えた。

槍が俺に突き刺さる数コンマ前に剣は変形を開始して、盾へとその姿を変えた。

古の龍の鱗から造られた、耐物理最強の盾だ。


俺の構える盾と、槍が激突するのに備えて、俺は息を詰めた。


――直後、俺は本能から発せられるけたたましい警告に告げられるままにしゃがんだ。


ヒュン!!!


爽快に空を切る音が俺の真上から聞こえ、少しだけ髪が斬られた。

後ろから、別の異形の攻撃が来ていたのだ。


そして、避けたからには盾の重心が無い訳で。


ガン!!!


大きな衝突と、何かが凹む音が同時に聞こえた。

ただ、確認する暇は無い。


(撤退が大事!!!)


「”閃光”!!!」


俺がそう叫ぶと同時に、強烈な輝きが周囲を飲み込んだ。

一瞬だけ、世界が光で染まる――


(今だ!!)


その隙に、俺はその場から離れた。

次いで、魔法を発動させる。


「”怨念の解放(リベンジ・パワー)””神の封印結界”」


どす黒い紅のオーラが俺から発せられ、次いで光が収束した。

始祖天竜と、少女、異形たちを囲むようにその輝きは広がっていき。

やがて円球の状態で壁となった。


さらに、それを護るように紅の輝きが纏われている。


(これで、一時的な休戦かな・・・・・・・)


ただ、これも本当に一瞬の休戦だ。

内心でそう呟いてから俺は、溜め込んだ息を吐き出した。


(ミュアとカレンには、悪い事したかな・・・・・・・?)


あの2人は、屋敷へと強制的に転移させた。

あの場所に2人を連れて行くのは、絶対に駄目だと感じたからだ。

それは、今でも後悔していない。


「さて。今の内に、決定打となる魔法を創っておかないとな・・・・・・・・・・・」


時間的に考えれば、数時間程度だろう。

俺はそう呟き、その場を離れた。


あの異形の集団に対抗するには、圧倒的に全てが足りない。

総合的な能力も、個数も、魔力も、知恵も、思いも。

この数時間で何処まで鍛えられるかが、今の俺に出来る最大の抵抗だろう。


(絶対に、負けない・・・・・・・・・)


負けず嫌いなのも相まって、俺はそう固く決心した。


___________________________



はい。それでは、復讐するは我に在りザ・リベンジの説明をします。

この魔法は、自分の身体能力と魔力を一定時間倍増する効果があります。

また、この魔法の発動中に使用した魔力と、敵に与えたダメージ。

そして、受けたダメージ全てを統合する能力を持っています。


この全てを統合した状態を保持出来、その後、怨念の解放リベンジ・パワーにて発動出来ます。

この時の最大能力上昇は、5000%にも及ぶことがあります。


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