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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
創造神と神々、人々は未来へと――
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繋話~全てが終わった後の話だ~

全て・・が終わってから、数週間が経った日のことだった。

カレンが買い物に行ったのを見届けた俺の元へ、一通の手紙が届いた。

決して豪華でもなく、何の装飾も無い手紙は、さらにかなりくしゃくしゃになっている。


なのに、俺の手に乗った重みだけは、しっかりと記憶に残っている―――



_____________________________




手紙によって知った話だ。と、後に彼は愛しの人物に語ったそうだぜ。


あの時、あの瞬間、彼がいなくなった。

そのたった2時間程度の間に、何があったのかは正確にはわからない。

けれど、ただ1つを告げられるとするならば、あの時、カレンは確実に一度、堕ちている。


その事実を告げられた時、彼女の顔はどうだったのか?

それは、とても晴れ晴れとした顔をしていたそうだよ。

決して、それが嬉しい訳でも、喜ばしいことでも無い。


ただ、彼女は一言、こう告げたそうだよ。


「だって、今私が彼の隣で幸せでいられるなら、何の問題があるの?」


慣れない敬語も使わず、頑張って練習した敬語を使わず、心からそう思っているように、彼女はそう告げたそうだ。

分かるかい?

こんなに愛してくれる彼女を持って、彼は幸せだっただろうね。


彼は、立派な男だよ。

彼女が堕ちたのにも関わらず、その不治を救いだした。


堕ちたというのが分からないかい?

ならば、説明しようじゃないか。


堕ちる、というのは、簡単に説明するならば、光が闇に染まる現象のことだよ。

光輝く正義の心を持った者が、深く染まる闇になってしまうことだ。

この現象は、今まででもかなり確認されているはずだ。


君も、読んだことはないかい?

小説なんかで、主人公に辱められた人物が、闇に手を染めてしまうのを。

それを、堕ちた、と呼ぶんだよ。


此処から先は、俺にも詳しい話は分からねぇ。

なにしろ、俺は彼のことを知っているだけだからな。

何があったのか、何を成したのか、それを知るのは、その場に居合わせた者だけだ。


そうだ。彼について少しだけ話してやろう。

彼は、人を辞めたよ。まあ、知っているだろう?

これくらいは常識なのだから。でもね、まだ、この世界で人として生きている。


毎日、頑張って仕事をしてると思うよ。

なんたって、彼女が毎日幸せそうな顔をしていられるんだからな。


さあ、俺の話は此処までだ。

この先は、お前さんがその目で見て確かめてくれ。

世界を、時代を改変させる、たった数瞬の戦いを制した者の行く末を。


俺かって?俺は、また此処等で酒でも飲んで見守るさ。

彼が成した功績を、彼が成す功績を、その全てを目で捉え、肌で感じるんだ。


目の前に映る彼は、瞳に映る彼が成す全てが、世界を変えていく。


きっと、此処からは楽しい世界が始まるはずだよ。

戦いも始まるだろう。それでも、彼がなんとかするはずさ。



なんたって、彼は彼なんだから。



何?続きが聞きたいだと?

もう駄目だよ。お前さんが見てきな。そして、世界を知るんだ。



例え、簡単に終わる結末だとしても。確定したハッピーエンドだとしても。

その過程に生まれた感情を、お前さんは見逃しては駄目だ。

神と人間と、そして神の恋を辿るなんて、もうこの先も見れねえはずだぜ?


さあ、行くんだ。世界を、歴史を見に。

この物語のラストを飾る最高の言葉を、見極めてみろよ?



俺の名前は――――

_______________________________________


遥か古の、物語の中の話。その物語の最後を飾るのは、皇子による愛の囁きなはずだ。


永久の氷よりも固く閉ざされた、封印された花が、その目を咲かせようとしている。

同じ様に、それを支える一輪の輝く花にも、また、運命が迫る。


もう、この物語の終わりを告げる鐘が鳴るときは近い。


神々という言葉が、神々を縛る封印だというのを、人々はまだ知らない。

その”神”という概念によって、決して反することの出来ない呪縛を、人々は知らない。


ならば、知らしめてやろう。

神々とは、至高な使命を持った、人間だと。


雪が太陽によって溶けるように。

その暖かさに包まれた心は、新たな芽を育む。



The Last Story 「叶うなら。と君は言った」


___________________________

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