プロローグ
本編(?)も遂にラストの章に入りました!
それでは、本編をどうぞ。
もし、素敵な出会いがあるのなら。
もし、人生で最も幸せな瞬間があるのなら。
私は、彼にそれを貰いたい。
一瞬でも良いから。
たった、一時の、そんな時間でも良いから、私は彼と居たい。
ああ…………
どうして、私は不幸にしかならないのだろうか。
きっと、幸せがあると、信じていたのに。
――創造神様……!!
____________________________
金の狼と、銀の狼は、各地を周っていた。
2人の知る世界は、既に何処にも無く、まったく新しい、混沌・・とした世界が広がっていた。
「どうしてだ。何故、こんなにも世界が泣いて・・・・・・いる……!?」
「落ち着いてください!!」
「あ、ああ。すまなかった」
何処へ行こうとも、木々は泣き叫び、大地は傷付き、水は死んでいた。
まるで、この世界全体が喰われているように、銀の狼<シルバ>には感じられた。
それと同時に、彼の種族としての怒りが燃え上がる。
彼の種族、<大自然の守護者>というのは、言うが如き、自然を司る守護者だ。
その守護者である彼の視界に映るのは、護るべき自然の、荒れ果てた姿だった。
また、金の狼<オア>も、シルバと似たような症状となっていた。
彼女の種族は、<空気と水の守護者>
それもまた、空気と水を司り、それを護る守護者である。
彼女もまた、護るべき空気と水が汚染され、死に絶えた姿を見て、決して落ち着いてはいなかった。
けれど、それでも、目前で焦る、最愛の彼を見て、必死に我慢しているのだった。
そんな2人が今、目前で見ている光景は、夢だと錯覚してしまうのかもしれない。
幾度も同じ、混沌に包まれた大地を、空気を見続けた2人が辿り着いた。
「生きてる……」
「生きてる!!」
呆然と、感慨深く呟くシルバに対して、オアはすぐに喜び、シルバへと目を向けた。
2人がやって来ていたのは、奇しくも、リュウが復元した土地であった。
しかし、復元によって再構築された土地には、自然には、淀みが一切無い。
まさに、奇跡であった。
_ああ。創造神様。私達、我等は、この奇跡を与えてくださった貴方に感謝します。
そう、心の奥で、深く、深く2人は祈ったのだった。
2人の身体から、いや、魂から儚い小さな光が淡く灯った。
______________________________
神様。どうか、叶うのなら、せめてこの子の幸せを
神様。この村に豊穣を。
神様。憎き魔物に復讐を!
神様!!
神様
神様!!
神様。
神様
神様
_______________________________
幾たびも願われ、そしてその存在を肯定される創造神という存在。
その存在が願われる度に、光の粒子はリュウへと集った。
まるで、これからの運命を知っているかのように。
さあ。少年よ。
これから始まるのは、神々の思想が入り乱れる戦い。
決しれ折れることなく、愛する者を手放さずにいる覚悟を、信念を持て。
始まるのは、残酷なまでの理不尽か。
それとも、光輝く粒子を掴み取った平和か。
動き出すのは、魔王と、勇者と、神と、邪神。
巡る戦いの中心に立つのは、君だ。
___________________________________
神様!!お願いだから、この願いが叶うなら――
――どうか――
――死んで。




