四日目――っていうか帝都戦の続行
一頭目の竜を屠った俺は、すぐさま次の竜へと走り出していた。
カレンからの支援が良いところでやってきて、すぐに竜との戦いが始まった。
カレンが放つ魔法は、焔の属性なため、火竜には効き辛い。
そのアドバンテージがあって尚、上手いフォローが出来るのだから、凄まじいものだ。
そう感心しながら、俺は振り下ろされた爪を雷剣で弾き、焔剣で心臓を突き刺した。
倒れる火竜を見ないで、次の竜へと走り出す。
「チッ!!数が多過ぎる!!」
思わず、口から悪態が吐き出されるが、今はしょうがないだろう。
そういえば、最近は悪態が多いなぁ、と感じた。
「終わったら、カレンで癒されますか」
そう完結させて、俺はすぐに次の竜へと跳躍した。
「ハッ!!」
たった一振り。
それだけで、竜の首は容易く落ちた。
やはり、最初は力の制御が上手く出来ていなかったようだ。
それが、今ならこの距離から3頭くらいなら一気に殺せる気がする。
ただ、この高揚感に身を任せると破滅が待っているのだが。
「一旦、大きく潰すか」
帝都に大きく拡散している竜を”地図”で見た俺は、誰にともなくそう呟いた。
その言葉通り上へと飛行していき、そのまま滞空する。
カレンの位置は多彩な魔法が繰り出されている位置だと推測をつけて、転移した。
「きゃっ!?」
「ごめんごめん。じゃあ、ちょっと移動するよ」
そう告げて、俺は空中へと再度転移した。
驚かされたことが不満なのか、頬を膨らませたカレンが俺へと視線を向けてくる。
「リスの真似ですか?」
「違います!!私はリュウに意義があるのですよ!!」
「はて。俺は悪いことはしていないはず……?」
「いいえ!!私は驚かされました!!」
「……」
ヤバイ。今ちょっと可愛過ぎる顔してる。
抗議を未だに続けるカレンに癒されながら、俺は詠唱を開始した。
これなら、恐らく一撃で屠れるはずだ。
『数多なる奇跡の星よ』
『傲慢なる欲望の魂』
『焼き尽くす業火と迸る雷に飲み込まれ』
『刹那の痛みによって消え去れ』
『炎皇雷蝶』
「さあ、仕上げだね。っと、カレン、後は任せた」
「はい。分かりました」
俺がそう告げると、カレンは嬉しそうな笑みで頷いた。
先ほどまでの不満は既に忘れているようだ。
俺は、安心して意識を手放した。
久しぶりの、体力切れである。
◆◇◆◇◆
意識を失い、気持ち良さそうに眠るリュウを膝枕しながら、カレンはリュウを撫でていた。
久しぶり、といっても、昨日までもイチャイチャしていたのだが。
それでも、こうやって静かに幸せな時間が訪れたのは久しぶりだった。
「大好きですよ♪」
聞こえてないと分かっているからか、カレンはそう、囁いた。
それを、擽ったそうに身を捩ることで反応したリュウに、若干カレンは驚いた。
それと同時に、リュウは腕を広げ、カレンの身体に抱きつくように横になった。
幸せそうな、それでいて、安心したような表情だ。
「カレン~~~♪」
ただ、カレンは酷く幸せで、悶える時間になったのだが。
それからリュウが起きるまで、カレンは幸せを堪能していた。
◆◇◆◇◆
目を覚ますと、視界に映ったのは幸せそうな顔をしたカレンだった。
「何かあった?」
そう尋ねると、嬉しそうに微笑み、顔を横に振るだけで教えてくれなかった。
ただ、カレンが嬉しそうなのだから、別に良いと感じる。
上体を起こして周囲を確認すると、やはり帝都の中の何処かのようだった。
ただ、瓦礫の山が積まれた、平地と化していたが。
さならが、大規模な戦争によって壊滅した街のようだ。
っと、そんなことを内心で思いながら、俺はカレンの手を握った。
カレンも、俺の手を握り返してくれる。
「帰ろうか?」
「はい♪」
こうして、四日目も終えた。




