表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
少年期
37/101

恒例行事

部屋に入って、最初に思った事は簡単だ。



「心配して損した」


「そうですね」


「おお、リュウ殿とカレンじゃないか。良く帰って来た」



そこには、しっかりと事務机に座り、仕事をするクルスさんがいた。

近くにリリナがいる訳でも無いため、真面目に働いているのだと分かる。

まあ、若干部屋の中が可笑しいのだが、それは黙認しよう。


誰にだって、趣味というものは存在するのだ。

それが、例えリリナの絵画と石像を飾りまくっているとかそんなのでも問題ない。



「いや、問題だらけですよ?」


「心を読まれた!?」


「・・・・・・部屋を見回しながらドヤ顔で頷いているのは、分かり易過ぎですわ」


「マジっすか・・・・・」


「マジですわ」



うん。カレンの成長も確認出来た。



「何処が成長と呼べるのですか!?」


「その読心術は既に達人だ!さあ、それで難解な事件解決をしよう!」


「嫌ですよ!?大体、私は貴方の心しか読めませんの!」


「・・・・・・・・・//」


「あっ・・・・・・・・・//」


「うむ。流石の新婚っぷりだな」


「「!!???!?!」」



突然話しかけるのは止めてくれよ。

え?内容は大丈夫なのかって?



_もちろ「駄目ですわよ!?」


「流石のお手前で」



どうやら、カレンの成長は予想以上だったようだ。

そのことに、密かに歓喜しながら、俺はクルスさんを見据えた。

対して、クルスさんも真剣な顔で此方を見つめる。


その、俺達の真剣な空気に感化されたように、周囲の空気が下がった。

気温が下がったように錯覚するほど濃密な威圧を飛ばす。

次の瞬間。此処が勝負どころだ。



「セーフ!!」「アウト!!」



そう告げ、対立した俺とクルスさんは、顔に笑みを浮かべながら、互いに譲り合った。

だが、今回は俺に先手を譲ってくれるようだ。



「これだからクルスさんは!!資金というのは、目的を達成するためのお金なのだから、無駄使いは駄目でしょうが!?そんなことも理解出来ない程に頭が老化してしまったんですか!?」


「言ってくれるじゃないか!!しかし!!人間とは、その一生を最高の幸せで飾るべきものだ!!自身の見つけた最高の趣味に没頭して、何が悪い!?」


「没頭するのは良いんです!!でも、それを血税で払うのは明らかに可笑しいでしょうが!?」


「なにを!?私は今までもしっかりとした功績を残してきた!!なのに、趣味の一つに掛ける金すら無いというのは酷だろうが!?」


「その金の収集先が国民だから駄目だって言ってるんです!!もう少し税の意味を理解してください!!」


「理解している!!税とは、国を豊かにするために、権利を得るために払う金のことだ!!ならば、私の気分が良くなるために多少の私金にしても良いではないか!?」


「屁理屈を言わないでください!!とにかく、貴方はその使った分の税金を自分で稼いでください!!」


「不可能だ!!時間も、能力も、金も、全てが足りないのだ!!」


「そんな状況で税金を使わないでくださいよ!?」



大きく、叫ぶように言い合った後、俺とクルスさんは荒い呼吸をした。

流石に、こんなにも大声で他人に喋ったことは久しぶりだ。

カレンは、早速リリナと遊びに行くという口実で逃げた。


この、クルスさんの暴走を止めるのは、昔から俺の役目なのだ。

何故か、変な場所で極端になるクルスさんを正すために、何時も怒鳴っている。

この良い合いは、まだ暫く続くのが毎回恒例の出来事だ。


これから続く面倒な良い合いを思い浮かべて、俺は溜息を吐いた。


現在、七歳の子供だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ