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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
少年期
36/101

部屋までの憂鬱

蒸し暑い空気と風が肌を吹き抜け、遠くの景色が歪んで見える。


公爵家の扉の前は、やはり少し緊張するほどに重々しい雰囲気を放っている。

そこは、カレンの家でもあるため、カレンは既に慣れたようだ。

まったく怖気づかずに、扉をノックした。


暫くして、中からはクルスさんの秘書である男性が出て来た。



「これはこれは。お帰りなさいませ、リュウ様、カレン様」


「ただいま」


「お邪魔します」



丁寧に挨拶されたので、此方も返し、中に入った。

やはり、広くて立派な玄関なのだが、少しだけ、いや、かなり変わっているところがあった。



「この石像、何?」


「旦那様が、リリナ様を自慢するために立てたもので御座います」


「・・・・・・・・・大丈夫?」


「いいえ」



俺の目前に佇む、石のリリナが存在した。

なんというか。物凄くリリナに似ているこの石像。

クルスさんが本当に大丈夫なのか、物凄く心配なのだが。



(いや、大丈夫かな、ホント)



もう、引き攣った笑みを浮かべるしかない俺達は、とりあえず進み始めた。

だがしかし、クルスさんはこれだけでは済まなかったようで。



「この彫刻は?」


「リリナ様の美しさを旦那様が自慢(以下略)」


「あ、そうですか」



   ◆



「この絵画は?」


「リリナ様の美しさ(以下略)」


「うん・・・・・・・・」



   ◆



「この部屋は?」


「リリナ(以下略)」


「・・・・・・・・・・・」



   ◆

~リリナ専用器具~


「・・・・・・・・・・」


「リ(以下略)」


「・・・・・・・・・」



   ◆

~部屋中リリナの絵画や石像~


「・・・・・・・・・・・・」


「(以下略)」


「・・・・・・・」



   ◆

~カレンのグラビア石像~


「は?」


「カレン様の魅力を自慢(以下略)」


「撤去よ!!(by カレン)」


※リュウに死守されました。→部屋に飾ってあります。

   ◆



「ハァ~」



クルスさんの部屋まで来るだけで、物凄く疲れた。

途中、最高な石像もあったが、それでも疲れを感じるほどだ。

いや、クルスさんの身を物凄く心配してしまうよ。


目前にある重厚な扉からは迫力を感じるが、その周囲がその感覚すら忘れさせる。



(リリナ、愛されてるな・・・・・・・・)



壁の至る場所に、リリナの絵画が飾ってあるのだ。

正直、この扉を開いてはいけない気が物凄いしている。

しかし、この扉の先には行かないといけないのだ。



「開けるよ?」


「いいわよ」



二人で頷き合い、ゆっくりと、扉を開いた。

その先に見えるのは、地獄が天国か。



_いざ。



______________________________



地下深く、暗闇に包まれた洞窟では、一人の男が立っていた。

その目前にあるのは、多数の死体。

全ての死体からは血が抜かれ、干からびた死体と化している。



「クククッ!まさか、此処まで滑稽だったとはッ!」



そう告げた男の前には、泣き疲れ果てた男が気絶している。

身体の至る所が刻まれているその男は、既に生きているかも怪しい。

その姿を見て、男はさらに笑い声をあげていた。



「このまま、上の学園とか言う阿呆みたいな施設も壊すか?」



その場面を想像して、男はさらに顔を歪ませた。



「ならば、試作品を完成させないとなぁ!」



独り言を呟き、男は目前の男を殺し、洞窟の奥に入っていった。

その先に小さく見えるのは、赤い液体で描かれた魔法陣。

その効果が意味するところを知るのは、男のみである。


こうして、リュウの知らない場所で、準備は進んでいった。

この結果がどうなるのかは、未だ誰にも分からない。

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