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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
少年期
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夏季休暇

暑い日差しが照りつけ、季節の移り変わりを実感する。

吹き抜ける風が肌に当たると心地良く、目を細めると隣でクスリと笑みが零れる。

晴天から顔を覗かせる太陽の輝きが、とても眩しく、明るく感じるのはこの時期だ。


此処、王立学園では、今日この日から夏季休暇となる。

学園は生徒のみに開放されるが、利用するのは一部の者だけだ。

選択学科のみ課題が提出されるが、それもすぐに終わらせる必要は無い。


まずは、休暇の始めの日を全力で自堕落に過ごすことから始まるのだ。

学園から公爵家へと続く道のりも、やはり太陽の輝きは強い。

隣でともに歩くカレンも、少しだけ複雑そうな顔をしているのが良い例だろう。


来年にはリリナも入学する予定の学園なので、公爵家では今からその準備をするという。

どうやら、クルスさんはリリナに対して相当デレッデレになっているらしい。

その手紙をクルスさんの秘書から送られた時の、なんともいえない雰囲気は今でも記憶に残っている。


「そうだ、リュウ」

「うん?」

「キスしよ?」

「え?」


唐突に言われたことに、俺は足を止めて固まった。

そんな俺を見て、カレンは楽しそうに微笑んでいる。

ようやく、からかわれたと理解した俺だが、なんだか少しだけ残念な気分だ。


というか、だんだんとカレンと俺との立ち位置が反転しそうで怖い。

何時かは、俺はカレンに尻に敷かれるようになるのだろうか。

カレンの成長は嬉しいのだが、少しだけ微妙な気分だった。


なんだか、少しだけ悔しいので、逆に仕返すのもありかもしれない。

俺は、言われた通りに、カレンの唇に俺の唇を重ねた。


「んッ!!??」


一瞬で離れたのだが、効果は絶大だったようだ。

顔を真っ赤にしたカレンが、俯いたまま完成した。

今、この道にはかなりの人がいて、視線が集まっているのも原因かもしれない。


なんたって、カレンは俺の贔屓目を無しにしても美少女だ。

閑話休題

とりあえず、真っ赤なまま思考が停止しているカレンを放置するのは無理なので、手を繋いで歩き始めた。


未だに俯いたまま片手で頬を触っているが、どうかしたのだろうか。

と、頬で思い出したのだが、俺はこの世界でどんな容姿をしているのだろうか。

ぼんやりとなら分かるのだが、正確な骨格とかが分からない。


とりあえず、気持ち悪い顔では無いのだから大丈夫だ。

屋敷に戻ったら容姿を確認しようと考えたところで、面倒なことになった。


「きゃっ」

「ってぇな!怪我しちまったじゃねぇか!金払え金!!」


そう告げて、意地悪い笑みを浮かべるのは、いかにもチンピラな雰囲気の男だ。

ただ、仲間とかがいる訳でも無く、一人で行動している。

別に、それで逆に襲われるという心配も無いのだろう。


何故なら、この男性のスキルと魔力適正が特殊過ぎる。


魔力適正 突破口

スキル 魔力技能 影の存在


これに、さらに鑑定を掛けて見るとその特殊性が理解出来る。


<突破口>

その時し、最適な行動を理解することが出来る。


<影の存在>

世界に善という存在を保たせるための、悪という存在。

しかし、表では悪を担っているが、裏では一番の善性者な者。


これを表すのは簡単だ。


(これもう、ザ・正義っていう感じの人じゃん)


そんな、優しいだろう男性のために、俺は懐から財布を取り出した。

中には、金貨が山のように積まれている。

なにせ、クルスさんと国王から大量に金が送られてくるのだ。


金貨一枚が、この世界では十万円の価値があるのだから、かなりの金持ちだ。

俺は、そのうちの金貨を四枚取り出した。


「お兄さん。たまには、しっかり休んでください」

「!・・・・・・・・・・ヘッ!なかなか金持ってるじゃねぇか。今回は、これで見逃してやらぁ!」


小声で告げた内容に、男性一度だけ目を見開いた。

そして、元の悪者顔に戻り、周囲を睨みながら去って行った。

俺は、最後まで笑顔だった。


「リュウ、なんで金貨なんて大金を渡したの?」

「秘密」


頬を膨らませて問い詰めて来るカレンからは、先ほどまでの初々しい感じは抜けている。

やはり、こうやって笑顔に笑っているカレンの方が良い。

そう、再確認した俺だった。


ちなみに、先ほどの適正とスキルは複製しないことにした。

どちらも、この世界にとっては重要なものだから、だ。

まあ、正確には必要が無いのが一番の理由だけどな。


そうこうしているうちに、広大な壁に到着した。

何時見ても、大きくて広大なこの壁は、掃除が大変そうだと感じてしまう。


_俺とカレンは、頷き合ってから、その門をくぐった。


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