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world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
幼少期編
3/101

五年目



どうも、リュウです。

この世界に転生してから、今日で五年が経った。

既に俺は立派な子供になっている。


俺の魔法は、ハッキリ言うと規格外のものだった。

複製という魔法には、<対象をコピーして自身に移す>というものだ。

これが意味するのは一つ。


ステータスや魔力も複製が可能なのだ。

それだけで、既に一般とはかけ離れているだろう。

そして、次に神力。


これは、<現人神と同格の権限を行使出来る>というものだ。

試しに、権限を行使して俺に魔力を与えたら、普通に出来た。

代わりに、何かが失われているようだが、そればかりは分からない。


今の俺のステータスがこれだ。


_____________________________________


≪名前≫ リュウ・シルバー


≪LV≫ 1


≪魔力適正≫ 複製 神力 氷抵抗 炎電 保管庫


≪スキル≫ 魔法技能 暗算 成長促進 剣術 


≪称号≫ 女神の心 女神の慈悲 神々の黄昏

_____________________________________



五歳の子供が可笑しな状況になっている。

普通の五歳児は、外で友達と楽しく笑っているだろう。

しかし俺は、鍛錬をずっとしている。


中には遊ぼうと言ってくれた子もいたが、それも断った。

唯一、妹のリリナとはしっかりと遊んでいる。

リリアは、意外と泣き虫で甘えん坊なのだ。


しっかりと兄である俺が面倒を見ないといけない。

リリナは四歳と、俺より一つ下の年に生まれた。


鍛錬で何をするのか、というのは簡単だ。

魔力の使用法、魔力の増加、身体の強化、この三つだ。

魔力の使用方法は、毎回少しずつ実験して確認している。


魔力の増加とは、魔法を使う毎に減る魔力を増加させる訓練だ。

多ければ多い程、魔法の使用回数も増える。

それに、魔力だけでの魔法の行使も出来るのだ。


身体の強化は、この世界の情勢が関係している。

どうやらこの世界では、魔物がかなりの強さなのだそうだ。

そのため、各国の中でも辺境の地である村に軍を割く余裕なだない。


ならば、どうやって村を守るのか。

それが、俺が強くなるという結果に繋がるわけだ。

何時かは王都に行きたいが、どうせそれもまだ先だ。


今は、最短で強くなっておきたい。



  ◆◇◆◇◆◇◆



朝日が昇る前の朝早く。

俺は村の端にある空き地に来ていた。

此処が俺の練習所であり、実験所でもある場所だ。



「さて、今日は魔法の練習かな?」



そう呟いた俺は、魔力を高めた。

右手を前に翳し、そこに魔力を移動させる。

魔力適正を使用せず、自身の単純な魔力と感覚で発動させるのだ。


それを、人々は無属性魔法と言う。

これは、初歩的な索敵のために覚える者もいるが、そのほとんどが必要としていない。

そのため、簡単な抜け道に気付けなかったのだ。


集まった魔力は、そのまま球体に変化していく。

次第に具現化しつつある魔力は、だんだんと黒色に染まり始めている。

大きく、大きく、そして速く。


掌サイズの球体が完成したら、俺は右手を的に向けた。

的、といっても廃材かなんかを立てただけだ。



「魔力弾」



発射された魔力弾は、高速で的に激突した。

しかし、音は立たず、そして衝撃も無い。

しかし、的はしっかりと貫かれているのだ。


これが、無属性魔法の真価。

魔法を使用したことさえ気付かない。

一瞬で相手の命を刈り取れる魔法だ。



「よし。これで魔法もかなり上達したな。後は”雨”も再現出来たら・・・・・・」


「お兄ちゃん?これは・・・・・・・・・」


「え・・・・・・・・・?」



突然の声に振り返ってみれば、そこにはリリナがいた。

彼女の視線は、的と俺を交互に見ている。

ていうか不味い。



(バレた!?)



密かに練習したのをリリナに見られた。

これは、かなり危険かもしれない。



「あ、あのさリリナ」


「何?」


「この事は、父さんと母さんには言わないでくれる?」


「いいよ?」


「いいの!?ありがとう!!」



嬉しくなった俺は、リリナの頭を撫でてあげた。

前に一度だけやった時、リリナが中毒になりそうな顔をしてたから止めたのだ。

しかし、今はリリナに感謝しなくてはいけない。



「えへへ~」



気持ち良さそうに目を細めるリリナ。

かなり可愛らしい妹だが、俺の居場所を突き止めたのは凄い。

まあ、警戒してなかった俺が悪いんだけど。



「じゃあ、これからも言わないでね?」


「じゃあじゃあ。代わりに、遊んで!」


「・・・・・・・・・・・良いよ」



こうして、俺の幼少期は過ぎていく。

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