表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
world a king~異世界転生譚~  作者: 抹茶
幼少期編
15/101

王都(4)




宿屋で寝て翌日。

俺とリリナは鍛錬の為に練習場に来ていた。

そこでは、新人と思われる冒険者が訓練をしていた。


俺とリリナはその端に向かって、向かい合った。

そこでリリナは目を瞑り、手の平を前に出す。

魔力を発動する際に集中するためには、こうすると良いからだ。


そこに魔力が集まっていき、そして”炎電”の魔法が発動した。

現れた炎は俺よりは劣るが、それでも確かな魔力が込められている。



「出来たよ!」



リリナはとても嬉しそうだ。

俺もそんなリリナを見て、嬉しい気分になった。

そこへ、昨日の少女がやってきた。


ただ、その顔は少しだけ驚愕していた。

俺の顔を見てすぐに不機嫌になったが。


俺の中の、少し残った熱が燻る。

けれど、それが形となって表れる訳も無い。

ただ、何かモヤモヤした気持ちが、心の奥にあるだけだ。



「二人とも。私の家に来なさい!」


「何故?」


「お父様が、貴方のことを話したら連れて来なさいって」



首をかしげる俺だが、別に問題は無いので頷いた。

少女はすぐに来た道を歩き始めた。

俺とリリナも、その後に続く。


少女の後ろを歩く中、俺は前を歩く少女へと話しかける。



「そういえば、君の名前は?」


「え?私の名前知らないの?」


「え?あ、うん」



俺が頷くと、目を見開いて何度か俺の顔を見る。

俺が、それを不思議そうに見ると、少女は溜息を吐いた。

何故・・・・・・・・そんな愚痴を言う暇も無く、少女は答えてくれた。



「・・・・・・・・カレン、カレン・ルーティアよ」


「そっか。俺の名前はリュウ、リュウ・シルバー」


「私はリリナです」



名前を名乗りあった所で、また歩き出した。

どうやらカレンはお嬢様らしく、貴族街の方に入って行く。

道のりとしては面倒だが、此方の方が清潔そうな雰囲気があった。







  ◆◇◆◇◆◇◆






「此処がカレンの家?」


「そうよ!凄いでしょ!?」


「そうだね」



確かに、カレンの家は豪邸であった。

貴族街の一角を、大きく仕切った屋敷が目前には鎮座している。

この大きさは、普通に不要だと思ってしまうのだが。


囲うように高い壁があり、その周りを兵士だろう者が徘徊している。

なんだか普通にお嬢様の屋敷なんだが、カレンのイメージとは合わない。

まあ、そんなことを言ってもどうしようもないのだが。


門はカレンの顔パスで通れた。

広大な庭が広がっており、その先にある少し開けた場所に数人の人が集まっていた。

その中には、キールさんの姿もある。


キールさんは、俺を見て驚いたような顔をした。



「金の冒険者と聞いたけど、まさかリュウ殿だったとは」


「久しぶりです」



見知った顔に、俺は少しだけ安堵した。

流石に、こんな知らない大人ばかりの場所にリリナと二人は緊張する。



「おや、キール殿の知り合いでしたか?」


「ええ。以前話した少年ですよ」


「!?で、では、盗賊を一人で討伐に追いやったというあの少年ですか!?」


「その通り」



なんだか大人の間で会話が飛び交っているが、俺には分からない。

要所要所を専門用語で埋めて話しているのだ。

まあ、別に知りたいわけでは無いから良いのだが。



「じゃあ、早速前のを見せれば?」


「そうしてください」



キールさんに聞くと、そう帰って来た。

なので、俺は前と同じように魔力を侵食していった。

空間が少しだけぼやけるように見える。



  ◆◇◆◇◆◇◆



また、今回も”炎剣”で炎の剣を握った。

両手で握ると、早速魔法を発動していく。

右から飛んでくる魔法を切り裂くと同時に後方にステップし、目前を通る魔法を切り裂く。


まずは、このような運動からだ。

切り裂いた先から魔法が飛来するが、それも返す剣で切り裂く。

振り下ろした剣先を左に走らせると魔法に直撃して切った。



右、右、左、上、後方、左、斜め__



「フッ!!」



だんだんと魔法の速度と量を増していく。

この訓練は、何時行っても疲れる。

ただ、その運動が堪らなく楽しいのだが。


こうして、自由に飛びまわるのは爽快だ。

右に大きくステップを踏み、振り向きざまに魔法を切り裂く。

今度も、前回と同じ技を使う。


回転するように大きく切り裂いていく。

四つの角でそれぞれ剣を振るう。

中央で、振り下ろすのだ。



「”天空破”」



前回はこの辺りで終わらせたが、今回はまだ続ける。

もう視界全てに魔法の弾が映るようになった。

それでも、俺はまだ諦めない。



「”対処””適応””反撃””絶空””閃光”」



五つの魔法を発動し、本気の状態になる。

閃光の輝き、対処と適応のオーラ、反撃の威圧、絶空の威厳。

その全てが今俺の元に集い、そして発動している。



「ハァッ!!」



右、右左上後方斜め右左上、横左上後方後方、前、右__!!


全ての魔法に対して急所を打ち抜き、そして次の弾に移る。

一瞬で一〇の魔法弾を切り裂くのは、かなり体力的に厳しい。



(これで、最後だッ!!)



一瞬だけ剣を胸の前で構えて、俺は剣を振るった。



「”焔斬”!!」



剣に業火が纏われ、そして回転斬りが発動する。

大きく焔を撒き散らしながら回転を終わると、魔法の発動も止まる。

荒い息で呼吸しながらも、俺はしっかりと立っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ