第5章 法改正 (今回は短め)
朝議
毎週水曜日の午前5時から5時間にわたって行われる、王国唯一の立法の機会。
参加者は、主師7名と7官の長。各省庁の長と、各属国の首相及び閣僚。そして、LLCAの首脳陣。あとは各界の権威。そして半数は一般市民。併せてきっかり100名である。
かつてこの国にも立法機関としての国会が存在した。王宮から見た位置を元に右院と左院に別れていた。両院を日本の国会と比較すると、右院は衆議院。左院は、参議院に相当する。
右院は、完全選挙制で、任期は10年。左院は半数が主師からの指名。あとは、各貴族からの選挙。こちらの任期は20年。
まあ、この国会、だんだんと腐敗していき最終的には、全議員がどうすれば自分により多くの利益誘導ができるかにのみ、知恵を巡らせ、提出された法案はろくな審議もされずに可決される始末。まあ、可決されても、主師全員が納得して印を押さない限り、施行されないという安全策がとられていたが、この状態に主師全員。特に滅多なことでは起こらない神子がぶちぎれて、妹に国会廃止の根拠となる法案を策定させて国会に提出させた。
そしたら案の定何も審議されずに通過成立して、翌週には国会は綺麗さっぱり歴史の彼方に消え去りましたとさ。
さて、朝議の前段階として、同じ読みの庁議が存在する。こちらのメンバーはかつての国会で、最後の最後まで国会議員として、国のため国民のために審議を行おうとしていた者達。
神子の忠実な下部であるコイルスがあの手この手で集めた国民の思いを法案という形にまとめている。
[今回の法案は国防法と大保法の改正ですか。]
「現在他世界に転移した大和民族国家への介入には国防法の特別解釈で対応していますが、それでも現在時管省や、神政省、経監省の要望に応えることはできておらず、大和会議からももっと派遣をという要請が上がってきています。
そこで、我々宙軍省としては、星軍省、統合軍令部と協議の上で国防法を改正し、この案件に対応すべく両法の改正をここに発議するものであります。」
宙軍相の言葉に意外に多くの物が頷く。
「それでは宙軍相より提出のあった法案を各員に配布させていただく。一度主師は目を通しているが我々にとっても満足のいくできあがりである。しかし、諸君らの忌憚なき意見をもらいたい。」
進行役の神子の言葉を待っていたかのようにそれぞれの分野から激しい議論が起こる。
庁議と朝議の間には主師により、この案件を主師は支持するか否かの審議が行われる。
「以上を持って投票を終了し開票を行う。…結果として、本議題は可決成立したものである。本法は即時修正施工される。」
この改正された法律が、今後、ある物語を引きずり出す。